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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2016年 第3回定例会最終本会議でのトマ孝二区議会議員の平成27年度渋谷区決算に対する反対討論

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、認定第一号、平成27年度渋谷区一般会計歳入歳出決算について、認定に反対する討論を行います。 

 2015年9月19日、安倍政権は「憲法守れ」の国民の圧倒的な声を踏みにじり、戦争法を強行採決し、日本を戦争する国に変え、そして、自衛隊をいま、戦場である南スーダンに武器を持って派兵させようとしています。

 また、安倍政権は、2014年に消費税を8%に増税したのに加え、貧富の差を拡大させるアベノミクスの円安・株高政策を続けるとともに介護保険の負担増や、年金の切り下げなど社会保障制度の改悪をすすめました。その結果、日本社会は深刻な消費不況に陥り、国民のくらしはますます厳しいものとなっています。

 実際、渋谷区民の生活は、生活保護世帯が2909世帯、3280人、中小企業の倒産が157件で、その失業者は771人。国民健康保険料の滞納世帯は33.62%と増え続けています。日本共産党区議団が実施した「区政とくらしのアンケート」では、くらしが悪くなったと悪いままで変わらないと回答した人は合わせて72.4%にのぼりました。

 こうした状況だからこそ、渋谷区は区民のくらしを支えるための施策を優先して進めることが求められていました。しかし、桑原前区政を継承した長谷部区政は、住民の安全を守り福祉を充実させ、生活の安定をすすめることが自治体としての役割であるにもかかわらず、その役割を果たさなかったのです。こうした区政の結果である2015年度決算は認めることはできません。 

 私が、認定に反対する理由を5つの柱で示していきます。 

 反対の第1の理由は、福祉を充実させ、住民の生活を安定させなければならないのに長谷部区政は逆に福祉を切り捨てているからです。 

 高齢者福祉として、敬老館などでのマッサージサービスの利用料を800円から1200円に引き上げたために、利用者の22%にあたる240人が利用しなくなっています。高齢者宅を訪問して寝具乾燥のサービスを行う事業は無料から有料にしたうえ、対象者も介護認定を受けた人だけに限定したために、登録人数の26.34%もの人がサービスを受けられなくなりました。

 さらに、区独自に実施してきた「上乗せ」「横だし」介護サービスについても、訪問入浴介護は要支援者を受けられなくしたために約2割にあたる98人が切り捨てられました。区型介護サービスでは、時間延長サービス、生活援助サービス、高齢者世帯サービス、外出介助サービスの単価が、1時間以上の利用者には60円から最大300円もの負担増が押し付けられ、緊急派遣型ホームヘルパーや日中独居高齢者に対する、勤労者世帯支援外出介護サービスも27年度末で事業が廃止されています。

 長谷部区長は、手厚い福祉は守ります、といっていたのに高齢者の福祉を充実させなければならないのに、逆に高齢者の福祉施策を削るという、高齢者いじめの区政をすすめることは許されません。

 特別養護老人ホームの入所基準について、2015年度から原則要介護3以上と政府が定めました。これにともない、2015年度の特別養護老人ホームの申請者は前年度に比べ140人も減りました。こうした基準にされましたが、581人もの待機者となっており、今年度の10月1日では、5人が増えており長谷部区長は公約通り特養ホームの増設計画をつくり、待機者解消に力を尽くすべきです。

 区民の最低限度の生活を支える生活保護制度は、年々基準額が引き下げられ、2015年度の場合、住宅扶助の基準が下げられました。受給者のうち78世帯が指導対象となり、住居の移転を求められました。当区では、これまでの単身者5万3700円から48000円に削減されました。2人以上の世帯で6万9800円の基準でしたが、これ自体、当区の実情から離れたものです。都心の他区で実施している特別基準を採用し、住み慣れた地域で生活できるよう支援すべきです。 

 第2の反対理由は、未来を担う子どもたちを大切にし、健やかに育つ、保育・教育環境を整備する決算になっていないからです。 

 学校給食は、食育の一環として行われています。そのため、子どもたちに豊かな食生活を保障し、伝えていくために栄養士を全校に配置すべきです。さらに、義務教育は無償の原則と子育て支援の立場から、給食費の無償化を実施する自治体も広がっています。

 当区でも、全校に栄養士を配置するとともに、給食費無償化に踏み出すべきです。 

 2015年度、区内の35人を超える学級が、小学校で7クラス、中学校で2クラスありました。教師が一人ひとりの児童・生徒に向き合い、行き届いた指導ができるとして、少人数学級を実施している各地の教育委員会では、報告しています。

 区として、すべての小中学校で35人学級を実施し、さらに30人学級を目指すべきです。

 子どもの貧困が指摘されており、就学援助を受けている子どもは小学校は21%、中学校は33%となっています。子育て世帯を支援し、子どもが安心して学校に通える環境をつくるためにも、就学援助の支給基準を生活保護の1・5倍に引き上げるべきです。2015年4月1日の認可保育園の待機児は、528人、どこの保育園にも入れなかった子は252人でした。今年4月1日の認可保育園の待機児は921人で、どこにも入れなかった子どもは315人とさらに深刻になっています。

