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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2017年第1回定例会 3月3日の本会議2日目の牛尾まさみ議員の一般質問

 私は日本共産党渋谷区議団として、区長に質問します。

1、初めに保育について区長に質問します

 待機児問題は今年も深刻です。4月からの保育園の入園内定が発表され、当区でも、「10箇所の申し込み限度まで希望したのにどこにも入れてもらえず、どうしたらいいのか」「産休明けまでに預け先が決まらなければ、仕事をやめなければなりません」など悲痛な叫びがあがっています。認可保育園の申し込み者数は、第一次募集の速報値で1894人と聞いていますが、募集予定人数が1151人だったことからみても、さらに待機児が増えることになります。2月17日までの二次募集の結果もふくめ、新年度の認可保育園申込者数は年齢別にそれぞれ何人だったのか、また、現時点で認可園に入れる見通しのない子どもの数と待機児数の見込みは年齢別、地域別に何人になるのか伺います。

 保護者は保育園に子どもを預かってもらえなければ、仕事を続けることはできません。だからこそ児童福祉法24条では、自治体の責務として保育の必要な子どもを保育所で保育しなければならないと定めているのです。認可保育園の増設は待ったなしです。

 渋谷区では2014年以降、年平均450人の未就学児が増えており、さらに、保護者が育児休業中など、待機児にカウントされていない子どもたちがいます。区が目標としている3年間で1400人の定数拡大をさらに上乗せし、待機児解消に見合った認可保育園の増設計画を立てるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

区立保育園の増設について

 区立保育園では、多くの園に園庭があって子どもたちが遊べ、ゼロ歳児や障害児の保育士加算など国の基準を上回る職員を配置して区の保育水準を作り上げてきました。ところが国が公立園への助成を一般財源化する一方で、民間には補助金と規制緩和で参入を促進したため、区は、財政削減と効率化を優先し、待機児が深刻なのに区立桜丘、西原、神宮前、上原、本町第二保育園を廃止してしまいました。

 こうした姿勢を改め、区立保育園を増設すべきです。国や都に公有地の無償提供、土地確保のための補助制度の創設、保育所の整備費や運営費に対する特定財源の復活を求め、代々木2,3丁目の国有地、幡ヶ谷社教館に隣接する都有地、代々木警察署宿舎跡地、神宮前3丁目の国有地、恵比寿南三丁目国家公務員宿舎跡地などに区立保育園を早急に増設すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

保育の質の向上について

 今年開設予定の認可保育所の半数は株式会社が運営する保育園です。そのほとんどは、子どもが遊べる園庭はなく、園舎もビルの1フロアであったり、店舗と合築など、子どもが健やかに成長する環境として望ましいとはいえません。

 運営の面でも、日本共産党横浜市議団の調査では、多額の利益を上げて平均1,400万円もの法人税を負担する一方、総事業費に占める人件費の割合は、社会福祉法人の約7割に比べ、平均53%と低くおさえられていました。また、中野区や杉並区で起きたように、収益が上がらなければ突然撤退するなど、安定的な運営に問題があります。だからこそ2000年までは、株式会社が保育事業に携わることができなかったのです。

 保育所を運営する事業者は、営利を目的としない社会福祉法人を基本に選定すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 新年度からは、新たに小規模保育施設や企業主導型保育所が開設されることが示されました。これらの保育施設では、資格を持った保育士は従事者の6割でよいなど、保育の質の低下を招くものとなっています。小規模保育や企業主導型保育所の導入はやめるべきです。区長の所見を伺います。

 世田谷区では、保護者や保育関係者、専門家が議論を重ね、「子どもを中心とした保育」を行うための基本的指針として2015年3月に「保育の質ガイドライン」を作成しました。その中で、子どもの権利、人材、保育環境、食育、安全管理などを具体的に例示し、区の事業者診査や巡回指導に役立てています。また、認可外の施設であっても区の補助金要綱の基準を満たしていれば、区の補助を上乗せして、保育の質の向上に努めています。

