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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

田中まさや幹事長は、2月24日の区議会第1回定例会の本会議で、日本共産党区議団を代表して、長谷部区長に対して代表質問を行いました。

 田中まさや幹事長は、2月24日の区議会第1回定例会の本会議で、日本共産党区議団を代表して、長谷部区長に対して代表質問を行いました。


●第1回定例会 代表質問・本番用

2022.2.23

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長に質問します。

1.区民のいのちとくらしにかかわる国政問題について

(1)やさしく強い経済について

 日本は世界でも異常な経済成長できない国、若者や働く者が将来に希望が持てない国になっています。一人あたりの実質賃金は64万円も減り、GDPの伸びは、アメリカ25%、ユーロ圏14%で、日本はわずか6%です。その原因は、財界いいなりに労働法制の規制緩和で非正規雇用を40%に拡大し低賃金を押し付け、大企業や富裕層減税の一方で消費税増税や医療・介護・年金を切り捨てて格差と貧困を広げてきた、世界でも異常な新自由主義経済政策にあります。
 日本共産党は、中小企業支援と一体に全国一律最低賃金1500円以上への引上げ、正規雇用が当たり前の労働法制の規制強化、消費税5%減税と社会保障の充実で、経済を好循環させる提案をしています。労働運動総合研究所は、最賃1500円以上への引上げだけで228万人以上の雇用が生まれ、GDPを22兆円引上げると試算しています。
 区長は、新自由主義経済政策が、若者や働く者から希望を奪ったとの認識はありますか、お尋ねします。政府に、全国一律最低賃金の実現と大幅引き上げ、労働法制の規制強化など新自主義経済政策の転換を求めるべきです。所見を伺います。
 渋谷サービス公社のプール監視員は、時給最低1100円以上で、これでは生活できません。
 区として指定管理や委託など公契約で働く労働者の賃金実態調査を実施するとともに、最低賃金を時給1500円以上に引き上げるべきです。また区長として区内企業に賃金の引き上げを呼びかけるべきです。所見を伺います。

(2)憲法9条について

 ロシアによるウクライナ東部地域の独立承認と派兵命令は、国連憲章にも国際法にも違反する侵略行為であり、日本共産党は断固撤回と経済制裁など非軍事の手段で事態の打開を図ることを強く求めます。
 ウクライナ問題や東アジア情勢は、安全保障と外交の在り方を問うています。軍事に対して軍事で構えれば、衝突や戦争という破局的な事態を招きかねません。こうした中で政府が、敵基地攻撃能力の保有を検討しようとしていることは重大です。安倍元首相は、相手をせんめつするような打撃力が必要と発言しており、岸田首相も否定していません。このような議論は、憲法9条とは絶対に相いれません。
 自民党改憲案の9条への自衛隊明記は、全面的な集団的自衛権の行使や海外派兵を可能にするもので、敵基地攻撃能力の保有と合わせて、全面戦争に道を開くものです。
 区長は、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反との認識はありますか。お尋ねします。憲法9条改憲や敵基地攻撃能力の保有の検討にキッパリ反対すべきです。所見を伺います。
 米中対立の中で、ASEAN10カ国と日米中の8カ国で構成する東アジアサミットが、地域の平和の枠組みとして発展していることは重要です。ASEANは、東アジア規模の友好協力条約をめざしています。
 いま日本が進むべき道は、憲法9条を生かし、東アジアサミットを活用した平和外交です。
 政府に対して、東アジアサミットを発展させ、平和と協力の地域にするために先頭に立つよう求めるべきです。区長の所見を伺います。

2.新型コロナ対策について

 新型コロナの陽性者は爆発的に増え、各地で医療ひっ迫や保健所の機能不全が起きており、多くの区民に不安と困難が広がっています。
 ところが、今定例会に提案された今年度補正予算第8号は、総額90億円の中で直接的なコロナ対策はワクチン接種等の3億6千万円に過ぎず、逆に85億円を基金に積み増し総額1211億円にしようとしています。新年度予算も、区独自の医療・保健所体制の抜本的強化や区民・中小業者に直接届く支援はほとんどありません。
 足立区では、年収200万円以下の課税世帯に、基金を59億円取り崩して10万円を給付するなど、どの自治体も限られた予算のなかで最大限、独自のコロナ対策を行っているのです。
 区長は、100年に一度の災害級という認識はありますか、伺います。ワクチン、検査、補償を区として抜本的に強化するために、基金への積み増しはやめて、区民を守るために活用すべきです。所見を伺います。

