HOME > 区政の焦点 > 議会の動き > 牛尾まさみ議員は、10月12日の決算特別委員会で、令和2年度渋谷区一般会計、同国民健康保険事業会計、同介護保険事業会計、同後期高齢者医療事業会計決算に反対する討論を行いました。

牛尾まさみ議員は、10月12日の決算特別委員会で、令和2年度渋谷区一般会計、同国民健康保険事業会計、同介護保険事業会計、同後期高齢者医療事業会計決算に反対する討論を行いました。

 牛尾まさみ議員は、10月12日の決算特別委員会で、令和2年度渋谷区一般会計、同国民健康保険事業会計、同介護保険事業会計、同後期高齢者医療事業会計決算に反対する討論を行いました。


決算特別委員会 2020年度決算への反対討論

2021.10.12 牛尾

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました認定第1号、令和2年度渋谷区一般会計、認定第2号、同国民健康保険事業会計、認定第3号、同介護保険事業会計、認定第4号、同後期高齢者医療事業会計の各歳入歳出決算について、反対の立場から討論します。
 2020年度は、年度を通じて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに襲われました。区民はいつ感染するかもしれないという不安にさらされ、日常生活は一変させられました。また、飲食店やイベントなどが大きな制約を受けても補償は全く不十分なままで、廃業する事業者も相次ぎました。それだけに区民のいのちとくらし、営業を守る区政の役割発揮が求められていました。
 ところが、長谷部区政は、9回も補正予算を組みながら、コロナで苦しむ区民のための施策は国や東京都任せで、区の独自施策はほとんどありません。予算を超える税収や繰越金も区民のために使わず、財政調整基金に40億円を積み増した結果、年度末の基金残高は1100億円に増えました。コロナに苦しむ区民や事業者にあまりに冷たいと言わざるを得ません。
区民には、国保料や後期高齢者医療保険料を引き上げ、家庭ごみの有料化も検討しています。区独自の介護保険の上乗せサービスなど福祉を削り、新島青少年センターを廃止しました。
 その一方で、大企業中心の渋谷駅周辺再開発事業への税金投入を進め、宮下公園に続き、美竹第二分庁舎跡地や美竹公園でも、区有地を大企業の利益のために差し出す事業を進めています。さらに、区立公園整備へのパークPFI手法の導入、官民連携事業で区民の財産を使って大企業に儲けさせるなど、区政の変質をすすめています。
 区民に負担増と福祉の切り捨てを押し付け、大企業のもうけを最優先にした決算は認められません。
 以下、各部ごとに決算の問題点を指摘します。

[経営企画部]
 官民連携事業として一般社団法人渋谷未来デザインに、これまで事務局長として派遣してきた区職員が退職。改めて雇用するための人件費や事務局職員3人分の共済費など1565万円を執行し、2017年度の設立以来の4年間で1億5798万円が投入されました。
 渋谷未来デザインは、出資企業に新たな収益事業を提供するために、区が官民共同で設立した一般社団法人で、区民の公共財産を活用した事業展開を掲げています。この年度は、東急をはじめ67もの民間企業が参加する渋谷5Gエンタテインメント事業、産官学民データの利活用をすすめるスマートシティ事業、京王電鉄などと協力して進めているササハタハツのまちづくりなどを実施しました。また、予算に計上されていないバーチャル渋谷ハロウィンに1000万円を支出しましたが、議会にも報告しませんでした。区民の税金や職員を民間企業の利益のために差し出しながら、議会にさえ報告しないのは、自治体本来の役割を逸脱した税金投入であり認められません。

[総務部]
●公契約条例については、19年度からは支払い賃金についても確認できる書類作成を要綱等で求めるなどの改善が行われていますが、労働組合などの現場調査では、依然として設計労務単価を下回る賃金が明らかになっています。区として現場調査を行うとともに、対象工事を拡大するために予定価格を引き下げるべきです。

●男女平等・ダイバーシティセンターの相談員は専門員2名、補助員1名の3人とも非常勤です。コロナ禍でDVや女性の貧困などジェンダーギャップが社会問題になっており、相談員を常勤にするなど、相談体制を強めるべきです。

