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日本共産党渋谷区議会議員団

ご意見・ご相談

議会報告
REPORT

2016年 第2回定例会での田中まさや議員の代表質問

私は、日本共産党区議団を代表して、区長、教育長に質問します。

先の熊本地震によってお亡くなりになられたみなさまに心から哀悼の意を表します。被災されたみなさまには、お見舞いを申し上げます。日本共産党は、避難生活の改善と一刻も早い復興と再建のために全力を尽くします。

沖縄では、20歳の女性が、元米海兵隊員に暴行され死体を遺棄される事件が発生しました。未来ある若者のいのちと尊厳を踏みにじる蛮行は絶対に許されません。米軍基地がある限り、悲劇は繰り返されます。沖縄県民を苦しみから解放するためには、米軍基地の閉鎖・撤去しかありません。日本共産党は、沖縄県民と連帯し、辺野古への新基地建設を許さず、すべての基地を撤去させるために全力で頑張ります。 

1.区民のいのちとくらしにかかわる国政問題について

[1] 戦争法廃止と憲法守る政治

安倍政権は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、安全保障関連法=戦争法を強行、憲法によって権力を縛るという立憲主義を乱暴に破壊しました。憲法を無視して暴走を始めたら、それは「独裁政治」の始まりです。いま、戦争法によって、南スーダンPKOでの武器使用権限の拡大など、海外での武力行使によって、殺し殺される現実の危険が迫っています。戦争法は廃止するしかありません。

いま、憲法破壊の暴走を止めようと声をあげ、立ち上がった多くの市民・国民の声に応えて、野党と市民・国民が共同する歴史的なたたかいが発展しています。6月5日には「明日を決めるのは私たち!政治を変えよう」と全国100カ所以上で行動が取り組まれ、国会前集会には4万人以上が参加しました。

「戦争法廃止を求める請願」署名は、全国で1200万人を超えました。6月2日には「戦争法の廃止と立憲主義の回復を求める渋谷市民連合」の集会が開かれ、参加者は「首相を含むすべての公務員は、憲法守ると宣誓して職に就く。憲法破壊の政治は許さない」と訴えています。戦争法廃止と憲法を守る政治を求める声は区民にも大きく広がっているのです。

 憲法を守る立場にある区長として、また区民の声を代表して、政府に対して、安保法制を廃止し、憲法守るよう求めるべきです。区長の所見を伺います。

[2] 区民を貧困から守る、くらし応援の政策転換

安倍政権は、大企業がもうかれば家計が良くなるというトリクルダウン政策のもとで、労働者派遣法を大改悪し、大企業減税を行っています。その結果、大企業は内部留保を増やし続けていますが、正社員は3年間で23万人減少し、労働者の実質賃金は5年連続で5%も目減りしています。今や、世論調査でも「評価しない」が5割を超えているように、アベノミクスの破たんは明らかです。加えて、消費税の8%への増税によって、日本経済の6割を占める個人消費は戦後初めて2年連続マイナスという異常事態となっており国民生活は破壊されているのです。

格差と貧困を解消し、国民生活と財政を立て直すために、わが党は、3つの転換を提案しています。第1は、「負担能力に応じて」の原則で税金の集め方を変えることです。消費税10%への増税も4兆円の大企業減税も中止し、富裕層と大企業の課税逃れを許さず、応分の負担を求めます。第2は、5兆円を超える軍事費を削減し、社会保障、若者、子育て優先に税金の使い方を変えます。第3に、労働者派遣法の改正、均等待遇の法制化、時給1000円以上への引き上げ、長時間労働を法律で規制するなど、人間らしい雇用に転換します。

区民を貧困から守るために、政府に対して、消費税10%増税は「延期」でなく中止し、大企業・富裕層に応分の課税をして、くらしを応援する税金の使い方への転換を求めるべきです。区長の所見を伺います。 

2.区民のくらし、福祉守る区政への転換

区内の生活保護世帯は、2,897世帯に達し、就学援助は、中学生で37%を超え、国保料の滞納世帯は、31%を超えるなど、区民のくらしは、ますます困難になっています。

区民のくらしが大変な時に、区長は、生活保護世帯の冬の見舞金や介護保険の上乗せサービス、障がい者の福祉タクシー券を切り捨て、障がい児の発達支援を有料化するなど、区独自の福祉施策を大きく後退させました。いま、この切り捨てに、区民から怒りの声があがっています。

