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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2018年第1回定例会 中間本会議でトマ孝二議員が行った「渋谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」に対する反対討論

3月8日の中間本会議でトマ孝二区議会議員が行った「渋谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」に対する反対討論は次のとおりです。

◆     ◆     ◆

ただいま議題となりました議案第13号 渋谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例について、私は日本共産党渋谷区議団を代表して、反対の討論を行います。

第一の反対理由は、6月15日に施行される住宅宿泊事業法は、現在、旅館業法違反の民泊を合法化し、届け出だけで営業を認めるものだからです。

今、日本全国で5万カ所、渋谷区内では3千カ所の民泊が営業していると言われています。2016年度に厚生労働省が行った民泊に対する実態調査では、調査件数1万5千件のうち旅館業法の許可を受けていた施設は全国で16.5%、大都市部ではわずか1.8%であり、当区の場合でも、営業許可を受けている民泊はほとんどありません。

それが住宅宿泊事業法の制定によって、民泊の営業については届け出が義務化され、これまで許可なく行われていた民泊はなくなる、と政府は言っていますが、その保証はまったくありません。

実際、区内の違法民泊について、今でも100件以上もの苦情がありながら、1件も旅館業法違反で摘発されていません。法施行後に何件が届け出を出すかもあきらかでなく、闇民泊が営業し続ける可能性があります。さらに、国内外の仲介業者があっせんしている件数もまったくつかめておらず、外国人が日本の民泊を利用する際に活用している仲介業者に、アメリカの大手企業などがありますが、海外業者が無届の営業をしている民泊を紹介しても、取り締まることはほとんどできないのです。

先日、大阪の民泊で外国人による日本人女性のいたましい殺害事件が起きました。民泊では、旅館業法で定められている対面確認や、パスポートのコピーで本人確認することがないため、このような事件を防ぐことができなかったのではないか、と指摘されています。

このようなことが、民泊を舞台に二度と起こらないようにするためには、住宅宿泊事業法の施行を凍結し、民泊営業については実態調査を直ちに行い、旅館業法にもとづいてきびしく制限すべきです。

第二の反対理由は、住民に対する環境悪化を防ぐ条例になっていないことです。

違法民泊によって、近隣住民は深夜早朝の騒音をはじめ、ごみの不法投棄、たばこのポイ捨て、治安の悪化に苦しんできました。旅館業法では、住居専用地域や文教地区は、子どもの安全と住民の平穏な生活を守るため、旅館やホテルの営業は認めていません。

だからこそ、住宅宿泊事業法でも、生活環境の悪化を防止するため、自治体の責任で区域を定めて、営業する期間を制限することができる、とされているのです。

ところが、本条例では、住居専用地域や文教地区であっても、町会その他の地域団体に加入していること、百メートル以内に住んでいるか、管理業者の事務所があれば180日間の営業を認めるという例外規定をもうけ、事実上、民泊営業を容認したのです。事務所や営業所は登録するだけでよく、苦情やトラブルに即応する体制がどこまでとれているかは確認できません。

また、民泊のコールセンターを設置しますが、その活動は平日の午前9時から午後5時までで、その業務は住民から寄せられた問題について各部署につなぐシステムで、トラブルが発生すると思われる夜間や早朝、土日など肝心な時には対応できず、当事者の自己責任とする仕組みとなっています。

さらに、民泊の問題を取り締まる衛生監視員は2人増員されますが、3千軒の民泊をどう把握し、指導していくのか、まったく不十分といわなければなりません。

民泊特区を申請し、民泊事業を推進してきた大田区ですが、違法民泊をおさえることができない現状などから「大田区住宅事業法施行条例」を制定し、住居専用地域や文教地区などでは民泊を全面禁止にしたのです。

第三の反対理由は、本状例は主権者である住民の意思に反した条例になっていることです。

区が12月19日に行った民泊在り方検討会意見交換会では、原宿神宮前まちづくり協議会の代表は、違法民泊に苦しめられている町の状況を示し、家主在宅以外の民泊は認められない、と強く主張し、渋谷区ホテル旅館組合や東京都宅地建物取引業協会渋谷支部などから民泊に対し、多くの不安や危惧する声が出されました。

さらに、12月26日原宿神宮前地区の7人の町会長、まちづくり協議会の代表幹事、青少年地区委員会の会長など、10人が連名で長谷部区長に要望書を提出し、原宿・神宮前地域が戦後の混乱期において性風俗にかかわる旅館が多く存在し、風紀がよくなかったこと、先人たちがその環境を変えるために努力し、文教地区の指定を勝ち取った結果、旅館が撤退したことを述べ、「本来認められない旅館業に類似する民泊は、到底受け入れられない」と求めたのです。しかし、区長が提出した条例は、こうした住民の声を無視したものとなっています。日本共産党区議団は、住民と旅行者の安全・安心を守る立場から、このような条例を制定することは断じて認めることはできません。以上で反対討論といたします。

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