[財務部]
 財産管理では、渋谷区公共施設等総合管理計画では、今後40年間に必要な更新費用を2634億円と試算していますが、国の示した全国一律の更新単価を用い、40年後まで同じでは信憑性がありません。その試算をもとに、「不要な施設については統合や用途変更、また、廃止」し、更新にあたっては「民間の技術・ノウハウ、資金等を活用する」としていることは問題です。
 公共施設の管理・長寿命化に必要な経費は、区独自で科学的裏付けのある試算を行うとともに、区民福祉の増進のためにある公共施設の在り方については、統合や用途変更を前提とするのでなく、区民の声を十分に聴くべきです。公共施設を民間企業の儲けの場に変えるPPP/PFIは活用すべではありません。

[危機管理対策部]
●客引き行為等防止指導員配置について、コロナ禍でDVや貧困を原因として、少女が性的搾取にあうケースが増えています。指導員を増員し、原宿、表参道界隈も対象にするとともに警察との連携も強めて性的搾取の被害を減少させるよういっそう強化すべきです。

●帰宅困難者対策として、シブヤ・アロープロジェクトに3071万円余を実行委員会丸投げで支出しています。内訳は、2か所の作品制作に2011万円余、広報などに991万円余などです。区民からは、「帰宅困難者が一目見ても、避難場所を示しているとはわからない」との声が寄せられています。目的も役割も明確でないこの事業は、税金のムダ遣いであり、やめるべきです。

[区民部]
●新型コロナワクチンの高齢者向けの接種では、区役所の地域の出先機関としての出張所の役割の大切さが再認識されました。出張所は、地域コミュニティ支援と、窓口業務を一体のものとしておこなう拠点として各地域に配置すべきです。新橋出張所の窓口業務を再開するとともに、渋谷サービス公社への窓口業務の委託はやめ、区の職員が対応すべきです。

●河津さくらの里しぶやには、運営費、施設維持管理費として1億3037万円余が執行されました。施設維持管理費では、老朽化などによる9件の工事などに865万円余が執行されました。この年度の利用者は宿泊者が5434人、休憩者が331人の合計5765人で前年度の6割に減りましたが、運営費では、コロナ感染症による減収補填740万円が補正予算で追加支援されたため、事業者はコロナ禍でも1410万円の利益を上げました。コロナで苦しむ区内事業者にはわずかな支援しかないのに比べ、あまりに手厚い支援となっていることは明らかです。
 この施設には、これまでに取得など開設前に2億4千万円余、開設後7年間の運営と維持管理に13億3千万円余が投入されてきました。毎年のように多額の費用をかけて運営、改修を続けることは、税金の無駄遣いで認められません。

●新型コロナ感染症は、区内の中小事業者にも大きな影響を与えており、営業を継続するための支援が強く求められていました。区が行った支援策は、返済が必要な融資のほかは、キャッシュレス決済を推進するためのキャンペーン事業に1億7300万円余を執行しましたが、その効果は定かではなく、美味しい渋谷区パスポートに2800万円余が執行され、166店舗が参加したものの、月750円のパスポートを購入した利用会員は72人にすぎずません。二つの事業は、結局、区民や事業者支援にはほとんど効果がなく、PayPayなどのアプリ運営事業者を支援したにすぎません。コロナで疲弊した事業者への固定費などへの直接支援を実施すべきです。

〔都市整備部〕
●市街地再開発事業として、渋谷駅桜丘口地区に共同施設整備費として3億3800万円、公共施設管理者負担金として6億500万円、合計で9億4300万円が投入されました。今後も含め、全体で80億円の公費投入が予定されていますが、区民や小規模事業者を追い出してすすめる大企業のための再開発に多額の税金を投入することはやめるべきです。

●渋谷駅中心五街区整備事業には9億2707万円余が支出されました。そのうち、渋谷駅街区北側自由通路整備事業には、これまで約8億円が投入され、2020年度は4億円が、また、南口北側自由通路の工事委託料として4億9539万円余が執行されましたが、これらの支出は、本来、鉄道事業者や再開発事業者が負担すべきもので、区の税金投入は認められません。