生活保護世帯に1世帯4000円支給してきた冬の見舞金の切り捨てに対して、「今でも電気代を節約するためにエアコンもつけないで我慢しているのに、これ以上何を削れというのか」との声が上がり、要支援者の介護の切り捨てに対して、利用者や関係者から、「これまでの介護サービスが受けられなくなった」と怒りが広がっています。福祉タクシー券の利用者は、「今の生活を維持するための必需品です。どうか削減しないで」と、区長に怒りの手紙を書いています。区長は、「多くの区で実施している交付額に合わせる」と回答していますが、とんでもないことです。低い水準の自治体に合わせれば、区独自の福祉は際限なく後退することになります。区長が常々「これまでの手厚い福祉は守ります」と言っていることにも逆行しています。こうした福祉の切り捨ては、住民福祉を第一にすべき自治体の責任放棄であり許されません。

渋谷の福祉水準は、当事者や区民の人間らしい生活を求める長年の運動で実現したものばかりであり、区民の誇りです。この水準を守り充実することこそ自治体本来の役割です。

区政の在り方、税金の使い方を、福祉最優先に転換すべきです。区長の所見を伺います。 

3.区議会議員の海外視察

区議会議員の税金を使ったリオ・パラリンピック競技大会視察に区民の怒りが広がっています。この視察は、9月11日から18日までの5泊8日、議員8名と職員3名の11人を派遣し、予算は16,534,030円で一人当たり150万円にのぼります。

そもそも、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の運営責任者は大会組織委員会であり、区は、施設整備にも運営に直接責任を負っていません。しかも現在報告されているところでは、8日間の内4日間で、日本総領事館の訪問、区内にある国や都の施設で行われる予定の車いすラグビー、卓球の観戦と前回大会開催地のロンドンを視察する予定だけです。いま舛添都知事の豪華海外視察など税金の不適切な支出に都民が怒り、辞任を求める声が広がっている中で、区民からは、「目的も不明確で、視察に名を借りた観戦旅行ではないか」、「障がい者のタクシー券を削る一方で、区議会議員が海外視察に税金を使うなど許せない」との批判が広がっています。血税を使った海外視察は断じて許されません。

区議会議員のリオ・パラリンピックなどの海外視察に税金を使うことはやめるべきです。区長に、所見を伺います。 

4.国保料の引き下げ

国民健康保険は、憲法25条の生存権にもとづいて、だれでも、どこでも等しく医療を受ける権利を保障するための国民皆保険制度の重要な柱です。

ところが、いま高すぎて国保料が払えない滞納世帯は、今年2月末時点で31.75%に達し、窓口で全額医療費を払わなければならない資格証は46世帯、短期証は785世帯に及びます。区内でも医療費が心配で医者に行くのを我慢する受診抑制が広がっており、「毎年値上がりをしたら、保険料は払えなくなる」との悲鳴が上がっていました。

国保料は今年度で12年連続値上げされ、4人家族で年収400万円の世帯では、1万6485円の引き上げで、年間保険料は39万1704円になります。国保の加入世帯の多くは、自営業者や非正規雇用労働者です。1か月分の給料をはるかに上回る保険料は、生存権を脅かすものであり到底認められません。

立川市では、今年度の国保料を引き下げており、本区でも、13年前に「社会経済状況」を理由に、区独自で値上げを中止しています。

国に対して、財政負担の増額を求めるとともに、区として保険料を引き下げるべきです。また、生活保護基準の1.15倍以下の収入であれば保険料が減免できる制度は、減免基準となる所得額を明記して周知するとともに、基準を引き上げるべきです。区長に、所見を伺います。 

5.保育園の待機児解消

[1] 保育園の待機児解消

渋谷区の4月の認可保育園等の入所希望は1735人に対して、どこの保育所にも入所できなかった子どもは315人。認可保育園に入所できなかった子どもは、0歳190人、1歳337人、2歳155人、3歳49人、4歳5人、5歳1人の合計737人に及び、育児休暇の延長など潜在的待機児を含めるとさらに深刻な事態です。

公的保育・福祉を守る渋谷実行委員会が3月に行ったアンケートには、「第1子の保活が大変だったため子どもは欲しいが、もう産もうと思わない」など、保護者の悲痛な声であふれていました。

区長も、「切実な思いをされている方々が多くいらっしゃることを厳しく受け止め、これ以上のスピード感をもって」取り組む、「平成29年度から3年間で1400人規模の定数拡大を目指す」と発言されましたが、これではとても間に合いません。

