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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

いがらし千代子議員がおこなった渋谷区立河津区民保養施設条例に反対する討論

  私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただ今議題となりました議案第三十三号渋谷区立河津区民保養施設条例に反対の立場から討論します。

 

 本条例は、渋谷から特急電車で約2時間30分、交通費も片道6200円もかかる伊豆河津町の旅館旧菊水館を取得し、今年10月から箱根二の平渋谷荘に次ぐ第二の区民保養所として開設しようと制定するものです。しかし、土地、建物等の取得経過が不明朗であること、築50年の旧館等老朽化した施設であること、さらに税金の使い方として、区民に対しては国保料の連続値上げなど負担増を求めると共に、財政が厳しいとして子どもたちの教育予算や障害者などの福祉予算を削減する中での保養所設置は認められません。以下具体的に反対理由を述べます。

 

 第一に取得の経過についてです。

 そもそも区長が旧菊水館を取得し第二保養所にすることを区議会に明らかにしたのは、昨年の第四回定例区議会が終了した直後です。そして今年三月の第一回定例会には、土地と建物の取得予算1億1000万円と修繕費7448万円、運営費の4377万円の合計2億2800万円もの予算が計上されました。この旅館を利用したことのある区民の方からは、「交通費も高く、駅からも遠い。」別の方からは「保養所は二カ所も入らない、足りない特養ホームや保育園をつくるべきだ」などの声が出ているのが実態です。こうした中で我が党は、定例議会の代表質問や総務区民委員会で取得の経緯と、我が党の調査でこの不動産が昨年10月7日に競売にかけられ、今年の1月10日には取り下げられていたことについて区の認識を、明らかにするよう求めてきました。

 これに対して区長は三月議会の所信表明では、事実を明らかにせず「河津町にシニアバス旅行を実施してきたがその関係者から廃止予定の旅館を紹介してもらった」としかのべていませんでした。ところが、今議会の答弁では、「旧町長、町会の方、ないしは観光協会の方から聞いた」と、答弁を変えました。このことは、明らかに取得の経過を覆い隠すものです。さらに、「競売については、云々言っているが、過去のことを問うのではなく、保養所にふさわしいかどうかの一点にある」「競売については取り下げられてから知った」とも述べています。

しかし、区が実施した鑑定評価書を見ると、旧菊水館の現地確認は昨年9月13日に、渋谷区の職員立ち会いのもと行われており、鑑定評価は11月1日実施、鑑定結果は11月29日に区に報告されているのです。この間に競売にかかっているのですから、それが明らかになれば当然評価額も取得価格も変わるはずで、競売について、取り下げてから知った、等とは、とても信じがたいことで、区民と区議会を欺くようなことを認めることはできません。また、区が取得した旧菊水館についての鑑定評価書が区議会に提出されたのは、予算審議が終わり、取得の契約も終わった5月7日でした。、鑑定評価書に指摘してある事実を取得前に区議会に明らかにしなかったことは取得先にありきの議会軽視で認められません。

 

 第二に施設の老朽化と税金の使い方の問題です。

 鑑定書が、予算審議前に区議会に出されていればその指摘事項からみて、到底取得できる物件ではありません。

  鑑定書によれば旧菊水館は、築18年の新館と築50年を越えている東館が渡り廊下でつながっているクアハウスであり、旧館については、修理、補修を重ねてきた古い建物で、物理的に経年相応の摩滅、破損、老朽化が認められ、耐震診断はされていないと指摘している。さらに付帯設備の電気設備は、昨年8月8日の関東安全保安協会の点検結果として、事務室、電灯盤の分岐回路に漏電遮断機が設置されていない。非常用発電機、吸排気装置が腐食しているなどを指摘し改修要請が出されていること。

 エレベーターについても制御盤内管理リレーと半導体基盤、油圧ポンプの駆動ベルト、ドア駆動ベルトの耐用年数が経過しているなど9項目の取り替えを求めています。さらに、平成24年にはエレベーターなどの定期報告結果について、下田土木事務所長名で、建築基準法12条の規定により報告された内容を確認した結果、指摘事項について必要な対応を実施するよう求めると共に、必要な対応に関する基本的考え方として、既存不適格事項、として建設当時は建築基準法に適合していたが、その後の法改正により、現在の規定には適合していないものだとし、防災対策上早期に改善することが望ましい、と指摘しているのです。

 また、築32年の体育館についても経年相応の摩滅、破損が指摘され、築40年を越えている温水プールも、関東電気保安協会の点検結果、濾過器に高感度高速の漏電遮断機が設置されていないため、改修要請がされていることを指摘しています。

 しかし区が10月の開設前に実施する予定の修繕内容は、大浴場と共同トイレのバリアフリー化、居室の風呂の改修などで、改善が求められているエレベーターの工事も行わず、秋にならないと耐震診断の結果もでない、として耐震補強もしないまま開設しようとすることは、区民の命や安全よりも旧菊水館取得を優先させるもので、認めることはできません。 

鑑定書で指摘されている老朽化している建物と設備を改修しようとすれば修繕費だけでも多額の税金投入が必要なことは明らかです。 またこの施設を維持していくための、運営費は半年で4377万円で年間では8750万円にもなります。さらに耐震補強工事を実施すれば、今後莫大な税金負担を区民に求めることになります。

 この間渋谷区は区民に対して、区財政が厳しいといって、わずか36万円の親子スケート教室予算や地区体育会の団体保険料の110万円を削減したり、特定疾病患者と障害者に対する福祉予算9289万円などを削減しています。また、国民健康保険料の連続値上げに区民からは悲鳴の声が上がっています。値上げの通知が届いた区民からはこの間だけでも700件を越える、苦情問い合わせが窓口に寄せられているのです。

 地方自治体本来の役割である福祉の増進の予算を削る一方で、多くの自治体が閉鎖したり廃止している中で、新たに2カ所目の保養所を設置することは、税金の浪費でありやめるべきです。

 以上反対討論とします。

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