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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2018年第1回定例会 最終本会議でトマ孝二議員が、区長提案の介護保険料の値上げのための条例に反対討論

私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、議案第10号 渋谷区介護保険条例の一部を改正する条例について、反対の立場から討論いたします。

本条例案は、本年4月から始まる第7期介護保険事業計画の保険料について現在、6万7560円の基準額を3960円引き上げて7万1520円にする、まさに区民負担を大きくし、生活をきびしくするもので断じて認められません。

実際、いま高齢者のくらしは年金は上がらず、物価は上がるなかで厳しい状況になっています。

私たち区議団が昨年秋に実施した、アンケートで介護保険料について調査した結果、「高い保険料には不満です」などの声がよせられ、その負担について、「重く感じる」「やや重く感じる」と回答した人が合わせて85.6%にのぼりました。また、区が実施した第7期計画に対するパブリックコメントでも、「保険料を上げないでください」という意見も出されました。

そうしたなかで、今議会に「介護保険料の引き上げをしないことを求める請願」が899人から提出されています。請願では、保険料について、制度が始まった2000年の基準保険料が3万6800円だったのが、現在、6万7560円と約2倍になっていること、それは年金生活の高齢者にとって重い負担となっていること、第7期介護保険計画では、保険料の引き上げをしないよう訴えているのです。

じっさい、この18年間では消費税が3%から8%に引きあがり、物価も上がっているのに年金や、生活保護費も引き下げられているのです。

保険料を引き上げることは、高齢者の暮らしを破壊するもので、許されません。

第二の問題は、保険料の算定の基礎となる保険給付費について、過大に見積もっていることです。

第6期事業計画の379億円と比べ、第7期事業計画が455億円で、25億円の伸びを見込んだ第6期計画の3倍以上の見込みで突出としたものになっているのです。

給付費の伸びの見込みが高いことについて、理事者は今年5月に開設される特別養護老人ホーム・つばめの里本町東などの施設費が増えることなどを主な理由にあげました。しかし、わが区と同じ規模の特別養護老人ホームが開設される港区では、第6期から7期の伸び率を5%としていることからも、給付費の20%という当区の伸び率はあまりにも異常なものです。

また、介護認定者の見込みについては、29年度は8755人とし、32年度については9403人と、648人、7.5%の伸びしか見込んでいないのに、全体では20%の伸びを見込むことはあまりにも不合理と言わなければなりません。

こうした試算で保険料を引き上げることは、区民の理解を得られないものであり、許されません。

第三は、高齢者の生活実態を踏まえ、保険料について引き上げない努力をしなければならないのに、そうしたことがなされていないことです。

今回の保険料改定にあたり、理事者は平成27年度と28年度で積み立てた準備金を全額取り崩し、保険料の引き下げに活用した、と答弁しています。しかし、29年度の準備基金についての見込み額については、全く説明せず保険料の引き上げの条例案を提出したことは許されません。

第7期の計画策定にあたり、千代田区は月額400円の引き下げをはかり、中央区、港区では、据え置きとしました。とくに港区では、28年度までの準備基金を全額取り崩した上に、29年度の繰越金を試算し、その一部を保険料引き下げに活用して据え置いたのです。

第4の理由は、応能負担の原則を考慮せず低所得者に高い保険料を押し付けていることです。

介護保険は、社会保障制度として実施されていることから、保険料については応能負担を原則とし、低所得者に対しては負担を軽減し、負担能力の高い高額所得者については、応分の負担を求めるべきです。ところが、今回の保険料は年収250万円から500万円、500万円から1千万円の2段階だったのを4段階にし、全体で14段階だったのを16段階として変更しました。その階層については、引き上げの割合を高めに設定したものの、それ以下の生活保護受給や無収入の人を含む低所得者には引き上げ率を5.8%から6%にするとともに1億円以上の高額所得者も5.8%にするという、低所得に重い負担を課したのです。

第5期計画の策定の際には、段階を拡げ、低所得者には低く、高所得者に対しては応分の負担を求めたのです。

こうした経過があるにもかかわらず、応能負担の原則を無視した保険料の設定は認められません。

日本共産党は、必要な介護が保障され、安心して利用できる制度にするためには、第一に国の責任で利用料・保険料の減免制度を確立する、第二に65歳以上の介護保険料を全国単一の所得に応じた定率制に改める、第三に制度の充実や基盤の拡充をはかるため、現在25%の国庫負担割合をただちに10%引き上げ、将来的には50%にすることを提案しています。

そして、財源については消費税増税をせずに富裕層や大企業への優遇をあらためる税制改革をおこなうとともに、国民の所得を増やす経済改革を提言しています。最後にその実現を訴えて、私の本条例案反対の討論といたします。

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