(1)ワクチン接種について

 高齢者施設、学校、保育園でクラスターが発生し、高齢者等の死亡者も増加しています。
 感染拡大と重症化を防ぐために、介護・高齢者、障がい者福祉、学校、保育園で働く人のワクチン接種を急ぐ必要があります。職域ごとの3回目の接種状況をつかみ、休日や夜間の接種会場を確保するなどで促進すべきです。区長に、所見を伺います。
 高齢者から、文化センター大和田や美竹庁舎跡地までは不便で行きづらいので、個別接種会場で接種できるまで待つという声を多く聞きます。
 1回目、2回目同様に、高齢者でも歩いて行けるところに集団接種会場を設置すべきです。区長の所見を伺います。

(2)PCR等検査について

 オミクロン株の特性を踏まえると無症状などを早期に発見する検査戦略がより重要です。重症化しやすい高齢者を守るために、介護士等の定期的なPCR等検査の実施が求められますが、区は一部の施設しか状況をつかんでいません。
 高齢者入所施設でのPCR等検査の実施状況をつかむとともに、入所や通所施設、居宅介護サービス事業所の職員が無料で定期的にPCR等検査を受けられるよう支援すべきです。区長の所見を伺います。
 東京都教育委員会は、週1回程度の教職員の抗原定性検査を無料で実施しますが、児童生徒は、7日以内にクラスで2人以上の陽性者が出た場合だけ全員のPCR検査を実施します。
 教職員の定期検査を全校で実施するよう勧奨するとともに、児童生徒に週1回のPCR等検査を実施するよう国や都に求め、区として実施すべきです。区長に所見を伺います。
 世田谷区では1億円余で、無症状者対象の無料のPCR検査を地域で実施しました。
 国に対して、PCR検査能力の抜本的拡大を求め、区として無症状者に対する独自の無料検査センターを開設すべきです。所見を伺います。
 渋谷区を含む多くの自治体が、行革のためPCR検査を民間委託にした中で、墨田区は独自の検査体制を維持したことで、1日1200件の態勢を確立し検査の急増に対応できました。
 次の波や新たな感染症に備えて、区独自のPCR検査体制を再構築すべきです。所見を伺います。

(3)保健所体制について

 感染急拡大で、保健所体制はひっ迫し、保健師さんは「連日11時迄残業」という事態です。区民から「陽性になっても、保健所からなかなか連絡がない」との深刻な声が寄せられています。保健師などの専門職の固有の業務は、他の職員には代替できません。
 新年度、常勤保健師の定数を抜本的に拡大すべきです。区長の所見を伺います。

(4)医療機関への支援について

 救急搬送困難事例や自宅療養者が増大し、発熱外来の不足で、症状がある人の検査や受診が困難になるなど、医療危機が起きています。またワクチン接種も「赤字覚悟で協力している」との声も出ています。
 大規模療養施設の確保と発熱外来のPCR検査委託料の診療報酬を18000円に戻すよう国に求めるとともに、区独自で療養施設の確保と発熱外来やワクチン接種に協力する医療機関への支援を行うべきです。所見を伺います。
 医療がひっ迫する中で、小池知事が、独立行政法人化のためにコロナの最前線でたたかっている都立・公社病院廃止条例を提案したことは許されません。独法化すれば、法律で廃止や民営化の検討が求められ、感染症医療や災害医療など行政医療が切り捨てられかねません。
 広尾病院は、いのちの砦であり、都が指定した災害拠点病院の一つです。独法化によって、地域の災害医療の後退が懸念されますが、区長は、区民のいのちに関わる重大問題との認識はありますか、お尋ねします。東京都に対して、広尾病院をはじめ都立・公社病院の存続を求めるべきです。所見を伺います。

(5)区民と中小業者支援について

 蔓延防止等重点措置によって、区民や中小業者のくらしはますます困難になっています。
 国の住民税非課税世帯等臨時特別給付金の基準は、一人暮らしは年間100万円以下の収入で、生活保護基準以下でも受けられません。月収15万円の一人暮らしの人が、シフト減などで月9万円に減っても対象にならず、困っている人に届きません。
 足立区のように、この給付金の対象とならない年収200万円以下の世帯に、区独自に10万円の給付を実施すべきです。所見を伺います。
 国の事業復活支援金は持続化給付金の半額など不十分です。区内中小業者から、「なんとか2年間持ちこたえたが、こんどの営業自粛で気持ちが折れた」、「融資も限界、これ以上もたない」との声が寄せられています。
 国に対して、事業復活支援金は、持続化給付金並みに増額を求めるとともに、区として、減収規模に応じた独自支援を行うべきです。所見を伺います。

