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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2016年 第3回定例会最終本会議でのトマ孝二議員の 議案「公の施設の区域外設置に関する協議について」(外苑ハウスのための区道拡幅問題)の反対討論

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました、議案第61号、公の施設の区域外設置に関する協議について、反対の立場から討論します。 

 本議案は、神宮前2丁目3番と新宿区霞ヶ丘町16番にまたがる幅員6メートルの特別区道631号路線を新宿区側に6メートル拡幅し、幅員12メートルの道路に築造するため、新宿区の同意を得るための協議を行うという議案です。 

 今回の議案の背景にあるのは、地区計画で緩和された容積率や高さ制限を最大限活用した外苑ハウスの建替え計画です。 

 そもそも、神宮外苑地区は、風致地区として建築物の高さは15メートルに制限されています。すでに建設されていた国立競技場の建替えでも、30mが限度でした。ところが、東京都は2013年にオリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる高さ80メートルの新国立競技場を建設するために神宮外苑地区地区計画を都市計画決定しました。

 その後、代々木公園にあるJOC本部ビルをこの地域に移転し建設するとともに、外苑ハウスの高層化のために、昨年から今年にかけて、地区計画の変更を決定しました。 

 その内容は、高さ80mのJOCビルを建設するために、外苑ハウスの取り付け道路を権利変換で取得することを前提に、外苑ハウス北側の高さ制限が80mのA4地区に編入するとともに、外苑ハウスの建て替えについては敷地の一部を広場や緑道とすることと引き換えに、容積率を300%から450%に緩和し、30メートルの高さ制限も80mに緩和して大規模高層マンション計画を可能にしたのです。まさにJOCビルと外苑ハウスを合わせて開発するための地区計画の変更でした。 

 東京都はJOCや外苑ハウスの開発計画を事前に近隣住民に説明することもないまま、都市計画の変更を決定しました。地区計画という手法をとったのは、地区計画の範囲内の地権者の合意があれば、風致地区などの建築法上の規制を取り払うことが容易にでき、しかも意見書が出せるのは、地区計画の範囲内の地権者などの利害関係者に限られているからです。 

 今回の道路拡幅は、外苑ハウスの建替えのために緩和された容積や高さ制限を限度まで活用するために必要な前面道路として、12メートルの道路が必要なことから、東京都や渋谷区がその要請にこたえるものといわなければなりません。 

 実際、外苑ハウスの建替えは、現在の地上7階196戸の住宅から、地上22階地下2階、高さ80メートル、延床面積6万平方メートル、商業施設や小規模保育施設を併設した約410戸の巨大高層マンションに生まれ変わることになります。近隣住民の多くは、「落ち着いた静かな街並みを破壊するものだ」という声をはじめ、地区計画の説明会では、「なぜ外苑ハウスに優遇措置がとられるのか」「民間企業のための道路拡幅ではないか。都がなぜ協力するのかわからない」などの意見が出されています。 

 今回の議案に対し、地元住民からは、なぜ今急いで631号線を幅員12メートルに拡幅しなければならないのかという批判の声が上がっているのです。 

 本議案は、東京都と渋谷区が一体となって、神宮外苑の豊かな緑と自然を破壊するととともに、再開発事業を進める大企業を支援し、外苑ハウス建設の便宜を図るための議案と言わなければならず、到底認めることはできません。 

 以上の理由をのべて反対の討論を終わります。 

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