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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2015 第3回区議会定例会 マイナンバー条例に対するいがらし千代子議員の反対討論

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、認定第1号2014年度渋谷区一般会計決算の認定に反対する立場から討論をおこないます。
 2014年度は、安倍政権が消費税8%の増税を強行し、国民に8兆円の負担増とともに医療、年金、介護など社会保障の改悪で給付削減をおこない増税分と合わせるとなんと10兆円の大負担増を押しつけたこと。また、違憲の集団的自衛権行使容認の閣議決定をおこない立憲主義を壊したことは絶対に認められません。
 こうした安倍政権の暴走は区民のくらしと平和をおびやかしています。わが党区議団が、実施した区民アンケートでは、74%が「暮らしが大変」と回答し、各種世論調査では、「憲法9条守れ」が半数にのぼっています。実際、区民のくらしの実態は、2014年度、課税所得が200万円以下は、課税者の実に48・52%に達しています。また、就学援助の受給率は中学生で37・4%を占め2・6人に1人となっています。さらに、生活保護世帯は2753世帯に増加、1年間の区内の倒産件数は144件、それによって職を失った人は727人と深刻となっているのです。
 この区民のくらしを直視し、自治体の役割である区民のくらし、福祉を守ることを最優先にした行財政運営が強く求められていたのです。
 ところが、桑原前区長は、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の値上げ、特定疾病患者福祉手当の廃止など福祉の心をなげすてる一方、大企業の利益を応援する区役所、公会堂の建替え、宮下公園の再整備、また、渋谷駅周辺の大型開発を推進してきました。さらに、住民無視の税金のムダ使いと区民から批判があがっている河津町の第2保養所や幡ヶ谷2丁目の防災公園用地の土地取得など自治体の本来の役割をゆがめていると言わざるを得ません。

 反対の第一の理由は、住民無視、住民不在、大企業の利益優先の決算になっていることです。
 まず、庁舎、公会堂の建替えの計画です。
 庁舎、公会堂は区民の大切な財産です。この庁舎等をどうするのかを区政の主人公である住民に何ら知らせず、情報提供をせず区と議会だけで決めていいはずはありません。区が打ち出した計画は、区庁舎、公会堂の土地の3分の1を70年という長期間、三井不動産に貸しつけ、区はその土地の貸付料で庁舎と公会堂を建て替えてもらう。三井不動産は借りた土地に39階、約420戸の高層分譲マンションを建て、利益をあげるというものです。
 区が住民説明会を開催したのは2014年11月12日から19日にかけ、5会場1度開催したのみという住民無視の異常なものです。
 私はすべての会場に参加しましたが、この住民説明会は桑原前区長が住民の声に「聞く耳を持たない」態度で、前区長はほとんど住民の意見に反論し、とても住民説明会といえるものではなかったことを強く指摘します。
 区庁舎は区民サービスの中心施設であり、そのあり方を変える場合、住民の声を聞いて決定していくのが当然のルールです。
 70年という長期間、民間企業に区有地を貸出し、その対価で庁舎等を建て替えてもらうという重大なことを後にも先にも5会場一度の住民説明会しか行わず、またパブリックコメントも実施しないことに住民から抗議の声が出され、広く住民の声を聞くべきだという声はどの説明会会場からも出たのです。
 また住民からは、耐震補強か建て替えかどうするかの段階や建替え計画に応募した事業者の5案について、どれにするのかという段階でも住民の意見を聞くべき、との質問に前区長は「区民にいちいち説明する時間がなかった。」と答えるなど前区長の説明会にのぞむ姿勢は、まさに住民無視、住民不在の態度と言わなければなりません。庁舎の建替えを行った豊島区では出張所ごとに100回を超える説明会を行っていることをみても住民不在の姿勢は明らかです。
 さらに、区庁舎の建替えの方法は、庁舎等と三井不動産が建てる分譲マンションと一体事業にもかかわらず、分譲マンション部分は一切説明しない。しかもボリュームも資金計画も明らかにせず、全体像が示されないというものです。結局、住民説明会は区が決めた三井不動産の計画を住民に押し付けるものであり「説明会を開催した」というアリバイづくりに用いたものと言っても過言ではなく、こうしたやり方はまったく道理のないものです。
 前区長は「税金を使わないで建替えができる。」と言ってきたが、2014年度は6億9077万円を支出しています。区は、区民の財産を三井不動産の利益のために貸し出すもので、中止すべきです。
 わが党は、現庁舎は耐震補強工事を実施すれば20~30年は使用できる、と理事者自身が説明していることから、安全性をいち早く確保でき、区民サービスを低下することのない方法として、中間階免震方式による耐震補強工事を実施し、庁舎のあり方は、区民参加で練り上げるべき、と提案してきました。