3.区長の政治姿勢について

(1)渋谷図書館について

 図書館は、社会教育法の精神で、文化芸術活動や社会活動を通して、無償ですべての人の人格の形成の機会を保障し、教育と文化の発展に寄与するための施設です。
 また渋谷区の図書館は、歩いて行けるところに図書館をと、先人たちが苦労して現在10館に増やしてきたのです。渋谷図書館は、毎年5万3700人もの利用者があり、地域にとってなくてはならない文化・教養・教育施設です。
 「受験の時、家が狭くうるさいので、いつも図書館で勉強していました」、「図書館は単に本を借りるだけでなく、新たな知識との出会いの空間」など、存続を求める声は急速に広がっています。渋谷区の図書館を考える会は、「区立渋谷図書館の廃止撤回を求める請願」署名にとりくみ、3000人以上の署名が寄せられていると聞きました。
 渋谷図書館は、建て替えか改修して存続するのが当然です。なぜ廃止するのですか。廃止条例は撤回することを強く求めます。区長の所見を伺います。

(2)組織改正について

 今定例会に提案された渋谷区組織条例の改正条例は、教育委員会の所管であった社会教育館、図書館、美術館、郷土博物館・文学館、文化財保護などを、区長の所管に移すもので、図書館、社会教育館などの権限を教育委員会から取り上げ、区長が握るものです。
 これでは、社会教育館や図書館などは、区長の独断で施設や事業を改廃したり、他施設と複合化したり、有料化もできることになり、区民から社会教育や文化・教養・教育の機会を奪うことになりかねません。
 区長は、この件について、いつ、どのように教育委員会に提案し、どのような意見がだされたのか、伺います。社会教育館、図書館、郷土博物館・文学館、文化財保護は、教育委員会にとどめるべきです。所見を伺います。

4.いのち、くらし、教育最優先の区政への転換について

 2022年度渋谷区予算は、国保料や後期高齢者医療保険料の値上げなど、区民には負担増を押し付ける一方、大企業奉仕を拡大していることは重大です。日本共産党区議団は、11の条例提案と予算修正案を提案するなど、いのちとくらし、教育最優先に転換するために全力をあげます。

(1)国保料について

 国民健康保険制度は、生存権を保障するための国民皆保険制度の重要な柱であり、セーフティネットです。本区の場合、年金生活者、自営業者、フリーランスなど、経済的に弱い加入者が多く、49%が均等割のみの低所得世帯です。
 ところが来年度の国保料は1人平均5,920円の値上げで18年連続となります。年収400万円の夫婦と子ども2人世帯の保険料は年間52万6,311円と、昨年比7,041円の値上げで、1カ月以上の給料が消えてなくなるほど重くなっています。
 区長は、制度の持続可能性といいますが、高すぎる保険料は、区民のいのちを持続できなくさせます。立川市では、昨年に続いて来年度の国保料の据置きを決めており、自治体の努力で保険料の軽減は可能です。
 区民から、「年金は下がり、物価は上がる。国保料が上がれば、病院に行けなくなる」、若者から、「仕事が減っているのに、給料の1ヵ月以上の保険料では、生活が成り立たない」との訴えが寄せられています。
 全国知事会も求めているように、国庫負担を大幅に引き上げて、協会けんぽ並みの保険料に引き下げるよう求めるとともに、区として一般財源を繰り入れて、保険料を値下げすべきです。区長の所見を伺います。
 国は、国民世論に押されて、2022年度から未就学児の均等割を半額にします。わが党区議団は、子どもの均等割保険料をゼロにするよう提案しており、1億1200万円の予算で実現できます。区として実施すべきです。区長の所見を伺います。

(2)ケア労働者への支援について

 介護士、保育士、学童保育、障がい者福祉などで働く人は、コロナの感染リスクのもとでも働き続け、区民の生活を支えています。人間の尊厳を守り、成長を育む専門職でありながら、賃金は全産業平均より8万円以上低く、過重労働で、深刻な人材不足や福祉サービスの質の低下をもたらしています。
 ところが政府の処遇改善臨時特例事業は、月9,000円の引上げに過ぎず、今年9月迄で、その後は、利用者負担にしようとしています。現場からは、「これでは人材不足は解消できず、仕事に希望が持てない」との厳しい批判も寄せられています。
 処遇改善臨時特例事業は、10月以降も継続し、介護士、保育士、学童保育、障がい者福祉のなどで働く労働者の賃金を、国の負担で全産業平均まで引き上げるよう国に求めるとともに、区独自の賃金引き上げのための助成を行うべきです。所見を伺います。

(3)子育て支援について

 子どもの権利条約は、「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」の保障を求めており、わが党区議団は本定例会に、「渋谷区こども条例」を提案しています。

