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2017年第3回定例会 トマ孝二区議が2016年度渋谷区一般会計および3会計決算に反対討論

 10月26日、区議会第3回定例会開会日の最終本会議で、トマ孝二区議が2016年度渋谷区一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険事業会計、後期高齢者事業会計の3会計決算に対する反対討論を行いました。


2016年度渋谷区一般会計歳入歳出決算

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、認定第一号、2016年度渋谷区一般会計歳入歳出決算について、認定に反対する立場から討論いたします。

 私たち区議団は、2016年度の予算編成にあたっての区民生活について、安倍内閣による経済政策によって国民の実質賃金が下がっているうえに、消費税8%増税によって国民のくらしは一層困難になっていること、実際、渋谷区では1年間の中小企業の倒産件数が121件、その失業者は788人、生活保護世帯は2909世帯となり、国民健康保険料の滞納者は27.82%に達していることを示し、区民生活が困難だからこそ、区民の声に耳を傾け、暮らしを応援し、福祉優先の区政をすすめることを求めました。

 しかし、長谷部区政は区民の生活実態を無視し、大企業の開発などを優先し、福祉を切り捨てる施策を次々と実施してきたのです。また、渋谷区基本構想を全面的に改定し、成熟した国際都市を目指すとして高度な国際競争力と強烈な地域性を兼ね備えた街づくりを目指すことを標榜し、自治体のもっとも重要な区民福祉の増進を後景に追いやっています。こうした区政の結果である2016年度一般会計決算は認めることができません。

 私は一般会計決算に反対する理由について6つの柱で示していきます。

 第一の反対理由は、今後20年間の渋谷区のあり方を決める「渋谷区基本構想」について、主権者である住民の意見も聞かず、十分な議論を経ないまま制定してしまったことです。

 基本構想制定のための審議会は、2015年の11月から、2016年8月までの短期間で、1回の審議時間も2時間という極めて短い時間での審議でした。また、住民説明会は4会場で、出席者は70人というものでした。パブリックコメントは13人から34件の意見が出されましたが、これを受けての審議会は開きませんでした。こうした対応は認められるものではありません。

 さらに、基本構想の価値観として打ち出されているのが、「ロンドン、パリ、ニューヨークと並び称されるような成熟した国際都市」で、高度な国際競争力と強烈な地域性を兼ね備えてゆくことが目指されています。これは、日本経団連が打ち出している「世界中の先端企業、人材、投資や観光客を集め、国全体の経済をけん引する役割を担う」という提言にそったものです。この立場から長谷部区政は、渋谷駅周辺再開発など大企業のために区税を投入する姿勢をますます強めているのです。

 基本構想は、憲法に基づきすべての住民が平和で、健康に、そして文化的に生活する権利を保障する区の責務が明確にされていなければなりません。制定された基本構想は、そのことが大きくかけており、認めることはできません。

 第二の反対理由は、住民生活を安定させ、福祉の増進をはからなければならないのに、逆に福祉を切り捨てていることです。

 区民の最低限度の生活を支える生活保護制度は、安倍政権による社会保障改悪によって年々扶助額が引き下げられています。そうした中で区は、これまで独自に援護していた生活保護世帯に対する冬の見舞金、4千円を廃止し、2903世帯に厳しい生活を強いる対応をとったことは認めることはできません。すでに廃止した夏の見舞金と合わせて復活すべきです。

 また障害者の社会参加に欠かせない福祉タクシー券が月額4600円から、一気に1100円も引き下げ、3500円にしたことは社会的弱者の切捨てで、血も涙もない冷たい対応と言わなければなりません。

 長谷部区長は、障がい者に困難を与える福祉タクシー券の支給額の引き下げについて「他区より水準が高いから」と言いました。「他区より高い」ということが切り捨ての理由になれば、渋谷の福祉はどんどん後退させられていくことになりみとめられません。