 東京新聞の10月26日の報道によると、今年4月に認可保育園を希望した子どもが認可保育園に入所した割合は、南関東の主要都市100市のうち渋谷区は47.0%、ワースト1位となっています。こうした実態にもかかわらず区立本町第二保育園を廃園したことは許されることではありません。

 共働きの若い世代が増え、認可保育園の入所を希望する父母が増え続け、この10月にはどこの保育園にも入れなかった子どもが451人もいる現状を踏まえ、国有地、都有地、民有地の取得を積極的にすすめ、保育の必要なすべての子どもたちに良好な保育環境を与えるために、民間任せではなく区立保育園を中心に整備をすすめ、待機児ゼロを実現させるべきです。 

 第3の理由は、区民の安全を守るため防災施策を充実させなければならないのに、十分に取り組まれていないからです。 

 阪神淡路大震災から19年、東日本大震災から4年が経ち、また、東京の場合、震度7以上の首都直下型地震が今後30年以内に70%ある、と想定されています。それだけに住民の安全を守るための防災対策を着実に進めていかなければなりません。

 2015年度に進められた防災対策は、建築物耐震化促進事業の場合、11億8619万円の予算が組まれましたが、その執行は5億6263万円で、半分以上が不用額となっています。木造住宅の一般住宅や高齢者住宅の場合、26件、3850万円の予算を組みましたが、執行は13件、1751万円でした。

 木造住宅の耐震改修工事費は、一棟当たり300万円と言われています。助成額を引き上げ、低所得者には自己負担の減免制度を実施するなど、耐震改修がすすむよう抜本的に制度を改善すべきです。

 分譲マンションが多い当区の場合、1981年の旧耐震診断基準で建設されたマンションを安全なものにしていくための支援が必要です。ところが、旧耐震のマンションが何棟あるのか把握しておらず、2015年度の分譲マンション、緊急輸送道路沿道分譲マンションの耐震改修助成は3件、6千万円の予算を計上していましたが、その実績はゼロでした。区として、分譲マンションの耐震化助成を実施すべきです。

 また、震災発生時の火災を防止するため、多くの自治体で感震ブレーカー設置助成を行っています。当区でもこの制度を実施すべきです。

 今年4月14日には、熊本地震、そして10月21日には鳥取県で震度6弱の地震が発生し、大きな被害が出ています。区民の安全のため、施策を充実し、実績を上げるために力を尽くすべきです。 

 反対の第4の理由は、住民無視で大企業優先の区政執行になっていることです。

 区役所と公会堂の建替えについて、三井不動産レジデンシャル等に区役所の土地の約3分の1を貸し付け、そこにマンションを建てさせる見返りに庁舎と公会堂を建ててもらう計画について、区は説明責任を果たさず一方的にすすめていることに区民は納得していません。

 15年度に開かれた紛争予防条例にもとづく説明会や解体工事の説明会に参加した住民からは、三井不動産側からだけ説明させ、区が責任を持って説明しないこと、三井不動産レジデンシャルが横浜のマンションくい打ち偽装事件の当事者であることに住民の不満の声も出されました。また、三井不動産レジデンシャルが建てるマンションの総事業費などに対する質問に一切答えないことに「三井のもうけのために区民の土地を使わせるのか、住宅棟はないほうがよい」などの意見が強く出されました。

 こうした区民の意見を無視して、説明責任を果たさず、長谷部区長は建築費の高騰を理由に、基本協定と借地契約を変更し、建築費の対価を154億円から211億円に引き上げ、マンションを37階・420戸から39階・507戸に拡大することを認めたのです。まさに大企業優先と言わなければなりません。

 桑原前区長が、任期最後に提出した区立宮下公園を三井不動産に33年間貸しつけ、そこに三層の商業施設をつくり、屋上を公園にする、また公園の北側に17階のホテルを建設する計画の議案は、あまりに一方的な発表であり、区民の貴重な公園を大企業に提供することに区民の反対が広がり、区議会も同意せず廃案になりました。しかし、長谷部区長は三井不動産が大儲けをするこの計画を復活・推進してきました。

 2015年度は、都市計画変更事業委託費として、194万4千円が執行され、現在、都市計画審議会に出された都市計画決定変更の説明会が行われ、計画は一気に進められようとしています。渋谷駅前の貴重な防災空間であり、区民の憩いの場である宮下公園を大企業の儲けの場にすることは許されることではありません。

