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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2015 第4回区議会定例会 トマ議員の宮下公園基本協定反対討論

 私は、ただいま議題となりました「議案第76号新宮下公園等整備事業に関する基本協定締結について」、日本共産党渋谷区議団を代表して、反対の討論をおこないます。

 本議案は、渋谷区は1万592平方メートルの広さを持つ宮下公園を三井不動産に30年貸付け、その借地料は施設整備を含め、235億2100万円とする、三井不動産は宮下公園を立体都市公園として整備し、1階の一部と地下を駐車場、1階から3階を商業施設、その屋上に公園を設置し、また、公園の北側に17階、200室のホテルを建設するための協定を結ぶというものです。

 私が本議案に反対する第1の理由は、区民のかけがえのない公園を営利企業の利潤追求の場に提供しようとしているからです。

 三井不動産が計画している商業施設の1階の5000平方メートルのスペースには、オープンカフェ、ファッションブランド、2階の6000平方メートルのフロアには、セレクトショップ、日本初進出ファッションブランド、ファッション雑貨、3階の5000平方メートルのスペースには、レストラン、ブックアンドカフェ、スポーツショップバーなどの出店が見込まれています。まさに、公園が一大商店街になるのです。

 また、公園北側に計画されている17階建200室のホテルですが、3月の際の計画では、公園面積の中に含まれていましたが、都市計画法の規定から公園内の施設としては建設できないことから、このホテルの用地を公園面積からはずし、その分を宮下公園の南北につなぐ通路の部分をデッキとして整備し、公園面積に組み込む計画に変更し三井不動産のホテル建設を推進する、そうしたことまでやろうとしているのです。
 こうした企業に便宜をはかるやり方は、余りにも異常と言わなければなりません。

第2の反対理由は、借地権の設定について、あまりにも三井不動産の有利なものになっており、半永久的に宮下公園を活用し、もうけをあげる仕組みになっていることです。

 第7条の2項で、「借地期間は、30年間に建設工事期間(現施設の解体期間を含む)お よび更地返還のための除去期間を加えた期間とする」とし、約35年の期間となるのに、借地料は30年分とプラス11億6600万円と安く三井不動産に有利にしているのです。

 そのうえ「借地期間の満了の3年前までに、区及び事業者は、相手に対して、定期借地権の再契約、本施設の無償譲渡等についての協議を、書面を持って申し入れることができ、相手方は協議に応じることとする」としていることは重大です。三井不動産が借地期間の満了の3年前に申し出れば、再契約される協定となっているのです。三井不動産が半永久的に利用させる協定は断じて認められるものではありません。

 反対の第3の理由は、区民の財産である貴重な公園を貸付けるにあたって、測量を実施せず協定を結ぼうとしているからです。
 今回の議案では、宮下公園の面積は、公簿面積をもとにしたもので、実測したものではありません。

 また、ホテルを建設する土地について、その面積は、3月議会の議案のさいには、公園面積の1割程度、1000平方メートルと言っていたのに、今回は560平方メートルという答弁でした。さらに、それに見合った広さが新たにつくる道路上のデッキ部分で確保できるのか、このことに対しても、明確な答弁はありませんでした。面積も確定せずに協定を結ぶということは許されるものではありません。

 第4の反対理由は、区民の大事な防災拠点としての公園の役割を後退させることになるからです。

 区当局は、今回の宮下公園の立体都市公園化計画について、地域のにぎわいの創出で施設には、これまで以上の集客があることを見込んでいます。まったく防災空間としての観点が欠落しています。

 都市公園は、人びとのレクリエーションの空間となるほか、都市の防災性の向上など多様な機能を有する根幹的な施設です。とくに、市街地中心部ではヒートアイランド現象の緩和、地震災害時の避難場所の確保、人びとの憩いの場の確保の点から整備が求められています。

 渋谷区は今後30年以内に70%の確率で首都直下地震の発生を想定しており、防災空間である公園の増設、整備が重要課題になっています。渋谷駅周辺は、建築物の不燃化がすすみ、延焼拡大のおそれが少ないため「地区内残留地区」と定めていることから、宮下公園は、重要な防災空間として整備していくべきです。

 ところが今回の議案は、防災空間としての役割を後退させるものであり、区民の生命を守る立場から逆行したものとなっているのです。

 第5の反対の理由は、区として、区民に対する説明責任を果たさず、主権者である区民の意見を広く聞かず、大事な決定をおこなおうとしていることです。

 本議案は、ことし3月の第1回定例会区議会の中間本会議に、桑原敏武前区長が、急拠、提出したものと実質的には同じものです。

 3月議会の際、地元の町会、商店会の代表から区議会に対し、「陳情書」と「要望書」が出され、定期借地権の契約をした後に、都市計画決定をすることについて、「住民の意見を聞いたうえで都市計画決定をするのがルール」などとして議会無視、区民軽視の議案に対し、きびしい対応を求めました。これを受けて、区議会では、全会派一致で本議案を審議未了、廃案にしたのです。それ以来、多くの区民にこの計画についてまったく知らせていません。

 今回提出された議案について区ニュースやホームページなどで広く知らせ、説明責任を果たすということをいっさいしていません。多くの区民にかかわる重大な計画について、パブリックコメント制度で区民に知らせ、意見を求めることをせずに、一方的に、協定を結ぶというやりかたは、住民無視のさいたるものといわなければなりません。

 今議会に新宮下公園整備事業に関する陳情書が出され、「区民や公園利用者の声を広く聞いたうえで議論される」ことの要望が出されています。こうした声を踏みにじって、協定を締結することは許されるものではありません。本議案は、区民の貴重な宮下公園を三井不動産のもうけのために差し出すものであり、こうした大企業優先の区政のあり方は言語道断といわなければなりません。以上の点から日本共産党渋谷区議団は本議案に反対するものです。

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