●渋谷駅周辺整備調整事業として、ステップアップ事業検討業務に410万円余が支出されました。これまで区は渋谷駅周辺の再開発に合わせてまちづくり支援などの名目で区費を投入してきましたが、この事業は区が都と共同して、広大な公有地を使った再開発を誘導する事業です。事業者によって整備される美竹公園を指定管理に移行することや、災害時の避難所となっている旧渋谷小学校の体育館は、美竹公園の地下に整備して、開発業者が最大の利益を上げることができるように事業者募集の要項で示され、開発事業者の利益優先の土地利用ができるよう便宜を図っています。また、都区の共同事業と言いながら、応募された事業案の審査は「稼ぐ東京」を掲げる都が行うなど、都の主導であることは明らかです。
 区民の共有財産である区有地は、かつて地域住民が提案要望した特養ホームや保育園など、区民のために使うべきで、美竹公園は区立公園として区が直接整備すべきです。

〔土木部〕
●新宮下公園に関連した支出は、新宮下公園整備事業の6億5586万円余と、公園維持管理費として、指定管理料に1億3199万円余、共用部管理業務負担金に2408万円余などの合計1億8364万円余、総額で8億3951万円余が執行されました。開設された新宮下公園は、わが会派が指摘したように商業施設の付属施設のような公園となり、誰もが自由に使える公園の機能は大きく制約されています。
 また、公園の指定管理者には、三井不動産と西武造園による宮下公園パートナーズが一者応募で選定されましたが、この年度の収支は収入が1億5280万円余に対し、支出は1億3763万円余で、管理運営でも利益を上げました。
 区はこれまで、定期借地料の190億円の値引きや、ホテル建設を可能にするための都市計画の変更、公園内の運動施設の使用料を大幅に引き上げながら収益見込みは低く査定するなど、三井不動産が利益を上げるための様々な便宜を図ってきました。区有地を民間に差し出す手法は、区政をゆがめるものでやめるべきです。

●区は、北谷公園の整備にパークPFIを導入し整備しました。これは、民間資金による整備と引き換えに、園内に収益施設の設置を可能にし、事業者が利益を上げることを認める公園整備手法です。また、この整備手法を恵比寿南一公園にも取り入れ、サッポロ不動産開発などを事業者に選定しましたが、公園を営利事業の場に変質させるもので認められません。

[環境政策部]
 区は、廃プラスチック等の資源化、家庭ごみ有料化等基礎調査を実施しましたが、区民や議会に何の説明や報告もせず、家庭ごみの有料化についての調査を行ったことは重大です。廃プラスチックの再資源化は地球温暖化対策として当然ですが、基礎調査では家庭ごみの有料化のまとめとして「国は有料化の推進を明確にしており、家庭後も有料化に向けた検討が必要」とし、今後の方向性として「他区に対して23区共同実施を積極的に働きかけること。共同実施が困難な場合は、渋谷区単独での導入について検討すること」と明記しています。
 調査では、「不法投棄の恐れがある」「基礎的な行政サービスなので税金で」「経済的負担が増える」など、区民の7割が反対しているのに、家庭ごみの有料化を既定のものとして進めることは認められません。

[子ども家庭部]
●コロナに感染した保育園児は8人、保育士は15人で、今年4月以降は、8月末で園児61人、保育士59人と増えています。子どもたちをコロナ感染から守り、保育従事者が安心して働けるように、定期的なPCR等検査が必要です。区は、陽性者が出た場合に限り、「マスク無しで15分以上会話」など極めて狭い範囲しか検査しないことは問題です。本人負担なしに、保育士や子どもに定期的なPCR等検査をすべきです。

●中学校3年生までの子どもの医療費を無料にするために、8億8026万円余の予算がつけられました。しかし、コロナ禍での受診控えで、執行額は6億9796万円余でした。コロナ禍で格差と貧困が広がり、多くの保護者が減収で苦しんでいる時こそ、高校生までの医療費無料化を実施すべきです。

●2019年の台風15号によって甚大な被害を受け、使用不能になった新島青少年センターについて、新たな施設を建設すると区長が表明し、この年度に4578万円で解体工事を実施しました。ところが、突然、区長は方針を転換し、第4回定例会で廃止条例を提案し強行しました。2019年4月から台風被害までの利用者は1337人でした。
 大自然の中で、子どもや青少年がふれあい、成長する大切な施設を廃止したことは断じて認められません。

