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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2017年第1回定例会・予算特別委員会での、秋元区議の4予算に対する反対討論、党区議団の予算修正案に対する賛成討論

 3月30日の第1回区議会定例会・予算特別委員会での、秋元区議の渋谷区一般会計予算、国保、介護、後期高齢者医療事業会計の4予算に対する反対、党区議団の提案した予算修正案に対する賛成討論は次のとおりです。

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 私は日本共産党渋谷区議団を代表し、議案第19号、2017年度渋谷区一般会計、議案第20号、同国民健康保険事業会計、議案第21号、同介護保険事業会計、議案第22号、同後期高齢者医療事業会計予算に反対し、当区議団が提出した一般会計予算に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。

 現在、労働者の平均賃金は、1997年をピークに年収で55万6千円も減少しています。貧困層の拡大が進み、働きながら生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業者世帯の9・7%となりました。「貯蓄ゼロ世帯」は30・9%に達しています。

 区内でも、昨年、中小企業の倒産件数は157件、国民健康保険の滞納者が31%、就学援助を受ける中学生も30%を超えており、我が党のアンケートでは生活が苦しい、と答えた方が66%いました。

 このような状況から今区政に求められていることは、くらし・福祉応援を第一にした予算です。しかし、区長の予算はくらしを守る予算にはなっていません。

 以下、各部ごとに問題点を指摘していきます。

経営企画部です。

 新庁舎整備事業として、6億2931万円余が計上されています。この中には想定外のアスベスト除去工事費用として1億4688万円が含まれていますが、新庁舎整備としてこれまでかかった費用は27億9600万円で新年度予算を合わせると34億2531万円にものぼります。さらに、今後は工期延長にともなう仮設庁舎の費用負担増や、土壌汚染対策工事費の負担が増えることは明らかで「庁舎をタダで建てる」といってきたことは区民をあざむくものと指摘せざるを得ません。

 庁舎等の建設の最大の問題は、庁舎や公会堂の用地や建物も区民の共有財産であるとともに区民サービスの拠点施設であるにもかかわらず、区民の意見を全く聞かず情報公開もせず進めていることです。また、三井不動産と77年7カ月の長期定期借地契約を結び、代々木公園に面する一等地に39階建て505戸のマンションを建てさせるやり方は三井不動産に大儲けを保障するものです。

 しかも、この事業が庁舎、公会堂と三井不動産のマンションが一体で進められているにもかかわらずマンションについての総事業費は一切明らかにされず2月に行われた住民説明会も近隣住民だけへの実施で工事に係る説明しか行われていません。マンションの総事業費が明らかにされなければ庁舎、公会堂建設に充てられる211億円が妥当かどうか区民が判断することができません。三井不動産の利益優先の庁舎建替えは断じて認められません。

次に、総務部です。

 渋谷区公契約条例は23区で最も早く制定されましたが、今年の3月時点では全国で45自治体が実施、拡大されています。

 しかし当区は、工事請負業者に労働者の賃金支払いを証明する賃金台帳の提出を求めていません。そのために関係団体が区内の公契約対象の工事現場で働く労働者にアンケートを実施したところ4割が下限額を下回っていると回答した現場もありました。このことは条例の目的に反しており、認められません。

 すべての労働者の賃金が区が定めた賃金以下で働かされることがないように賃金台帳の提出や対象工事も5千万円以上に拡大すべきです。

 財産貸付収入の普通財産土地貸付で、東急電鉄に旧恵比寿住宅を年240万円で旧桜丘保育園の土地を年間570万円で10年間格安で貸しています。今、保育園の待機児解消など喫緊の課題がある中で、区民の財産を企業に格安で貸し出していることは認められません。ただちにやめるべきです。

危機管理対策部です。

 災害対策として、新規に不燃化特区の指定を受けている本町2~6丁目の木造住宅全戸を対象に感震ブレーカーまたは感震コンセント支給の予算を計上したことは評価しますが、木造密集地域は区内各所に存在しており、全区を対象にすべきです。

 また、区民の命を守る立場から、民間保育施設や障がい者施設の備蓄品完備の助成や帰宅困難者の食料品備蓄予算も計上すべきです。

区民部です。

 伊豆・河津町の保養施設は「遠くて不便、交通費が高くて利用できない」という区民の声がある中、新年度運営費に1億2236万円、施設維持改修費に2590万円、合計で1億4826万円もの予算を投じます。今後は宿泊棟の老朽化による大規模な改修等も予測され、多額の予算の支出が見込まれます。こうした施設は維持する必要はなく廃止すべきです。