 区民福祉増進の立場から独自で行われてきた生活援助や時間延長などの区型介護サービスが2016年度から縮小されました。介護認定段階ごとの支給限度額を超える利用は認めず、また利用料も1時間当たり60円から時間が増すごとに300円まで引き上げられたことにより、利用者はのべ10831人にとどまり、前年比22%減となりました。高齢者の自立を支えてきた渋谷区のすぐれた介護制度を後退させたことは重大です。

 特別養護老人ホームの待機者は2016年度は586人となりました。つばめの里本町東で100床の増設と高齢者ケアセンターの建替えによる84床の計画も発表されていますが、深刻な事態を解消するため、区長は公約通り、特別養護老人ホームの増設を推進していくべきです。 

 第三の反対の理由は、日本の未来を担う子どもたちが健やかに育つ保育・教育環境を整備する決算になっていないからです。

 働きながら子どもを育てる世帯が増えています。安心して子どもを預けられる認可保育園の増設と、学童保育の環境整備が求められています。 

 2016年4月1日の認可保育園の待機児は921人で、どこの保育園にも入れなかった子どもは315人でした。ところが区は、区立保育園の増設をせずに逆に本町第二保育園を廃止するという対応をおこなったことは許されません。

 区は児童福祉法24条にもとづき待機児解消のため、父母の願いに沿って園庭のある区立保育園を中心に認可保育園を増設すべきです。また、民間保育士の処遇改善のためにさらに支援するべきです。 

 放課後クラブの運営について、特にひとり親や父母が共働きのB会員のこどもには、ゆったりと過ごせる静養スペースを確保することが求められています。しかし、各放課後クラブで2016年度も改善が行われず、静養スペースが整備されていないことは認められません。B会員向けの施設整備をすすめるとともに、夏休みなどの長期休業中の昼食、栄養の確保などについて十分な対応を行うべきです。

 学校給食の無償化と就学援助の改善は、子どもの貧困対策としての喫緊の課題です。 

 学校給食は、教育の一環として実施されているものです。多くの自治体が無償化する中で、当区が無償化を見送っていることは認められません。義務教育は無償が原則で、子育て支援の立場からも無償化を実施すべきです。子どもたちに豊かな食生活を保障し、教育していくために、栄養士を全校に配置し、食育を拡充すべきです。

 就学援助の2016年度の認定率は小学校19.7%、中学校31.1%と多くの児童・生徒が対象になっており、制度の拡充が求められています。多くの自治体で、新入学時にかかる経済的負担を減らすため、新入学学用品費について、支給時期を入学前に前倒し、支給額を引き上げています。当区でも、実施すべきです。

 差別・選別の競争教育に拍車をかけるような学校選択制や、特色のある学校づくりの教育としての英語教育重点校とそうでないところの学校予算の格差はただちに見直すべきです。

 教育の目的は、児童、生徒の人格形成を行うことであり、渋谷区に求められているのは、児童・生徒一人ひとりを大切に育む教育環境を整えることです。2016年度は、小学校で8、中学校で5クラスを増やすことで35人以下学級が実施できたのです。教師が生徒一人ひとりと向き合える時間を増やし、いじめや不登校などにもきめ細かく対応し、行き届いた教育を行うために、まずは35人以下学級を実施し、さらに30人以下学級をめざすべきです。

 第四の反対理由は、区民の安全を守るため防災対策を推進しなければならないのに、十分に取り組まれていないことです。

 2016年度から新たな防災計画を策定する作業がすすめられています。現在、阪神・淡路大震災から21年、東日本大震災から6年が経過しました。東京の場合、震度7以上の首都直下地震が30年以内に70%起こるとの想定が現実味をおびているだけに、充実した防災対策が求められています。

 発災時の緊急対策とともに、被害を最小限にとどめるための対策が具体化され、実行されていくかが重要です。とくに、木造住宅密集地域に対する「倒れない・燃えない」対策推進のために、地域や区民の生活実態に合った助成制度の実施や、消防車が入れない細街路地域に対する消火器設置など、具体的できめ細かな対策をすすめる計画を策定すべきです。

 防災訓練事業について、2016年度は区の主催から実行委員会による防災フェスに変更しました。開会式で実行委員会参加企業の代表が自社の宣伝を長々と行ったことや自主防災組織、消防団、災害関係機関の訓練がほとんど行われなかったことに参加者からきびしい批判の声が上がりました。区民の生命を守るために行われる防災訓練は、区が主体的に実施すべきです。