児童福祉法では、保育が必要な子どもを保育所で保育する責任を国と自治体に課していますが、区長は、いつまでに待機児をゼロにしようとしているのですか、所見を伺います。

国が公立保育園整備運営の財源を特定財源から一般財源に変え、民間の認定子ども園などの整備を特別の補助金で誘導したために、全国の公立保育園はこの10年間で2500も激減しました。本区でも、財政削減を目的に、桜丘、西原、神宮前、上原、本町第2保育園と次々と区立認可保育園を廃園にし、民間の保育施設に置き換えてきました。しかし民間保育園では、処遇が低く保育士が集まらないなど、民間頼りの保育園整備は行き詰っています。

保育園の設置運営は、民間で進めるという姿勢を改め、区が責任を持ち、区立認可保育園を基本に増設すべきです。区長の所見を伺います。

代々木の公務員宿舎跡地、神宮前地域の公務員宿舎跡地、幡ヶ谷2丁目都営住宅跡地や本町1丁目警察寮跡地、本町区民会館横の区有地など、利用可能なすべての国有地、都有地、区有地、区有施設を総当たりすべきです。また利用可能な候補地はどこか、区長に伺います。

国や都に対して、国有地、都有地の無償提供、土地確保のための国の助成制度の創設を求めるべきです。また、区立保育園の建設や分園整備・改修への助成、運営費の国庫負担の復活など新たな財政支援を求めるべきです。区長の所見を伺います。

国が、株式会社の参入や保育資格のない保育従事者を認めるなど規制緩和を進めたために、人件費が削減され、深刻な保育士不足や保育の質の低下をもたらしています。

昨年1年間に保育施設の事故で無くなった乳幼児は全国で14人、その内認可外保育施設が9人に上ります。親がこどもの健やかな成長を願って預けた保育所で、子どものいのちが奪われるようなことがあってはなりません。

区は、より良い保育を願う保護者の運動で、国の認可基準を超える基準で保育所を整備してきました。ところが国は、待機児解消の緊急対策として、自治体独自で上乗せしている基準を規制緩和し、世界的にも低い国の認可基準まで切り下げ、詰込み保育を押し付けています。これに対して、世田谷区長は、「保育士の負担が増し、離職につながる。命を預かる以上、慎重に臨みたい。むしろ基準を向上させる時期」として、基準は引き下げないとしています。マスコミは、本区も「基準切り下げ」を検討すると報道していますが、これ以上の保育基準の切り下げは許せません。

国に対して、保育基準の切り下げによる詰込み保育はやめるよう求めるとともに、区として、保育基準切り下げはやめるべきです。区長の所見を伺います。

[2] 保育士の処遇改善

保育士不足の原因は、賃金が全産業平均より月10万円も低く、子どもの成長を育む専門職にふさわしい処遇になっていないためです。保育士の処遇改善は、待機児対策としても待ったなしです。保育士が希望をもって働けるよう、野党4党は、月5万円の引き上げの法案を共同提案し、わが党は、その後毎年1万円の引き上げを提案しています。

保育の質と保育士の確保のために、国に対して保育単価を抜本的に引き上げるよう求めるべきです。区長に所見を伺います。

国と都の「保育従事職員宿舎借上げ支援事業」に区が上乗せし、一人月額8万2千円を補助する制度について、区長は、国の制度が「期間限定」なので実施しないと言っていますが、世田谷区や大田区に続いて、今年度はさらに足立区、江戸川区などにも広がっています。世田谷区では、昨年度49園166人(延べ837人)がこの制度を活用し、今年はさらに応募が増えています。「保育士を募集しても集まらない。民間家賃の高い渋谷区でこそ実現してほしい」との民間の保育園関係者の声に応えるべきです。

区として、保育士の家賃助成制度を実施するとともに、民間の保育園の処遇改善を行うべきです。国や都に対して、「保育従事職員宿舎借上げ支援事業」の継続を求めるべきです。区長の所見を伺います。 

6.子どもの貧困対策

子どもの貧困対策の強化は、待ったなしです。子どもの貧困対策法は、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないように、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図る」としています。

