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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2015 第4回区議会定例会 五十嵐議員の安保請願賛成討論

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、ただ今議題となりました「安全保障関連法」の廃止の国への意見書採択を求める請願の採択に賛成する立場から討論します。

 本請願は、渋谷9条の会他45団体から出されたもので、請願者は9月19日安倍自公政権が強行成立させた「安全保障関連法」は、憲法9条が禁じる集団的自衛権の行使とともに、戦闘地域での兵站や、戦乱が続く地域での治安活動に道を開く違憲立法であること。

 さらに「安全保障関連法」が発動されれば、海外で戦争する国になり、戦後70年の我が国の「平和国家」の歩みを投げ捨てる法律であり、直ちに廃止すべきと述べ、渋谷区議会として「安全保障関連法」の廃止を求める国への意見書を提出することを求めているものです。

 請願に賛成する第1の理由は、「安全保障関連法」が憲法九条を蹂躙する戦後最悪の違憲立法だからです。

  憲法九条は、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第2項では、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。と明確に定めています。そして日本は戦後70年間この立場を守ってきたのです。

 ところが 「安全保障関連法」は、集団的自衛権行使という、海外でのむきだしの武力行使の危険があることが重大なだけでなく、「戦闘地域」での自衛隊のアメリカ軍への後方支援としての兵站活動を行うこと、また、PkO(国連平和維持活動)の改定によって、「駆けつけ警護」も可能になるなど、どれも戦争行為であり憲法違反です。

 このことは、六月の衆議院憲法審査会で、立憲主義をテーマに招かれた早稲田大学の笹田栄司教授が、「安全保障関連法は従来の政府の憲法解釈を踏み越えてしまったので憲法違反」と発言。慶応大学の小林節名誉教授は、「なかまを助けるために海外に戦争に行くというのは、憲法九条、とりわけ2項違反だ」と発言、さらに自民党推薦で意見を述べた早稲田大学の長谷部恭男教授も、「集団的自衛権が許されるという点は、憲法違反」とするなど、憲法学者三氏がそろって、「安全保障関連法」は憲法に違反するとの判断を示したことでも明らかです。その後も国会での参考人質疑等に参加した、内閣の憲法解釈の中心を担った元法制局長官の宮崎礼壱氏は「集団的自衛権行使容認は、従来の政府見解とは相容れない。今回の法案は、憲法九条に違反し、速やかに撤回すべきだ」と主張。また山口繁元最高裁長官からも「集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反」と厳しく指摘されたのです。さらに世論調査でも国民の過半数が憲法違反と答えているのです。「安全保障関連法」が憲法違反であることは明確です。

 第2の賛成理由は、「安全保障関連法」の成立が民主主義に反するからです。
 安倍内閣が「安全保障関連法」案を閣議決定した五月I4日、サラリーマンや学生、女性たち5000人が「9条を壊すな」「共同の力で戦争法案を阻止しよう」の声で国会周辺を囲みました。そして6月からは、学生組織SEALDsが戦争法案に反対する国会前の金曜日定例抗議行動をスタートさせ、若者の組織は全国12箇所に広がり抗議行動の先頭にたっています。その後「誰の子どもも殺させない」と立ち上がったママたちの会や、戦争法案に反対する女性のレッドアクション、集団的自衛権の行使容認に反対する学者等でつくる「立憲デモクラシーの会」は、「安保法制関連諸法案の撤回を求める声明」を発表、また「戦争する国」へすすむ安全保障関連法案に反対します」のアピールを公表した学者の会は11月現在、賛同者が1万4241人に発展しています。こうした運動の高まりの中、どの世論調査でも6割の国民が、「反対」、8割の国民が「説明不十分」と答えていたのです。全国の399の地方自治体からも反対・廃止、慎重審議を求める意見書が可決され、9月から共産党区議団が行った区政アンケートでも7割の区民の方が、反対と答えているのです。

 そして安全保障関連法成立後二ヶ月あまりがたちますが、廃止を求める国民の運動は発展しています。14の自治体が廃止の意見書をあげているのにくわえ、戦争法が強行採決された19日抗議行動は、北海道から沖縄まで全国各地で取り組まれ、国会正門前には9500人が参加し野党5党の代表も挨拶しました。さらに戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の29団体が呼びかけた、戦争法の廃止を求める統一署名は2000万人を目標に取り組まれています。こうした国民の声を無視し民主主義を否定することを認めることはできません。

 第3の理由は、に、安全保障関連法によって日本が二つの危険に直面しているからです。
 一つは、日本の自衛隊が戦後初めて、外国の人を殺し、戦死者をだす現実の危険が切迫していることです。安全保障関連法の最初の具体化として、アフリカの南スーダンの国連平和維持活動PkOに派兵されている自衛隊の任務の拡大がすすめられようとしています。少年兵を自衛隊がうってしまったら取り返しがつきません。さらにISへの空爆が強化されている中、この空爆への自衛隊の軍事支援について、政府は、「政策判断としてやらない」といいながら「この法律で参加が可能になる」ことを認めました。アメリカから軍事支援を昨年求められ、法律がないと断りましたが、法律が出来た現在、要求されたら日本が参加することになるのです。

 平和憲法を踏みにじって若者を殺し殺される戦闘地域に送り出すことは絶対にできません。

 日本が戦後70年間「戦争する国」にならず「殺し殺される」ことがなかったのは、憲法の平和原則を国民が守り抜いてきたからです。安全保障関連法を廃止し、立憲主義と民主主義を取り戻すために本請願を採択し、渋谷区議会として意見書を提出することを全議員のみなさんに呼びかけて討論を終わります。

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