 当区でも区内の保育水準全体を向上させる立場に立って、保育の質に関わるガイドラインを定め、区の事業者診査や指導に生かすとともに、補助金要綱にも必要な事項を盛り込むべきと考えますが、区長の所見を伺います。

保育従事者の処遇改善について

 政府は、新年度から最大4万円の処遇改善を図る予算をつけましたが、対象となるのは約3分の1の保育士にすぎません。また、東京都も独自の処遇改善として保育士一人当たり2万1千円を追加上乗せし、4万4千円とする予算を計上しています。しかし、これだけでは他の職種に比べ、15万円も低い東京では十分とはいえません。世田谷区では昨年10月から民間の保育士、看護師などの処遇改善として、区独自に月1万円の補助を実施しています。国に対し、低すぎる保育単価を大幅に引き上げ、ただちに5万円の基本給を引き上げられるよう求めるとともに、当区でも、民間の保育士、看護師などの職員の基本給を引き上げるための補助を実施すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

2、介護、高齢者福祉について

 次に介護、高齢者福祉について質問します。

(1)国の介護保険制度改悪に反対すべき

安倍政権は5兆円を超えた過去最高の軍事費をさらに増やし、リニア新幹線計画に3兆円など、大型公共事業に莫大な税金を使う一方で、社会保障に対しては高齢化などによる自然増さえ認めず、年5000億円以下ののびに抑えようとしています。このため、医療も介護も年金も切り捨てに次ぐ切り捨てが行われてきました。2018年は医療・介護報酬の同時改定の年となり、政府が狙う「医療から介護へ、施設から在宅へ」の流れが、いっそう強められます。

 医療では、高齢者の窓口2割負担を拡大し、高額療養費の引き上げなどを狙うとともに、地域医療構想でいっそうの病床削減を狙っています。また介護保険では、利用料に3割負担を導入し、現役世代の介護納付金を総報酬制にして負担増を押し付け、介護保険の理念である「介護の社会化」に逆行する改悪を進めています。区長は、国政の問題だからといって、軍事費拡大や大型開発のために社会保障費が削られ、区民が必要な医療、介護を受けられなくなることを黙って放置するのですか。認識をうかがいます。国の社会保障の責任放棄で、区民が必要な介護サービスさえ利用できなくなる制度改悪に反対すべきです。区長の見解を伺います。

(2)総合事業について

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。

 区は、国が介護給付から外した要支援者の訪問介護、通所介護に変わる事業として、昨年から介護予防・日常生活支援総合事業を開始しました。

 渋谷区の総合事業では、従来の国基準並みのサービスを残したものの、新たに緩和サービスAとして、身体介護の必要がなければ、サービス内容も介護報酬も引き下げたサービスしか利用できなくしました。国はさらに安上がりのサービスとして、専門職でないボランティアに任せるサービスBの導入まで示しています。

 訪問介護では、ヘルパー資格がなくても一定の研修を受ければ従事できるようにし、介護報酬を8割に引き下げました。事業者は従来のヘルパーを引き下げられた安い単価で派遣することになって経営が悪化し、サービス提供を拒む事態がすすんでいます。利用者は「要支援の認定をもらったが、ヘルパーがなかなか見つからない」「いままでのヘルパーに来てもらえなくなった」など、サービスを受けにくくなっています。緩和サービスの担い手作りとして2回行なった研修も、修了者はわずか12人で、多くの事業所が資格を持たない人は雇えないと言っています。

 また、通所介護は時間を2時間以上に短縮し、介護報酬を7割にしましたが、認定者のニーズにこたえられず、利用はわずかにとどまっています。

 このように緩和サービスは、利用者のサービスを後退させ、従事者の処遇と事業者の経営を悪化させるもので破綻は明らかです。高齢者にも事業者にも犠牲を強いる緩和サービスAはやめ、介護報酬を元に戻し有資格者のヘルパーを派遣する国基準のサービスを提供すべきです。介護を無資格のボランティア任せにするサービスBは実施すべきではないと考えますが区長の見解を伺います。