 また、宮下公園整備計画では、2014年度は検討会設置に57万6千円を支出しています。庁舎建て替えと同様の手法で、三井不動産に30年間宮下公園を貸し出し、三井不動産は公園を三層にし、商業施設や17階のホテルを建設する計画となっており、定期借地権と基本協定の議案は区議会に突然提出されたものであり、区民には知らされず区民合意すら得られてないもので、こういうやり方は認められません。結局、区議会では継続廃案となったことを区長は重く受け止めるべきです。
 そもそも都市公園は、誰もが使用できることを保障するべきであり、防災空間としても自治体が直接責任を担うことが重要です。その公園を営利企業に貸し出し、利益を上げさせる手法は、自治体を開発会社化するもので、自治体の本旨をゆがめるもので認められません。
 さらに、東急を中心とした大企業のための渋谷駅周辺開発では、北側自由通路の整備費として15年間で20億円の税金投入。2014年度は、9463万円を支出しています。また、南口北側自由通路建設では、東急電鉄が建設するホテルと東急不動産が主導している桜丘地区の再開発のために整備するものであり、1316万円が支出されています。本来、その事業者などが負担すべきであり、税金を投入することは認められません。また、東急駅舎跡に東急のホテル建設が計画され、そのために区道を廃止したことは企業に便宜をはかるものです。大企業優先の渋谷駅周辺開発事業への巨額の税金投入は認められません。

 反対の第二の理由は、不要不急の事業に税金を浪費した決算であるからです。
 2015年2月23日に幡ヶ谷二丁目の防災公園用地取得のため、所有者と売買契約を交わし、3月4日に31億9628万円を支出しました。
 そもそも、区が取得しようとした用地は土壌汚染されており、調査が必要な用地であったにもかかわらず、前区長はトップダウンで用地取得先にありきですすめてきました。
 重大な問題は、前区長は今年の3月区議会本会議でわが党の質問に「土壌汚染対策は売り主側の責任と費用負担で行う売買契約としており、区は最終的に土壌の入れ替えが行われた後にその土地を取得する。」と答弁したのです。
 ところが、土地取得前の2014年12月に区が1285万円を支出して土壌汚染調査を実施したことが明らかになりました。このことは前区長が議会と区民をあざむき、不当な税金の支払いをしたことであり絶対に認められません。また、区が実施した土壌汚染調査の結果、鉛等の重金属が環境基準を大きく超えており、調査結果を議会にも区民にもまったく知らせていないことは二重にあざむくことであり、区の隠ぺい体質を認めることはできません。
 こうした土壌汚染を知りながら、区民にも知らせず、取得先にありきで用地取得したことは誤りであったことを強く指摘します。
 二つ目は伊豆河津町の第二保養所です。
 わが党は、第二保養所の不透明さを明らかにしてきました。競売物件をなぜ鑑定評価額にほぼ近い1億1千万円で取得したのか、なぜ築50年の物件を耐震診断もせず、取得後に耐震診断をおこなったのか。
 しかも耐震診断の結果が出る前に、10月開設のために東館の浴場や内部改修後等に9460万円を支出。ところが、東館の耐震診断の結果、東館と大浴場は耐震不足で使用できなくなり、改修に使われた2千万円の税金を浪費したこと、運営費もサービス公社が委託を受け、さらに伊豆急コミュニティに委託したことによって当初予算の4377万8千円が約7677万8千円に増加しているのです。これまで、第二保養所への税金投入は約5億円にのぼり今後も新館の改修等に多額の税金が投入されることになる河津町の第二保養所は廃止すべきです。