[教育委員会]
●児童・生徒のコロナ感染者は6人、教職員は5人でした。今年4月以降は、児童・生徒111人、教職員34人に拡大しています。教育現場で、感染を広げないために、無料での定期的なPCR等検査の実施が必要です。また文部科学省は、一人でも陽性者が出た場合、クラス全員など広く検査を行うよう通知を出しています。
 学校で感染者が出ても検査を抑制してきたやり方を見直して、広くPCR等検査を行うべきです。

●コロナ禍での分散登校で、一人ひとりの子どもに寄りそえる少人数学級の良さが見直され、子どもや保護者、教育関係者から実現を求める声が大きく広がり、ついに政府も段階的に小学校の35人学級を決めました。学校での感染拡大を防ぎ、子どものストレスを解消することが早急に求められており、渋谷区内の保護者も署名運動に取り組みましたが、教育委員会がこの声に背を向けたことは許されません。
 この年度は、小学校7クラス、中学校3クラスを増やせば、小中学校全学年での35人学級化が実現できました。子どもたちの安全を守り、一人ひとりに行き届いた教育を実現するために、中学校も含め早急に全学年で35人学級を実施し、30人学級をめざすべきです。

●年度当初から、区は非常勤職員であった学校図書館専門員を解雇し、派遣に切り替えました。長年、学校と連携した調べもの学習や、子どもに読書の喜びを育んできた職員を解雇したことは、許されません。直接雇用から派遣に置き換えたために、当初予算より1000万円も多い6240万円を支出することになりました。また所管を、教育指導課から中央図書館に変更したことは、学校図書館専門員と学校との連携を取りにくくする点で問題です。
 学校図書館は、一人ひとりの子どもが読書の楽しさや探求する喜びを学ぶ施設であり、学校図書館司書は、教育と切り離せない重要な役割を果たしています。派遣に置き換え、中央図書館の所属にしたことは、重大な教育の後退であり認められません。学校図書館法で位置づけられているように、すべての小学校に常勤の学校司書を配置すべきです。

●放課後クラブに有料プログラムが4校で先行導入されました。12コースの理科実験教室、10回の英会話教室3コース、ロボットプログラミングのコースなどで、1コースの負担は月4400円でした。
 放課後クラブは、保護者が就労等による留守家庭児の保育に責任を持たなければならず、子どもがありのままで受け止められ、のびのびと過ごせる家庭代わりの役割を果たすことが求められます。放課後児童クラブ事業に、有料プログラムを導入することは、経済的な理由で子どもの中に分断を持ち込むことになります。コロナ禍で、子育て家庭の貧困が重大な問題になっているときに、有料プログラムを導入したことは認められません。

●学校給食は、子どもの食育の場であり、栄養やバランスのとれた食事をとることで、心身共に健やかな成長を育むものです。すでに全国82の自治体が学校給食の無償化を実施しており、義務教育無償の原則に立って当区でもすみやかに実施すべきです。

〔福祉部〕
高齢者福祉について
●年度末の特別養護老人ホーム待機者は393人で前年より84人増となり、待機期間も最長で4年を超える人も含まれています。今年5月に84床のかんなみの杜・渋谷が開設しましたが、10月1日現在の待機者はすでに430人となっており、特別養護老人ホームの増設は待ったなしの状態です。幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地の取得やケアコミュニティ原宿の丘の再整備、代々木2、3丁目の国有地についてもひきつづき活用の可能性を追求し、高齢者が住み慣れた地域で安心して介護を利用できるよう特養ホームの増設を進めるべきです。

●介護職員の処遇改善について、介護職員の退職者は、けやきの苑・西原5人、あやめの苑・代々木7人、美竹の丘・しぶや17人、つばめの里・本町東18人の合計47人でした。この背景には、低賃金・過重労働の過酷な実態に、コロナ感染症対応の負担が加わったことがあります。2019年から「介護職員等特定処遇改善加算」が実施されましたが、厚労省の2020年度介護従事者処遇状況等調査によると、介護職員の平均月額賃金は、31万5850円で年収では380万円、全労働者の平均年収470万円より約90万円低いのが実態です。
 国に対して抜本的な処遇改善を求めるとともに、区として介護サービスの質を確保するため介護職員の賃金の引き上げを行うべきです。