横浜市立大学の中西新太郎名誉教授は、「いつでもどこでも貧困の罠にはまってしまう可能性が、誰にでもある」との実態を示し、「友達がいない」、「ネットにつながらない」など貧困による孤立から子どもを守るため、「貧困を可視化」して実態をつかむこと、子ども食堂では、どの子どもも差をつけずに受け入れている例を示し、すべての子どもを等しく支援する総合的な対策が必要と指摘しています。

区として、早急に子どもの貧困の実態調査を行う必要があります。区長は、「独自の調査を行う」と答弁していますが、いつ、どのような方法で行うのか、区長に伺います。

次に、学校給食の無償化についてです。義務教育は無償が原則であり、学校給食は、バランスの取れた食生活と食育の機会としてどの子どもにも保障される必要があります。いま、区内の小中学校の年間給食費は、小学校高学年で51,675円、中学校で61,180円と家計に重い負担となっています。

学校給食の無償化に踏み出すべきです。区長に所見を伺います。

子どもを学校に通わせるための支出は、小学校では年間30万円以上、中学校では45万円以上といわれ、家庭に重い負担となっていることから、就学援助の拡大が求められています。就学援助の基準額は、小学生の3人世帯で年間所得約346万円、中学生の3人世帯で約365万円と、やっと暮らせる水準です。

就学援助の基準を生活保護基準の1.5倍まで拡大すべきです。教育長の所見を伺います。

就学援助の中学入学準備金は26,750円、部活動費は年間一人2100円です。今年地元の中学校に子どもが入学した保護者から、「入学時の標準服や体育着などで8万円も必要だった。入学祝の自転車は先延ばしにした」、「子どもが遠慮して、お金がかかる部活は避けた」との切実な声が寄せられています。

また、新入学生徒学用品費の支給時期が入学後の7月のため、「入学準備のために借金しなければならない」との声が上がっています。世田谷区や八王子市では、支給時期を入学前の3月にしています。

標準服購入費を就学援助の対象とするとともに部活動費などを現状に合わせて抜本的に引き上げ、新入学生徒学用品費の支給時期は中学入学前にすべきです。教育長に所見を伺います。

日本は、世界的にも高学費でありながら、給費型奨学金制度もない特異な国となっています。本区の奨学資金貸付制度は、高校卒業迄に、国公立で632,000円、私立で1,244,000円の貸与を受けます。大学生での奨学金の平均的な貸与額が300万円と言われており、高校、大学と奨学金を借りれば400万円前後の借金を抱えて社会人になることになります。家庭の経済力にかかわりなく高等教育を受けられるよう、足立区では、区の育英資金に一部返済免除型奨学金を導入。世田谷区では、児童養護施設退所者の大学等への進学・通学を支援するために月3万円の給付型奨学金を創設しています。

国に対して、教育予算の抜本的な増額と学費の引き下げ、給付型奨学金の創設を求めるべきです。区の奨学資金貸付制度に、一定所得基準以下の場合、返済猶予でなく免除制度を設けるとともに、児童養護施設やひとり親家庭、生活保護世帯の大学等への進学を支援する給付型奨学金制度を創設すべきです。教育長の所見を伺います。 

7.庁舎建替え計画

この計画は、一貫して区民の声を聞かないで進められています。区民に対しては、条例に基づくものも含めて説明会は7回だけであり、参加者の圧倒的多数が「疑問」や「反対」の声をあげています。パブリックコメントも実施せず、分譲マンション部分を含めた計画の全容は、未だに区民に説明されていません。庁舎については、一昨年11月以来一度も区民の声を聴いていません。

しかも、旧庁舎に新たに高濃度のアスベストが存在することが分かっても、庁舎の土地に土壌汚染があることが明らかになっても区民にはまったく説明していません。アスベストや土壌汚染は、区民のいのちと健康にかかわる重大問題です。また、除去工事によって工期が延びれば、定期借地権の延長や基本協定、仮設庁舎の借地契約、リース契約も延長や変更が必要で、新たな費用負担も発生します。

区長にお尋ねしますが、土壌汚染の住民説明会をなぜ開かないのですか。開くべきです。また、除去工事に何カ月必要で、全体の工期はいつまで延びて、77年7か月の定期借地期間は、何年間になるのか。除去工事の費用と仮設庁舎のリース契約への影響額はいくらで、それぞれだれが負担するのか。区長にお尋ねします。

庁舎の土地を貸し出し、その見返りに庁舎を建ててもらう事業手法は、事業者の利益が最優先され、民間事業者丸投げになるため、区民の声は届かず、安全は無視され建物の質の確保も困難にするもので、公共の建物の建設で用いてはならない手法です。