 消費税8%増税と大企業中心のアベノミクス・経済政策によって区内の中小企業、商店街は厳しい経営状況に陥ってます。それだけに中小企業振興、商店街に対する支援を積極的に行わなければなりません。

 ところが、区の中小企業事業資金融資状況をみてみると、個別企業の運転資金融資の場合、申し込みが226件もあり、小口資金融資では435件の申請で中小企業の深刻な経営実態にもかかわらず融資の予算を1300万円も削減したことは認められません。足立区や荒川区が実施に踏み出した「小規模事業経営改善補助事業」を実施するなど中小企業の支援を強化すべきです。

 また、消費不況のもとで売り上げが減少している商店街に対し、街路灯の電気代は全額補助にすべきです。

次に、都市整備部です。

 東急グループを中心とする大企業のための街づくりである渋谷駅周辺再開発事業に、新年度は道玄坂1丁目駅前地区の再開発事業に3億4千万円、渋谷駅街区北側自由通路整備事業に4億4千万円、渋谷駅周辺地域交通戦略策定業務に5832万円など、合計で9億4956万円もの予算が投じられます。

 この渋谷駅周辺の再開発をいっそう推進するため、新たに担当課長を配置し、二人の課長体制にします。

 また、東急グループが主体となっている桜丘地区の再開発をすすめるために、再開発調査業務委託費として324万円を計上し、桜丘地区の主要道路補助18号線を整備するため土木部に街路・用地担当課長と主査を置き推進することは大企業中心の街づくりに区がいっそう奉仕するもので、認められるものではありません。

土木清掃部です。

 区は、宮下公園を三井不動産に33年間貸付け、三井不動産は公園用地に三階の巨大商業施設と17階建てのホテルを建設し、その見返りに三階屋上に公園を整備する計画は、公園機能を低下させるものであり、多くの区民からも「憩いの場であり、貴重な防災空間である公園をなぜ三井不動産の儲けの場にするのか」と厳しい批判の声があがっています。

 しかし、区長は新年度新宮下公園整備費として公園整備アドバイザー費391万円、総合事業支援委託業務費として2253万円の予算を計上しました。

 また、2月に行われた都市計画の広告・縦覧では、宮下公園を三階の屋上にすることについて、区民の利便性がなくなる、区のやり方に正当性があるのか、などの意見が続出し、都市計画審議会でも多くの異論が出され、区長への答申は年度を越え、4月以降になりました。

 さらに、3月31日まで公園を供用させることになっていたのに、区議会、区民にも知らせず27日に突然閉鎖し、中にいた路上生活者を閉め出したことは人権無視の暴挙であり、言語道断です。

 公園を閉鎖するために区は三井不動産と事前協議して、竹中工務店から60~70人、さらに区独自に当初予算にも計上していない900万円を使い、60人の警備員を動員しました。定期借地契約を締結する前に、一方的に公園を閉鎖したことは許されません。三井不動産の利益を最優先するこの計画は撤回し、区民参加で練り直すべきです。

次に、子ども家庭部です。

 直近、報告のあった認可保育園入園希望者は1981人で、昨年比246人、一昨年比517人増と大幅に増えており、新年度内の待機児解消が難しい見込みです。区として新年度809人分の定数増を図ることは前進ですが、保護者の願いは園庭があり、質の高い保育、子どもを安心して預けることのできる認可保育園の増設です。その中でも区立保育園は、障がい児の加配や用務員の配置に加え、国以上の基準で運営する、渋谷の保育の質をリードする施設です。ところがこの間区は、保護者の願いに逆行し、区立桜丘、西原、神宮前、上原、本町第二保育園を廃止したことは許されません。

 保育の必要なすべての子どもに良質な保育を保障するために、国や都有地の活用や都の制度を利用し民有地の借り上げを行うなど、区立を中心とした認可保育園の増設と、保育士には家賃補助だけでなく、賃金引上げ補助などで処遇改善を行い待機児ゼロを目指すべきです。

 また、子育て支援を行う上で、相談・短期緊急保育機能の備わった子育て支援センターの拡充が広域に求められています。まずは、スポーツセンターとひがし健康プラザの子育て広場を子育て支援センターにするべきです。そして、医療費の無料化を高校生まで拡大するなど、手厚く、総合的な支援を行うべきです。

次に教育振興部です。

 子どもの貧困の問題は依然、深刻な社会問題であり、経済的な支援が求められています。

 給食費の無償化は、半年分を1億6千万円で実施できます。現在、小中学校の給食調理直営校8校で1人しかいない栄養士を全校に配置し、食育を行うべきです。就学援助の支給は生活保護基準の1.5倍まで拡大するべきです。就学援助の新入学学用品費は、入学前に支給を行う自治体が増えています。また国は、要保護者の単価を物価の上昇にともない新年度から小中ともにほぼ倍に引き上げました。そのため、支給の前倒しを行うとともに準要保護も同額に引き上げ、子育て世代の支援を行うべきです。

