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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2016年 第1回区議会定例会 『消費税の増税中止を求める請願』に対する牛尾まさみ区議会議員の賛成討論

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました「消費税の増税中止を求める請願」の採択に賛成する討論を行います。

 この請願の趣旨は、消費税の8%への増税ですでに区民生活と中小業者・労働者の困難は限界に達し、この上消費税増税がのしかかれば、さらに格差と貧困が広がり中小業者の税滞納も増加する。今必要なのは増税を断念し消費購買力を高めて地域経済を活性化させることだとして、渋谷区議会が消費税の増税中止を求める意見書を政府に送付することを求めています。

 この請願に賛成する理由として、第一に、一昨年4月からの消費税増税で、区民のくらしと中小事業者の営業は、極限状態になっているからです。昨年秋に日本共産党区議団が行った区民アンケートには、「今でも安売りを探して買い物しているのに、物価は上がり負担は増えるばかり」「自営業で年々売り上げは減少し、消費税が上がると経営していけるか心配」など悲鳴の声が寄せられ、政府統計の国民生活基礎調査でも「生活が苦しい」と答えた人が63.4%にも上っているのです。渋谷区民のうち15万人以上は課税所得200万円以下です。消費税が10%に引き上げられれば、5%の時と比べて一世帯当たり18万4千円もの増税になります。請願者の「これ以上負担が増えれば生きていけない」、税滞納者も増加するという切実な声を受け止めるべきです。じっさい、国税庁の「2014年度租税滞納状況について」では、消費税が8%になったこの年度、消費税の新規滞納は3294億円で、新規に発生した税滞納5914億円の55.7%を占めています。増税によってさらに税滞納が増えることは明らかです。

 また、消費税が10%になると、収入に占める消費税の割合は、収入200万円以下の低所得者で6.8%にものぼる一方で、1500万円以上の高額所得者は2.6%にすぎないことに見られるように、消費税は税の所得再配分機能にも反する最悪の庶民いじめの税制です。さらなる消費税の増税は絶対に認められません。

 なお、消費税10%増税の際に導入される軽減税率は、増税時に食料品などが8%に据え置かれるだけで、今より軽くなるわけではなく、単身世帯で2万2千円、二人以上世帯で4万1千円の増税に変わりありません。

 第二に、消費税の10%増税は、国民生活だけでなく日本経済の破壊にもつながるからです。
 一昨年の8%への増税以降、日本経済は、消費の6割を占める個人消費が落ち込み、GDPは2014年度は年間を通じてマイナス成長となり、15年度になっても第一、第三四半期がマイナスで、安倍首相も「予想以上に(消費が)落ち込んだのは事実」と認めざるを得ませんでした。また、円安や株高にすれば企業の儲けが増え、雇用や賃金も回復して消費も拡大するという考え方で進めてきた「アベノミクス」は、大企業が空前の儲けを挙げているのに、勤労者の収入も増えず消費も活性化せず、貧困と格差の拡大しかもたらさなかったことが明らかになっています。今年2月に読売新聞が実施した「アベノミクス」に関する全国世論調査では、この3年余りの経済政策を「評価しない」が57%に上っています。政府は経済政策の破たんを認め、さらに消費を落ち込ませ経済を破壊する消費税10%増税はやめるべきです。

 第三に、消費税の引き上げは社会保障の充実のためではなく、大企業の法人税減税の穴埋めになっているからです。政府は消費税増税分はすべて社会保障のために使われると宣伝して消費税8%を強行しました。しかし、増収分となった8.2兆円のうち、社会保障の充実にあてられたのは、わずか1兆3500億円で増税分の16%に過ぎません。一方で社会保障は、生活保護費や年金の引き下げ、医療保険料や入院食事費自己負担の引き上げ、介護サービス切り捨てと利用料の2割負担導入や補足給付の縮小などが強行されてきました。来年4月から消費税を値上げしても、社会保障は、すべての分野で切り捨てばかりです。消費税を増税する一方で、大企業の法人税は減税に次ぐ減税が進められてきました。消費税導入時の法人税率は40%でしたが、増税のたびごとに引き下げられ、今では23.9%へと16.1%も引き下げられてきました。消費税導入以来26年間の法人税減税の累計額は263兆円に上り、消費税による税収304兆円の大半は、法人税減税の穴埋めに使われたことになります。

 第四に、消費税を増税しなくても、社会保障の財源を生み出し、財政を立て直す別の道があるからです。

 日本共産党は、「能力に応じた負担で社会保障をよくする改革」、「所得を増やして経済を立て直す改革」という2つの改革を同時並行で行うことを提案しています。第一の改革では、大企業の優遇税制や年収1億円を超えると税の負担率が軽くなる富裕層への課税を改め、「税金は負担能力に応じて納める」という原則に立って、税制の抜本的な見直しをするとともに、5兆円を突破した軍事費や大企業のための大型開発、政党助成金の廃止などで約20兆円の財源を確保することができます。また、第二の改革では、請願者も述べているように、国民の所得を増やす改革を実行し、消費購買力を高めて地域の経済を活性化させて景気の回復を図り、税収を増やすことです。このようにして平均2.4%の経済成長が実現すれば10年後にはその他の税収も約20兆円の自然増が実現し、あわせて約40兆円の新たな財源が生まれ、財政危機を解決する道も開けます。

 国民の消費が増えなければ、企業の売り上げや生産も増えず、国や自治体の税収も確保できなくなります。消費税増税路線の破たんはもはや誰の目にも明らかです。政府は消費税増税の延期ではなく、今こそきっぱりと中止を決断すべきです。そのためにも、区民の願いにこたえ、この請願を採択することを主張して賛成討論とします。

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