庁舎の整備計画に、住民参加を保障することは、住民自治の観点から当然です。那覇市では、住民の声を生かして、当初の計画地を変更し、庁舎の一番使いやすい場所を市民がいつでも利用できるスペースにし、請負業者はすべて地元業者にしました。情報公開についても、設計会社の選定から新庁舎建設にかかわるすべての事業の費用と請負業者も公開しています。これが、本来の庁舎建設の在り方です。

庁舎建て替えについては、三井不動産等の儲け最優先で、住民の声が届かない事業手法は、白紙撤回し、区民、専門家の参加する検討会を設置すべきです。区長に所見を伺います。 

8.幡ヶ谷2丁目防災公園

幡ヶ谷2丁目防災公園整備計画は、4年前に前区長が7000㎡の防災公園用地取得を表明して以後初めて行われた今年2月の住民説明会では、「なぜ土壌汚染があることがわかっていて取得したのか」、「なぜその時点で住民に説明し、取得について相談しなかったのか」など、多数の疑問や不安が出され、再度説明会を求める声が上がりました。しかし、区は、住民の声を無視して工事契約を結ぼうとしています。こんなことは絶対許されません。

未だに汚染土壌の除去後の調査結果も公表しておらず、2度目の説明会も開かず、土壌汚染対策法上求められる2年間の地下水モニタリング調査結果で安全を確認していないのに、子どもも遊ぶ防災公園や保育園、高齢者住宅をつくることは、区民のいのちと健康を無視する暴挙です。

汚染土壌除去後の土壌と水質の調査結果、取得した土壌の柱状図や地下水の導電率など原データをすべて公表し、住民に対する説明会を開催すべきです。今後の水質等の調査結果も公開すべきです。また、土壌汚染対策は売り主責任とされていますが、モニタリング調査の費用は、いくらでだれが負担するのか、合わせて区長に伺います。

幡ヶ谷2丁目防災公園用地に、防災公園や保育園、高齢者施設をつくるべきではありません。白紙に戻して、この土地の在り方については、区民参加で検討すべきです。緊急を要する保育園や高齢者住宅は、わが党区議団がかねて求めてきた幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地を一刻も早く取得して整備すべきです。区長の所見を伺います。 

9.渋谷駅周辺再開発事業

2020年、五輪・パラリンピック成功を名目に、渋谷駅を中心に神宮前地域に至る巨大再開発事業が進行しています。この事業は、安倍政権の「世界一企業が活躍しやすい国」づくりのために、アジアヘッドクォーター特区、特定都市再生整備地区に指定して規制緩和が行われ巨大再開発を可能にするという、まさに大企業の儲けのための事業です。

区は、道玄坂1丁目再開発、桜丘地区市街地再開発と北側自由通路建設、東横線跡地ホテルと桜丘地区とを結ぶ南口北側自由通路建設に90億円もの税金を投入。三井不動産等の高層マンション建設やホテル・商業施設建設のために庁舎の土地や宮下公園を提供し、さらに東急ヒカリエ建設や東急プラザ跡地ビルの道玄坂1丁目再開発、パルコのビル建設のために区道を廃止してきました。今度は、東急不動産が60mのビル建設を進める神宮前6丁目地区再開発のために、区道を廃止ししようとしています。この場所にある住民にとってかけがえのない隠田区民館の存続さえ明確にされていません。

区民の福祉や中小業者・商店街支援はそっちのけで、大企業の儲けのためのまちづくりに区民の税金や土地を差し出すやり方は、自治体のやるべきことではありません。

渋谷駅周辺再開発事業への税金投入と神宮前6丁目地区計画の区道の廃止はやめるべきです。また、隠田区民館の在り方は、住民の意見を聞くべきです。区長の所見を伺います。 

10.教育について2点

[1] 施設一体型小中一貫校

施設一体型小中一貫校と通常の小学校、中学校を対象に、児童生徒の意識調査を行った都築学中央大学教授は、一貫校の4から6年生は、通常の小学校の同学年より「自分に対する自信があまりない」、「友人との結びつきが弱く、評価も低い」「疲労感が強い」などの結果をもとに、一貫校の小学4から6年生は、自信や自己価値、友人関係、疲労感などに共通して、ネガティブな傾向があると分析しています。その原因として、中学生との比較で自分を見てしまうため、小学校高学年の自己肯定感が弱い、学校規模の拡大によって、自分の居場所が見つけにくいと指摘しています。