 2016年度の建築物の耐震促進補助事業の実績は、相談件数が54件。そのうち43件が耐震診断助成につながりましたが、助成額は4982万円で、執行率はわずか7.3%、不用額は6億7980万円となっています。助成割合と限度額の引き上げ助成要件の緩和など制度を拡充し、診断を受けて、耐震補強が必要と判定された建築物の工事が行われるよう、支援すべきです。

 第五の反対理由は、住民無視で大企業優先の区政執行になっていることです。

 区役所と公会堂の建て替え事業について、三井不動産レジデンシャル等に区役所の土地の約3分の1を貸付け、そこにマンションを建てさせる見返りに本庁舎と公会堂をタダで建ててもらう、と前区長は説明していましたが、16年度庁舎建設にかかわって、5億4826万円を支出しています。 

 また、三井不動産レジデンシャルが建設する高層マンションについて、当初計画の容積率500%が900%に許容されたため、延べ床面積は6万420平方メートルから6万1500平方メートルになり、階高は当初計画から2階分増え、39階建、505戸の計画であることが住民説明会で明らかになりました。しかし、住民が求めた高層マンション棟の総事業費について、三井不動産レジデンシャルは一切明らかにせず、区長もその情報を区民に公開しようとしていません。区民無視で、マンション棟を拡大するなど、三井不動産レジデンシャルなどの儲け最優先の庁舎建替え計画は、認められるものではありません。

 宮下公園整備事業は、三井不動産と結んだ基本協定にもとづき、都市計画決定がおこなわれ、都市計画変更業務委託や総合事業支援業務委託などに3583万円余が支出されました。都市計画決定は、公園や駐車場などの都市計画施設の位置や大きさを決め、新宮下公園の基本的な内容を決める重要なものです。しかし、区は、来街者も含めて多くの人々の利用がある公園でありながら、都市計画手続き以外の説明会を開きませんでした。しかも都市計画原案などに対する意見では、「ホテル建設は撤回すべき」「公園の3階の屋上への移設で地上からのアクセスが著しく困難になる」など、ほとんどが反対意見で占められていたにもかかわらず、都市計画決定を強行したことは認められません。渋谷駅周辺の貴重な緑の防災空間である、区立宮下公園の全敷地を三井不動産に33年間も貸し付け、3層の商業ビルと18階建てのホテルを建設して大儲けをさせる計画は、まさに区民の財産を大企業の三井不動産に差し出すもので認められません。計画は白紙に戻し、区民参加の検討会を設置して一から検討し直すべきです。

 さらに、東急グループを中心とした渋谷駅周辺再開発事業に莫大な血税を投入していることは認められません。 

 2016年度、渋谷駅周辺整備事業について、道玄坂1丁目地区の市街地再開発事業に9860万円、渋谷駅北口自由通路整備事業に4億791万1千円など、5億4868万円余が支出されました。道玄坂1丁目地区再開発には、事業計画に基づき2019年度までに20億円、渋谷駅北口自由通路には、2011年度から16年度の合計で7億817万円余が支出され、2026年度までに総額で40億円程度が投入される予定です。加えて、桜丘口地区の再開発事業への補助金80億円や南口北側自由通路に40億円の全額公費負担による整備などが予定され、区だけで90億円、総額180億円もの投入になります。

 この事業は、企業の営利活動であり、公費を注ぎ込む必要はありません。自治体の役割である区民のくらしを安定させるためにも、渋谷駅周辺再開発事業への税金投入は中止すべきです。

 第六の反対理由は、不要不急の事業に血税を投入し、浪費していること、一部の企業や団体などに便宜をはかる不公正な行政を行っていることです。

 長谷部区長が、前区長がトップダウンで莫大な税金を投入し、開設した伊豆・河津町の第二保養所を継続していることは税金のムダ遣いであり認められません。老朽化した旅館を買収し、3億円以上の改修費を投じて運営している第二保養所ですが、2016年度は運営費に1億2128万円に加え、プールろ過機工事などに約1500万円、合計で1億3767万円もの血税を投入しての運営です。今後、本館の改修等、多額の費用が掛かることが予想されます。