(3)区の独自サービス(上乗せ、負担軽減、切り捨てた福祉施策)の拡充を

 次に、区型介護サービスなど、区の独自施策についてです。

 国の度重なる制度改悪のもとでも、渋谷区は区民の運動と世論に押され、高齢者の尊厳を守るために、区の高齢者福祉や独自の介護施策で必要なサービスを提供し、保険料の多段階制の採用や保険料・利用料の負担軽減制度を拡充して、渋谷の介護、福祉の水準を作り上げてきました。ところが区は、先の国の介護保険制度改悪に合わせ、区型介護サービスも別枠のサービス提供をやめて区分限度額の範囲内に狭め、緊急派遣型ホームヘルプサービスや勤労者世帯外出介助サービスを廃止したことは認められません。切り捨てたサービスを元に戻すべきです。区長の見解を伺います。

 また、高齢者福祉でも高齢者マッサージサービスの利用者負担を値上げし、寝具乾燥サービスも有料化しました。「足が悪いので布団は干せない。6万円の年金では1回160円とはいえこたえる」と利用者は言っています。マッサージサービスや寝具乾燥の負担増はやめるべきです。区長の見解を伺います。

 来年4月から国がねらう介護保険制度改悪は、さらに負担を増やして高齢者が自らサービスを受けることを断念させるものです。いまでさえ認定限度額に対するサービス利用率は55%にすぎず、「月に払えるのは5,000円まで」などと、我慢しているのが実態です。区は独自に保険料、利用料の軽減制度を実施していますが、預貯金限度額の制限があるため、利用できているのはわずかです。福祉サービスはだれもが利用できるよう利用者負担は所得に応じてというのが原則です。高齢者は「入院したら高額なベッド代や医療費を払えない」など将来への不安から、わずかな年金を節約して貯金を蓄えているのです。それを理由に負担軽減の対象からはずすのは福祉とはいえません。保険料や利用料軽減制度は住民税非課税世帯までを対象にし、預貯金制限は撤廃すべきです。区長の見解を伺います。

(4)安心して住み続けられる地域包括ケア体制の確立について

 次に、安心して住み続けられる地域包括ケア体制の確立についてです。

 高齢者は、住み慣れた地域で安心して暮らせる医療、介護保険制度を望んでいます。しかし政府がすすめようとしている地域包括ケアは、社会保障の削減を進めるために福祉を地域の支えあい―自助、共助にゆだね、医療・介護に対する国の責任を放棄するものです。

 私は、福祉保健委員として昨年、「認知症になっても安心して暮らせるまち」を推進してきた福岡県大牟田市を視察しました。介護保険のスタートを機に、苦悩しながらも「身体拘束」していた認知症への対応を転換し、誰もが認知症になっても幸福であるためには、街全体が認知症の人を支える街にならなければいけないとして、市が責任を持って認知症対策をすすめてきました。

 また、地域包括ケアの体制づくりも、市が責任を持って拠点となる小規模多機能型居宅介護施設を25か所、介護予防拠点・地域交流施設を45か所まで増やしてきました。こうしたとりくみを住民とともにつくりあげてきたことが大切だと感じました。

 当区でも地域で安心して高齢者が暮らすためには、無差別平等の地域包括ケアの体制作りが求められます。そのためには、要となる区内11箇所の地域包括支援センターの抜本的な体制強化は不可欠です。渋谷区では、地域包括ケア担当の職員を1名置いてきましたが、新年度からはそれすら廃止する予定です。区長は地域包括支援センターの役割をどう認識しているのか、またどのような地域包括ケアの体制を展望し、どのように構築しようとしているのか伺います。

 いま、地域包括支援センターでは、毎年増え続ける相談や昨年から開始された総合事業の業務が新たに加わり多忙の一途をたどっています。区が責任を持って地域包括ケアの体制を作るために、地域包括支援センターに専門職の常勤職員をふやして、地域ごとの確立を進めるべきです。区長の見解を伺います。