●区独自の区型介護サービスは、介護保険制度では支援できない部分を区民の要望を受けて上乗せし、高齢者の権利を守り、家族の介護負担を軽減するために始まった制度です。しかし、2015年度以降、緊急派遣ヘルパーや外出介助を廃止するなど、年々予算を削減し、2020年度は8063万円、47%も削減したうえ、2737万円の不用額を出しています。
 介護保険の上乗せ事業として、廃止したサービスを復活するとともに、安心して介護が受けられるよう事業を拡充すべきです。

●新型コロナウイルス感染症対策事業について2点指摘します。
(1)介護施設向けの事業継続支援給付金として6500万円の予算計上がされましたが、決算額は1600万円で、執行率24.6%にとどまっています。国の持続化給付金の対象外となった介護事業所に4月から8月までの間に2か月減収となった事業所に対し、単独事業所50万円、2か所以上を運営する事業者に上限100万円の給付金を支給するものでしたが、利用できたのは93法人中25法人でした。国の補助対象外で、減収した区内事業所すべてに支援を実施すべきです。

(2)介護施設における新型コロナ感染者は、利用者で34人、職員で36人の合計70人でした。介護施設利用者等PCR検査事業は、リスクの高い高齢者の感染拡大を防ぐために早期に無症状の感染者を把握するため行政検査の対象外の57人に実施した検査ですが、1641万円の予算計上に対し決算額はわずか218万円、執行率13.3%と極めて低い実績です。介護施設の検査については、希望する利用者、職員に定期的に実施すべきです。
障がい者福祉について

●福祉タクシー券は、月額4600円だった支給額を2015年度から3500円に1100円も引き下げ、毎年予算を減らしてきました。2020年度は、前年度より905万円も減額したうえ、1625万円の不用額を出しています。障がい者の病院への通院などに、なくてはならない制度であるとともに、障がい者の社会参加を保証する制度です。早急に元の4600円に戻すべきです。また精神障がい者も支給対象に加えるべきです。

●新型コロナウイルス感染症対策事業の障がい者施設むけ事業継続支援給付金は、予算4950万円に対し決算額は1353万円で執行率は、27.3%、障がい者施設利用者等PCR検査事業費は、予算1369万円に対して決算額は116万円で、執行率はわずか8.5%、検査人数は51人でした。2020年度の感染者数は、利用者14人、職員13人の27人で、このうち18人が区立施設での集団感染で、利用者の方1人が亡くなるという最悪の事態になってしまいました。区として医師会の代表にも参加していただき二度と繰り返さないための検証が行われ、6つの課題が提起されましたが、特にPCR検査についての対応策として、厚生労働省通知をふまえ、関係機関と連携を図り迅速かつ適切に検査を実施することが指摘されています。
 2021年度は全国的に感染者が爆発的に拡大し、障がい者施設での感染者は、職員10人、利用者2人で、PCR検査は89人の実施となっています。感染者ゼロを目指し、希望するすべての職員、利用者に定期的な検査を行うべきです。

〔健康推進部〕
●保健所体制の強化について、新型コロナウイルスの感染が引き続き懸念される状況下で、感染防止の最前線に立つ保健所の体制強化が喫緊の課題となっています。2020年度は、派遣の看護師が9人から最大時13人、会計年度保健師3人、会計年度事務職員2人、任期付き事務職員2人の最大20人を採用しましたが、このほかに他部署や東京都の支援も受けて対応しているのが実態です。保健師や看護師などの専門職員を、今後の感染拡大に備えて常勤で採用すべきです。