渋谷本町学園では、よりよい教育環境を保障しようと、教職員、保護者、地域住民は懸命に努力してきました。開設年度、小中一緒だった運動会も2年目からは別開催とされ、小学校の卒業式も行われています。これらの努力は、小中学校それぞれの発達段階にあった学校文化を守ることにつながっています。

しかし、同じ校舎に小中学生が一緒に生活しているために「中学生の受験時期には、小学生は休憩時間ものびのび遊べない」、「部活も、小学生部員の面倒を見る時間、自分たちの練習時間がなくなる」、「教師も、学校行事が多く、打ち合わせも多いため他校より多忙で、子どもに向き合う時間が少なくなる」など、様々な声も聞いています。

施設一体型渋谷本町学園については、教育委員会として、子どもの発達や教師の教育活動などの点から、区内の他校と比較検証し、区民に公表すべきです。教育長に伺います。

[2] 少人数学級の実現

少人数学級は、世界の流れであり、保護者の願いです。小中学校の日本の教員一人あたりの子どもの数は、OECD平均を大きく上回っています。

30人学級を導入している秋田県では、「児童生徒が全体的に落ち着く」、「発言機会、自己表現」が保障され、「きめ細かなノート指導・コメント等」、「濃厚な人間関係づくり」や「一人ひとりの活躍の場」が確保され自治活動が促進できると評価しています。「一定人数規模のほうが良い」などの「切磋琢磨」論に科学的裏付けはありません。逆に、集団規模が大きいほど、一人ひとりの出番が少なくなり、人間関係も希薄になり、社会性、コミュニケーション力が育ちにくいことから、世界でも少人数学級が主流となっているのです。

政府に対して、30人学級の実現を求めるべきです。本区でも直ちに全学年を35人以下学級にし、30人学級を目指すべきです。教育長に所見を伺います。 

11.防災対策の強化

[1] 熊本地震の教訓

熊本地震では、強い余震が長期にわたり、避難所生活が長期化する中で、高齢者や病弱者、障がい者、妊婦などの防災対策が改めて課題となっています。

現在、区内に10カ所しかない福祉避難所を抜本的に増やし、支える体制や運営を確保するとともに、避難所での要援護者の生活の場や支援体制を確立すべきです。区長の所見を伺います。 

[2] 「渋谷区耐震改修促進計画」の見直し

区は、今年3月に「渋谷区耐震改修促進計画」を策定し、新たに2020年までの目標を決めました。

計画では、耐震化の「促進のための施策」として、「危険性の高い住宅への重点的とりくみ」を始め、木造住宅耐震化助成制度の要件の緩和や助成対象の拡大とともに「経済的弱者への実態に合った助成額の見直し」などをあげていますが、「検討」にとどまっています。いつ発生するかわからない首都直下型地震の対策は喫緊の課題であり、これらの検討課題は直ちに実施する必要があります。

幡ヶ谷社会教育館、初台青年館などの防災上重要な区有施設は、直ちに耐震化に着手すべきです。また、住民や多数の人が利用する民間特定建築物については、目標達成期限を2018年に前倒しすべきです。区長の所見を伺います。

民間住宅の「耐震化の促進」は、所有者まかせという考えを改めて公的責任を明確にすべきです。その上で、危険性の高い住宅に対する個別対策を直ちに具体化すること。木造住宅の耐震改修工事費は1棟300万円程度と言われています。助成上限額を抜本的に引き上げ、低所得の所有者には自己負担の減免制度を実施すべきです。区長の所見を伺います。

[3] 感震ブレーカー設置助成を

大規模災害時に、火災が発生すれば、街全体に延焼する危険を防げません。阪神淡路大震災では、出火原因の30%、東日本大震災では53%が「電気による発熱体」が原因となっていることから、通電火災を防ぐための「感震ブレーカー」の設置補助を行う自治体が増えています。横浜市では、2013年から「感震ブレーカー設置補助」を実施し、購入設置費用の2分の1、上限5万円を補助し、3年間で778件の助成を行っています。昨年からは簡易タイプの助成も始め、町会単位で普及促進を行い半年で1900世帯に普及しています。

感震ブレーカーの設置補助を、直ちに実施すべきです。木造住宅密集地域では、助成割合を引き上げるなど特別な対策をとるべきです。区長に所見を伺います。

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