 ICT教育の推進に新年度はタブレット型パソコンなど7億500万円の予算を計上しています。これまで行ってきたPCを利用したICT教育は新年度のリース更新期にあたる学校では更新後それを4カ月しか利用せず、計画が途中のままになります。新年度導入にあたっては、教員の研修スケジュールもまだ決まっていない、検証結果が報告されていない等、計画が拙速であると言わざるを得ません。

 学校関係では様々な社会問題が取り巻いています。教員の多忙化は深刻で、朝早くから準備し、毎日夜9時、10時までの残業が日常化しています。月に100時間を超えると言われている残業時間を区として調査を行い、実態把握に取り組むべきです。さらに今年度、いじめ29件、不登校93件と深刻です。子ども一人ひとりを大切にするため、教師の多忙化を解消し、行き届いた教育を行うためにも、まずは35人学級に踏み出すべきです。

 外国語教育充実として、新年度はこれまでの倍以上の時間が計画されています。全体的に予算が上がりましたが、英語教育重点校の松濤中学校に1900万円余、本町学園には1425万円余の予算がついており、これは中学校で最も少ない額の154万円と比較し、10倍以上の開きがある突出した予算となっています。公教育においては、予算の格差が学校間であってはなりません。

次に、生涯学習・スポーツ振興部についてです。

 社会教育館は、地域の社会教育の中核をなす場所であり、数多くの区民、様々な団体が利用しています。そのため、より文化活動を活発化させるために、社会教育主事を各館1名は配置すべきです。さらに、各社教館で備品が老朽化、不具合が発生しており多くの要望が出ています。音響の不具合をはじめ、テレビの地デジ化など数多くの要望に対して、新年度の備品購入の予算は今年度81万円だったものが5カ所合計で15万円余と、66万円も減額されています。これではあまりにも少なく、社会教育の充実のためにも増額すべきです。 

 学校施設開放で、夏季学校プール開放を新年度は3校の実施から6校に倍加することは子どもたちにとって、たいへん喜ばれる拡充です。今後は、区内全域で実施できるようさらなる拡充を行うべきです。

次に、福祉部です。

 区は生活保護法外援護として夏と冬にそれぞれ4000円の見舞金を給付してきましたが、今年度の冬の見舞金に続いて、新年度は夏の見舞金を廃止し、2883世帯分、1153万円を削減しました。渋谷区では、物価が他の区に比べても高いだけに受給者にとって厳しい生活を強いられることになります。電気代がかさむからと、冷房用のクーラーの使用を控えるようになれば、熱中症の危険も増すだけに、夏の見舞金の廃止はやめ、冬も復活させるべきです。

 国の介護抑制のもとで、区独自にサービスを提供し、全国的にも高く評価されてきた区型介護サービス事業ですが、区は昨年からの削減に続き、新年度もヘルパー派遣や外出介助などで、1122万円も削減しています。介護保険のみの利用者との公平性を理由に、ヘルパー派遣を介護給付限度額の範囲内に制限したことは認められません。これまでどおり上乗せサービスとして実施し、必要な介護が受けられるようにすべきです。

 新年度は、高齢者施設の指定管理の更新年度になりますが、運営費に相当する指定管理料は、せせらぎの地域密着型特養以外はすべて0にしてしまいました。けやきの苑・西原の特養では今年度予算で、24時間の看護体制を確保するためとして計上していた1249万円が削られました。このため、常勤看護師に代えて、日中は短時間しか勤務できないママさん看護師や、夜勤専門の看護師を非常勤で配置するなど、職員の処遇にしわ寄せが出ています。利用者のサービス低下を招きかねない指定管理料の削減はやめ、将来的には指定管理そのものをやめるべきです。

 障害者福祉の分野では、今年度1160万円も削減した福祉タクシー券の復活も行われず、月3500円に引き下げられたままであり、厳しい批判が今も寄せられています。また、昨年からの児童発達支援の有料化も継続し、はあとぴあ原宿で300万円、代々木の杜で280万円の負担を強いられています。区が独自に作ってきた福祉施策を削減したままの予算は認めることはできません。

 区は土壌汚染があることを知りながら、幡ヶ谷二丁目の土地を鑑定よりも高い約32億円で購入し、新年度も複合施設(仮称)整備事業費として15億4852万円を計上しています。汚染地下水のモニタリングは継続中で、安全性が確認されたとはいえず、子どもの遊ぶ公園や保育園としてふさわしい場所とはいえません。地下水モニタリング調査が終了するまでは工事を中止すべきで、予算執行は認められません。