 運営費に年間1億円以上の経費をかけ、区民から遠くて不便と言われている施設を継続していくことは税金の浪費であり、廃止すべきです。

 区立神泉児童遊園地の改修工事が終了しました。2016年度から区長は、東急電鉄社長らと公園改修について話し合っていたにもかかわらず、区民に説明せず、着手させたことは区民無視で認められません。子どもをはじめ、区民の憩いの場となっている公園整備の費用を民間事業者がもつことと引き換えに、隣接の事業者に都合の良い庭のように整備させることは便宜供与であり認められません。

 桑原前区長が区内にあるトルコ大使館から要請を受けたとして、神宮前小学校の一部に国際交流学級を設置することについて、その運営目的が当初、トルコ人の子弟のための教育施設とされていたものの、実態は多様な外国人を受け入れ営利目的の教育施設でした。こうした法人に神宮前小学校の一部を提供することに道理はありません。特定の営利法人に便宜をはかってきたことは許されません。

 また、長谷部区政は元東京都副知事が主宰する「おやじ日本」の事務所について、区の施設を無償で提供することを容認し、一部団体に便宜をはかることは認められません。こうした不明朗な対応はただちに中止すべきです。

 以上で、反対討論を終わります。


 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、認定第2号、2016年度渋谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算、認定第3号同介護保険事業会計歳入歳出決算、認定第4号、同後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算について、認定に反対する立場から討論いたします。

国民健康保険事業会計

 2016年度の国民健康保険料は12年連続の引き上げで、1人当たりの年間保険料は12万5923円となり、前年度と比べ7,168円の引き上げとなりました。こうした保険料の引き上げによって、27.82%が滞納となっています。保険料の引き上げを強行したことは認められません。

 誰もが払える保険料にするためにも、国が引き下げてきた国庫負担の割合を引き上げ、東京都にも以前のような公費投入を求めるとともに、区としても一般会計からの繰り入れを増やして、すべての加入者が無理なく払える保険料に引き下げるべきです。そうした対応をせず、高い保険料を押し付け、無保険状態になる区民をつくり出していることは認められません。

介護保険事業会計

 2016年度から区は、要支援1、2の人を介護給付から外して、新総合事業に移行しました。生活介護のみを受ける人については、無資格のヘルパーや人員基準を緩和したサービスAしか受けられないようにし、介護報酬を訪問介護で8割、通所介護で7割に引き下げました。このため、介護事業者が緩和サービスを実施せず利用者が今までのヘルパーによる介護が受けられなくなったり、介護事業所の運営が困難になって、介護労働者の処遇の低下や事業所の撤退も起きました。

 要支援者の生活介護の多くは、現在も資格のあるヘルパーが切り下げられた低い介護報酬で担っているのが実態です。介護の質を引き下げ、処遇の低下となる新総合事業の緩和サービスAは中止し、国基準と同じ介護報酬に戻すべきです。

 普通徴収の介護保険料滞納者は、1557人にのぼっています。特に低所得者の負担が苛酷なため、多くの滞納者となっています。来年度からの介護保険料の設定に当たっては、保険料段階をさらにきめ細かく設定して低所得層の保険料の引き上げをやめるとともに、保険料・利用料の軽減制度を住民税非課税世帯全体に拡充すべきです。

後期高齢者医療事業会計

  2016年度は保険料の改定がおこなわれ、均等割が4万2200円から4万2400円に、所得割が8.98%から、9.07%に引き上げられ、平均保険料は年額13万9998円で、前年度に比べ平均2779円の引き上げとなりました。このため、普通徴収者9779人のうち、滞納者数は、現年度分で3111人と前年度に比べ25%(638件)も増えました。

 医療費がかかる75歳以上の高齢者だけを囲い込み、高い保険料を押し付ける制度自体が社会保障の理念に反するものです。この制度は廃止すべきです。