 また、各種のサービスを提供する介護事業者や医療機関、地域住民が進める食事会や体操などの健康づくりの場など、地域包括ケアにつなげることのできる様々な取り組みが行われています。こうした取り組みや主体となる団体に、会場提供や財政的な支援を行い、地域包括ケア体制づくりをすすめるべきです。区長の見解を伺います。

(5)特養ホーム、グループホームの増設について

 次に特養ホーム、グループホームの増設についてです。

 昨年10月時点での当区の特養ホーム入所待機者は586人もいるのに、年間の入所者数は209人に過ぎず、何年待っても入れない方もたくさんいます。来年5月に開設される旧本町東小学校跡地複合施設が完成しても、定員は100名で待機者ゼロにはさらなる増設が求められます。実施計画2017では旧本町東小跡地施設に加え、高齢者ケアセンターの改築による特養ホーム計画が示されましたが、これだけでは不十分です。代々木2、3丁目や恵比寿南3丁目の国有地などの活用や地域密着型特養をあわせ、さらなる増設計画を立てるべきです。区長の見解を伺います。

3、区民の命と生活環境に関わる国政、都政問題について

ひとつは広尾病院の改築問題

 ひとつは広尾病院の改築問題です。小池知事は、都立広尾病院を青山エリアに移転改築する計画を一旦白紙にすると表明し、広尾病院のあり方を議論している検討会の結論を待って、どこに建設するかを検討するとしています。

 石原都政時代に都立病院改革マスタープランが策定され、都立病院は3小児病院廃止や公社化などで16か所から8か所にまで減らされましたが、広尾病院は地域住民の運動と世論で今日まで都立直営を守ってきました。

 地域の住民からは、「地域で安心してかかれる病院として広尾病院はいまの場所に残してほしい」と言う声が圧倒的です。また、「都立直営を守り病床数の削減や、特別室料金や病床差額のないだれもがかかれる病院に」などの声が出されています。

 広尾病院改築の基本構想検討会には、渋谷区から委員を派遣しています。都立広尾病院の改築にあたっては、都立直営のまま現在地で建替え、充実した医療を願う住民の声を都に伝えるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

二つ目は、羽田空港の新飛行ルート問題について

 政府は羽田空港の機能強化として、国際線を増便するための新飛行ルートを示し、2020年3月の飛行をめざしています。渋谷区の上空を超低空で一時間に44便も飛行する計画で、約70デシベルの騒音が発生し、住民は常に落下物等の危険にさらされることになります。区民からは、「住民が暮らす密集地の上空を飛行し、騒音と危険にさらすことに反対」など、安全無視の飛行ルートに怒りがよせられています。

 この間、住民の強い要望で、品川区や港区では住民が一同に会して説明を聞き意見を述べる教室型の説明会を開催させました。当区でも3月11日には地域交流センター恵比寿で、国交省による説明会が開催される予定ですが、渋谷区でも教室型の説明会を地域ごとにきめ細かく開催するよう求めるべきです。また、住民の不安が解消されないまま、強行はしないよう、国交省に申し入れるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

三つ目は、オスプレイの横田基地への配備について

 米軍横田基地に今年後半からCV22オスプレイを配備して、物料投下や夜間飛行などの訓練が実施される計画が明らかになっています。昨年12月13日には、米海兵隊普天間基地に所属するMV22オスプレイが空中給油訓練中に名護市の沿岸に墜落する事故がおきましたが、事故原因も明らかにされないまま訓練が再開されました。横田基地周辺の自治体では、住民の怒りと不安が広がる中で、事故原因の究明と再発防止、オスプレイの配備中止などを求める意見書が次々と上がりました。

 オスプレイは、繰り返し事故を起こしてきた欠陥機です。沖縄での事故原因の究明もされず、横田基地に配備されれば、数々の訓練で渋谷区の上空を飛びまわり、住民の命と安全が脅かされます。区長は国や都に対し、危険なオスプレイの横田基地配備を撤回するよう求めるべきです。区長の見解を伺います。

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