 さらに東急を中心とした大企業のための渋谷駅周辺再開発に巨額な血税の投入を行っていることは重大です。

 2015年度は、桜丘口の市街地再開発事業に5億7600万円も支出したのをはじめ、渋谷駅周辺整備調整事業費として1億8725万円、渋谷駅北口自由通路と南口北側自由通路整備事業に6245万円も投入され、合計すると8億2570万円もの巨費が大企業がすすめる再開発に注ぎ込まれ、これまで判明しているだけでこの開発事業に90億円もの税金が投入されることは許されるものではありません。 

 反対の第5の理由は、不要不急の事業に血税を浪費していることです。

 桑原前区長は、退任間際の2015年3月3日に土壌汚染のあることを知りながら幡ヶ谷二丁目の防災公園用地を評価額より高い31億9628万円で取得しました。

 区民の、土壌汚染の不安が払しょくされていない土地に、保育園と高齢者・障害者住宅を建設することは認められません。

 ところが、長谷部区長は前区長の不明朗な土地の購入経過について区民に説明せず、土壌汚染が基準値を上回っていれば、その時に考えるなどと言い、施設建設計画を強行しているのです。

 しかし、今年度も土壌汚染にともなう地下水のモニタリング調査が行われ、その結果が公表されていますが、1回目より2回目の測定結果が悪化しています。現在、着工した工事は中止すべきです。 

 また、桑原前区長がトップダウンで決め設置した、伊豆・河津町の第二保養所の運営を継続していることです。2015年度は、大浴場の改修費として、2憶6513万円運営費に1億2808万円、維持管理費に979万円、各所改修費として497万円、合わせて4億797万円もの莫大な血税を投入しているのです。2015年度の利用者は4135人で利用率は34.6%。その使用料は、2358万5550円でした。

 区民からも遠くて交通費が高く利用できない、という声が出ている保養所を維持する必要はなく、廃止すべきです。

 以上、平成27年度渋谷区一般会計歳入歳出決算、認定に反対する討論を終わります。  


 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、認定第二号・2015年度渋谷区国民健康保険事業会計、認定第三号・同介護保険事業会計、認定第四号・同後期高齢者医療事業会計の3決算について、認定に反対する立場から討論いたします。 

 認定第二号、国民健康保険事業会計決算について述べます。2014年度では、滞納世帯は30.04%に上り、高い保険料が押し付けられていました。こうした実情から保険料は引き下げなければならないのに、2015年度も保険料を引き上げ、年収300万円の子ども1人の3人家族の場合、年額の保険料が3864円も引き上げられ、実に26万8137円の保険料となったのです。

 払えないほど高い保険料を引き上げた結果は、滞納世帯が前年度とくらべ3.58%も増え、33.62%、加入世帯の3分の1以上という深刻な事態をつくり出したのです。

 国民健康保険料をはじめ、失業者や不安定雇用の若者など、社会保険に加入していない人たちが加入する国民皆保険の理念にもとづき運営されています。社会保障の根幹をなすこの制度については、政府が責任を持って運営されなければなりません。

 ところが政府は、50%であった国庫支出金の割合を1984年以降、年々減らし、2014年度には24%にしているのです。高すぎて払えないという国民健康保険料を引き下げるために、政府に対し国庫支出金を増やすよう求め、それを実現していくことです。また、区としても保険料を下げるべきです。

 2015年度の国民健康保険事業会計は、黒字となっています。その点からも保険料を引き上げるべきではありませんでした。したがって、この決算は認めることができません。 

 次に、介護保険事業会計について述べます。

 2015年度は、第6期の介護保険事業計画がスタートした年度でした。3年ごとの見直しによって、保険料は引き上げられ、基準保険料は61800円から67560円に、一挙に5760円も引き上げられました。一人あたりの保険料は、67704円でしたが、74766円となり、10.4%の引き上げとなったのです。こうした高い保険料の結果は、1626人の滞納者を生み出すことになったのです。こうした対応は、認められるものではありません。

 また、2015年8月から政府の制度改悪によって、一定所得以上の人の利用料が2割負担になり、補足給付も資産要件が追加されました。そのため、当区では2割負担になった人は2125人、介護認定者の24.65となりました。さらに、低所得の人が入所施設などを利用した際に、食費や部屋代が軽減される補足給付を受けられる負担限度額認定証の発行数も1294件だったものが912件と大幅に減りました。千代田区では経過措置として、2割負担や補足給付が受けられなかった人の負担増分を全額区が補助して、サービス利用がこれまで通りできるようにしています。

 しかし、当区では国の改悪を受け入れ、区民に負担増とサービスの制限を行ったことはとうてい認められるものではありません。 

 最後に、後期高齢者医療事業会計について述べます。

 2008年度から始まったこの制度は、2年ごとの改訂の度に引き上げられ、2015年度の加入者一人あたりの年額平均保険料は、13万920円でした。年金だけでくらしている高齢者には、この保険料の負担は重く、滞納は2473件に上っていることに表れています。

 75歳以上の高齢者だけを対象にして、差別的な医療制度を実施していることは許されるものではありません。この制度は、廃止すべきです。

 以上で、3特別会計の決算に反対する討論を終わります。 

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