 反対の第三の理由は、福祉の心を発揮すべき自治体が福祉施策と防災対策を後退させている決算であるからです。
 特定疾病患者福祉手当は、2014年4月から心身障害者福祉手当に統合、廃止したことは難病患者のくらしの命綱ともいうべき生活の糧を奪うもので絶対に認められません。
 特定疾病患者福祉手当の受給者は2184人にのぼっていましたが、このうち1481人、受給者のなんと7割が手当を打ち切られるという非情な制度廃止をおこなったのです。
 このため、削減額は2億7千546万6千円にものぼり、難病患者にとっては約2億7百万円の負担増になったことになります。難病患者の生活は、毎日毎日が闘病生活を送っており仕事も十分にできず福祉手当の年間18万6千円の手当が生きる力になっていたのを打ち切ることは許されることではありません。
 また、憲法25条で最低限度の生活を保障されるべき生活保護基準が前年に続いて、2014年4月から引き下げられたことは認められません。区が独自施策として実施していた夏、冬の臨時特別給付金を復活させ、物価が高い区内での生活を支援すべきです。
 また、熱中症による不幸な事故をなくすためにも実態調査をおこないクーラー設置費補助を実施すべきです。
 防災対策では、切迫した首都直下型地震に備え、倒れない燃えない住宅の耐震化、耐火化が緊急に求められています。ところが、2014年度の木造住宅の耐震補強工事の実績はわずか7件にとどまっています。耐震補強工事の補助額を抜本的に引き上げるとともに、区の住宅耐震化の目標数値を改めて明確にすべきです。また区内の民間福祉施設や本町、千駄ヶ谷、初台区民会館の耐震化を早急に実施すべきです。

 反対の理由の第四は、未来ある子どもを大切にする教育、保育を拡充する決算になっていないからです。
 2014年度の保育園の待機児童数は、昨年度の2倍を超える252人にのぼり、待機児解消、待機児ゼロはまったなしの課題です。
 区内の子育て世帯は、安心して子どもを預けて仕事に就きたい、と切実な声を上げており、区のニーズ調査では認可保育園を希望する声は過半数を超えているのが実態です。
 公立保育園は渋谷区の子育ての拠点として、渋谷区の保育の質の向上のため大きな役割を果たしているのです。ところが、区は財政削減、効率化の名のもと区立桜丘、西原、上原、神宮前保育園を次々と廃園にし、さらに本町第二保育園を今後廃園にし、安上がりの認定こども園に置き換え公的責任を後退させようとしていることは認められません。
 区は、国有地、都有地、民有地の活用を積極的に行い保育の必要なすべての子どもたちに良好な保育を保障するため認可保育園を基本に待機児ゼロを実現すべきです。
 また、区立幼稚園は学校教育法に基づいて設置され、幼児教育を担う子どもと保護者、区民のかけがえのない施設です。2012年度は31人が在園していた区立西原幼稚園を、2014年度から廃園にしたことは子ども、保護者、地域住民の願いと議会で採択した区立幼稚園の存続を求める請願にも反すると言わざるを得ません。区立幼稚園の存続とともに、早急に3歳児保育を実施すべきです。
 小、中学校の少人数学級の実施は、子どもの人格形成を完成させるうえで、教師がゆとりをもって子ども一人ひとりに寄り添っていく教育を実践していくためにも今、強く求められています。
 区内の小、中学校のクラスでは2014年度で小学校が4クラス、中学校で2クラスが36人以上のクラスです。区独自に、早急に全学年で35人学級を実施し、30人学級を目指すべきです。
 また、学校給食費について、消費税増税分を保護者負担にしたことは認められません。学校給食は食育であり、大事な教育の一環であり、義務教育の無償の原則にたって、子どもと保護者の願いである学校給食費の無料化を実施すべきです。
 さらに、地域のスポーツ振興を向上させるため、廃止した本町学園以外の全校で実施していた夏季の学校開放プール事業を復活し、地区体育会等の補助金を増額すべきです。
 以上、一般会計の認定に反対する討論といたします。
 