健康推進部です。

 新年度から胃がん検診に内視鏡検査が加えられ、区内の約30の医療機関での受診が可能になります。しかし、肺がん、大腸がんは、大和田の区民健康センターと区外の一カ所でしか検診できないままとなっています。受診率は肺がんで16.0%、大腸がんで17.5%にとどまっており、受診率を引き上げるためにも、肺がん、大腸がんについても区内の医療機関で受診できるように改善すべきです。

 また、要精密の診断を受けた人がもれなく二次検診を受診し、その結果を把握するためにも、二次検診の受診料無料を復活すべきです。

次に、国民健康保険事業会計について述べます。

 2017年度の国民健康保険料は、今年2月末で31.26%の滞納世帯がある中で、平均7252円もの大幅値上げとなり、1人当たりの年間平均保険料は13万276円となります。300万円の給与所得の3人世帯の場合、年額29万8437円の保険料となり、給料の1カ月分以上が徴収されることになります。二月末現在、保険料が払えず窓口で全額医療費を払わなければならない資格証の世帯が34世帯、短期証も522世帯にのぼっています。

 12年連続での保険料の引き上げに「高くて払えない。引き下げてほしい」という区民の声が高まっている中で、今年も保険料を大幅に引き上げる予算編成は認められるものではありません。

次に、介護保険事業会計です。

 区は昨年4月から介護予防・日常生活支援総合事業の緩和サービスAを開始したものの、介護報酬を訪問で8割、通所で7割に引き下げたため、区が参入を呼びかけているにもかかわらず、区内事業者では、訪問介護が43のうち34事業所、通所介護が27のうち15事業所での実施にとどまっています。このため、利用者が継続してサービスを受けられなくなったり、通所介護サービスそのものの利用をやめる事態も生まれています。

 また、訪問事業所では、資格のない人は雇えないとして、資格のあるヘルパーを派遣しているのが実態です。ある事業所では、「緩和サービスに従事する場合の賃金は時給932円の最低賃金にせざるを得ない」という話も聞きました。

 このように、介護報酬を引き下げた緩和サービスは、利用者がこれまでどおりのサービスを受けられなくし、介護従事者の処遇を引き下げ、事業所の安定的な運営を困難にするものです。

 緩和サービスはやめて、国の基準と同じサービスを提供すべきです。

 昨年8月から、国は、補足給付を受ける際の基準となる所得に、遺族年金や障害年金などの非課税年金も算入する改悪を強行しました。このため、当区では、補足給付の軽減段階が第二段階だった478人のうち、211人が第三段階の軽減しか受けられなくなり、負担増となりました。

 介護保険制度はますます必要なサービスが受けられなくなり、「保険あって介護なし」「国家的詐欺」といわれる制度になりつつあります。

 高齢者に負担増と給付削減を押し付ける新年度予算は認められません。

次に、後期高齢者医療事業会計です。

 2017年度の一人あたりの年間保険料は14万6086円にもなります。75歳以上の高齢者にこのような高い保険料を押し付けているため、滞納者は1月末で793人に上っています。新年度から国による低所得世帯への保険料軽減措置が縮小され当区でも、1241人が負担増になることは許されません。

 社会に貢献してきた75歳以上の高齢者に高い保険料を押し付け、かかる医療を制限するという後期高齢者医療事業は、世界に類例のない差別医療であり廃止すべきです。そして、75歳以上の非課税の高齢者が安心して医療にかかれるように区として医療費無料化を実施すべきです。

最後に、日本共産党区議団提出の修正案について述べさせていただきます。

 大企業の利益優先の渋谷駅周辺開発への税金投入や、宮下公園再開発、河津保養所の廃止など不要不急の予算を削減しております。

 一方、福祉・教育の拡充として、75歳以上非課税世帯と高校生の医療費無料化、生活保護世帯の見舞金の復活、障がい者の移動支援、日常生活利用料の負担軽減、第三子の保育料無料化、給食費の無償化などを盛り込んでいます。

 防災・環境対策の拡充として、感震ブレーカー・コンセントの全区的支給、木造住宅・マンションの耐震補強助成の拡大、環境・清掃・緑化対策としての事業など、111の事業を計上したものであり、住民の願いに応える修正案に賛成です。

 以上で区長提案の4事業会計予算に反対し、日本共産党区議団提出の2017年度渋谷区一般会計予算に対する修正案に賛成する討論といたします。

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