【国民健康保険事業会計】
 2020年度の国民健康保険料は16年連続で引き上げられました。一人当たりの保険料は、医療分が10万4366円、支援金分が3万3063円、介護分が3万6082円で、年間平均保険料は3,168円の負担増となりました。滞納世帯は26%にのぼり、高過ぎて払えない国保料になっていることは明らかです。一方で、一般会計からの繰入金は、保険料の引き上げを抑えるための激変緩和分、3億7032万円余を含め、東京都への納付金分として5億6536万9千円を見込んでいましたが、決算で実際に支出したのは、わずか1億6430万円余にすぎませんでした。区が予算で計上した納付金分の繰り入れは、全額を繰り入れ、不用となった分は基金に積み立てるなど、翌年度以降の保険料軽減のためにあてるべきです。
 区の一般会計からの繰り入れを減らし、区民には生活実態を無視した保険料の値上げを押し付けたことは認められません。
 保険料が未納になっている人に対しては、コロナ禍のもとでも、短期証を369世帯382人、資格証を21世帯21人に発行し、差押えも63件も行ないました。コロナ禍で件数は減っていますが、延滞金の徴収は、1953世帯から8094件、2008万円余が徴収され、前年度比で1.67倍に急増しました。
 また、子どもに対する均等割保険料は、国民健康保険制度にしかない過酷な保険料算定の仕組みであるため、減額する自治体も年々増えています。子どものいる世帯の保険料は、同じ所得の他の医療保険制度と比較しても約2倍になっているだけに渋谷区でも軽減に踏み出すべきです。

【介護保険事業会計】
 この年度は第7期計画の最終年度で、保険料基準額は年額7万1520円ですが、社会保障の負担増に加え、コロナによる減収で、不足する年金をパートなどで補っている方々の困難が増しました。
 低所得者に対する国の軽減策やコロナにより3割以上所得の減った方には保険料軽減が実施されましたが、ぎりぎりの生活を強いられている高齢者には、耐え難い保険料です。実際、普通徴収の保険料滞納者は、5月末時点で1304人で、そのうち44.2%が住民税非課税世帯の第3段階以下で占められています。
 また、介護度別の利用料限度額に対するサービス利用率は、要支援1が35.8%、要支援2が25.7%、要介護1は47.5%、要介護2は57.2%、要介護3は63.7%、要介護4は66.1%、要介護5が73.9%となっており、前年度を下回る低い利用率となっています。区独自の低所得者に対する保険料軽減や利用者負担額助成は、住民税非課税世帯に対象を拡大し、預貯金制限は撤廃すべきです。
 介護予防・日常生活支援総合事業の緩和サービスAは、政府が、要支援者の生活援助介護を全国一律の介護保険制度から外し、自治体任せの総合事業に置き換えた制度改悪で開始されました。渋谷区の緩和サービスAの介護報酬は、訪問介護で約2割、通所介護で約3割も国基準サービスより安く設定されています。このため、緩和サービスの担い手が見つからず、必要な支援が受けられない事例も生まれています。
 そもそも専門職による介護サービスを、介護報酬の削減のために、要支援者を介護給付から外し、無資格者に担わせた緩和サービスAの制度が破綻しているのです。緩和サービスAはやめて、要支援者の介護サービスの報酬を国基準に戻すべきです。また、国は総合事業を要介護にまで拡大しようとしていますが、介護崩壊をいっそう進めるもので国に中止を求めるべきです。

【後期高齢者医療事業会計】
 2020年度の保険料改定で、均等割が4万4100円に800円、賦課限度額も64万円に2万円引き上げられました。所得割が7.72%に0.08%引き下げられたため、当区の一人当たりの平均保険料は14万3490円で前年度より下がりましたが、国の均等割保険料の軽減特例の段階的廃止で、年金額80万円以下の4169人は、年間4370円、80万円以上173万円未満の3299人は年間3427円の均等割保険料が引き上げになり、2年連続の大幅負担増となりました。
 延滞金も193件、48万9千円が徴収され、金額で前年度の7.35倍にものぼりました。
低所得の高齢者を狙い撃ちにした保険料引き上げは認められません。
 そもそも、医療費が多くかかる75歳以上の高齢者だけをほかの医療保険から離脱させて強制的に囲い込み、高い保険料を押しつける制度自体が社会保障の理念に反するものです。この制度は廃止すべきです。

 以上、令和2年度渋谷区一般会計ほか3事業会計の決算認定に反対する討論とします。