 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して認定第2号2014年度渋谷区国民健康保険事業会計、認定第3号渋谷区介護保険事業会計、認定第4号渋谷区後期高齢者医療事業会計の各決算の認定に反対する立場から討論をおこないます。
 2014年度の国民健康保険の被保険者は4万6261世帯、6万3307人にのぼっています。そもそも、国保事業は、憲法25条に基づく社会保障の重要な一つであり、国民皆保険制度の根幹をなすものです。ところが、国保料は2014年度も一人あたりの年額平均で11万7684円となり、4930円の値上げをおこない11年連続で値上げするという区民にとって耐えがたいものとなっています。
 例えば、若い夫婦と子ども一人の3人世帯で給与収入が3百万円の場合の保険料は年額26万4273円となり10年前の11万232円に比べなんと15万4041円の大負担となっており、毎年の保険料値上げが区民生活を深刻な事態においこんでいるのです。
 保険料を払いたくても払えない滞納世帯は30・04%に達しているのです。このため保険証が取り上げられ資格証明書は57件、短期証明書は572件が発行される事態となっています。2014年度の決算では、5億円の翌年度繰り越しとなっていることからも値上げしたことは認められません。
 また、国がすすめる国保事業主体を都道府県とする広域化は、住民の声が反映されなくなり区市町村の単独事業もおこなえず保険料の値上げに拍車をかけるもので認められません。保険料の値下げのために区は国や都に負担金を引き上げることを要請すべきです。
 また、国に対して70歳から74歳までの医療費の窓口負担を一割から二割負担への改悪は中止するよう求めるべきです。
 次に、介護保険事業会計についてです。
 2014年度は、介護保険制度導入から15年目、介護保険制度の理念は「家族から社会的介護へ」高齢者の尊厳を守ることでした。しかし、政府による介護保険制度の相次ぐ改悪によって「保険あって介護なし」、「介護難民」と言われるように特養ホームの待機者は全国で52万人、区内では、2014年度10月1日現在683人にのぼり、親の介護のため離職者は全国で10万人にのぼり家族介護の負担は解消されるどころか一層深刻になっているのが実態です。また、3年ごとに値上げされる高い保険料は消費税増税、年金支給額の削減などによって高齢者のくらしに重くのしかかっています。
 2014年度の一人当たりの平均保険料は6万3633円となり、区の保険料軽減制度の実績は生活支援手当支給をふくめてもわずか84人です。せっかくの低所得者のための軽減制度に、預貯金限度額という高いハードルをもうけ、軽減制度を活用させない要件は撤廃すべきです。また、高い利用料についても毎月の利用料は5000円が限度という区民からの切実な声があがっています。
 介護認定者が介護サービスを利用する利用率は利用限度額の55%にとどまっています。利用料の低所得者への負担軽減制度も保険料と同様に預貯金限度額を撤廃し、住民税非課税世帯が必要な介護サービスが受けられるように早急に改善することを強く指摘します。 区は、独自施策を拡充し、軽度者への介護サービスの切り下げをやめ、施設でも、在宅でも安心して必要な介護サービスが受けられるよう大胆な改善を強く求めます。
 次に、後期高齢者医療事業会計についてです。
 2014年度は、2年ごとの保険料が改定され、一人当たりの平均年額の保険料は13万9255円と値上げされたことは認められません。
 この制度が導入された当時の年収220万円の2人世帯の場合、年額で10万4300円だったものが、2014年では、12万7600円になり、なんと、2万3300円、1・22倍の負担増となっているのです。この制度そのものが年齢で高齢者を差別する最悪の医療制度であること、また、必ず高齢者人口が増加すれば保険料が値上げされる制度設計になっていることなど老人福祉法の精神にも反するもので認めることはできません。
 国に対し、差別的な医療制度は速やかに廃止し、もとの老人医療保険制度に戻し、再構築することを求めるべきです。
 以上、各3会計の認定に反対する討論といたします。

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