①就学援助について

 教育費の負担は重く、文部科学省の調査では、全国平均で公立小学校が年間32万円余、中学校が49万円弱です。学用品や給食費などを補助する就学援助の拡大が必要です。
 本区の就学援助の2020年度の認定率は、小学校14.6%、中学校26.2%です。認定基準は生活保護基準の1.2倍で、小学生と中学生の子どもがいる40歳代夫婦の基準額は年間381万6000円以下です。
 世田谷区では対象を生活保護基準の1.4倍、給食費だけ補助する基準を1.8倍まで拡大したことで、利用者は2.9倍に増え、小中学生の3割が受給しています。新入学学用品費は、オンラインで申請できます。
 本区でも、就学援助認定基準を生活保護の1.5倍に引き上げ、年収572万4000円以下まで利用できるようにし、オンライン申請も認めるべきです。また、新入学学用品費の支給額は、要保護基準まで引き上げ、小学校の基準額は5歳児でなく6歳児の基準額にすべきです。区長に伺います。

②学校給食について

 学校給食は食育であり、義務教育無償の原則から、本来無償にすべきですが、渋谷区の学校給食費は、中学生で年間6万5,234円です。東京都の調査では、学校教育の保護者負担に占める給食費の割合は小学校75%、中学校62%であり、無償化は最大の子育て支援です。現在、小中学校の給食を無償にしている自治体は、全国で完全実施82、一部実施424へと急速に広がっています。
 コロナ禍で貧困が広がる今こそ、学校給食無償化に踏み出すべきです。わが党区議団の試算では、約4億2千万円で実現できます。当面、世田谷区のように、就学援助の準要保護基準を拡大して給食費を助成すべきです。区長の所見を伺います。

③子ども医療費について

 長年にわたる保護者や都民の願いと運動で、東京都は2023年度から、子ども医療費の無料化を高校生まで拡大します。しかし、自己負担を設定すると伝えられており、保護者から、完全無料化を求める声が広がっています。
 都に対して、子ども医療費の無料化は、所得制限や自己負担なく早急に実施するよう求め、区としても新年度から現行の子ども医療費無料制度を高校生まで拡大すべきです。わが党区議団の試算では、6500万円で10月から実施できます。区長の所見を伺います。

(4)大企業優先について

 渋谷区は、新自由主義のトップランナーとして、大規模再開発事業に多額の税金を投入し、福祉や教育分野で指定管理を導入、公共施設を民間の儲けの場にし、住民福祉の機関としての役割を変質させています。
 来年度予算には、東急が中心の桜丘口地区第一種市街地再開発事業など、渋谷駅周辺再開発に総額37億円を計上しています。また、スタートアップ支援事業は、参加企業のために100人規模の会議室の賃借料や職員確保などを追加し、総額1億9600万円に、さらに、区の職員まで派遣して、東急不動産など14社の参画パートナー企業をもうけさせるための渋谷未来デザインには、2600万円余を予算化しています。多くの中小業者がコロナ禍で苦しんでいるなかで、大企業や一部の企業だけを支援する事業に道理はありません。
 渋谷駅周辺再開発事業やスタートアップ支援事業、渋谷未来デザインへの税金投入や職員派遣はやめるべきです。区長に所見を伺います。

5.保育について

(1)認可保育園の待機児解消について

 昨年4月に認可保育園を希望して入れなかった子どもは402人でした。2022年4月の入園募集では、1次募集で認可保育園の募集数を上回っています。現在の新年度の認可保育園の申し込み状況について、募集数と申込数を歳児ごとに伺います。
 保護者の願いは、認可基準を満たし、質の確保された保育園です。子どもの権利条約は、国や区に、子どもの最善の利益を考慮するよう求めています。
 区長は、昨年から「待機児ゼロ」と言っていますが、どこでも入れるところがあれば良いという認識ですか、伺います。希望するすべての子どもが入れるよう認可保育園を増設して待機児を解消すべきです。所見を伺います。

(2)保育の質の確保について

 保育士の配置基準や面積基準は、保育の質を大きく左右します。ところが、2歳児以上の面積基準は終戦直後の1948年から改善されておらず、6歳児の平均身長は8cmも伸びているのに、一人当たり畳一畳分のままです。また4・5歳児の保育士の配置基準も子ども30人に1人の配置で、ニューヨークやイングランドの8~9人に1人に比べて異常に低い基準です。
 国や都に対して、2歳児以上の面積基準と4・5歳児の保育士配置基準を引き上げるよう求めるとともに、区独自に引き上げるべきです。区長の所見を伺います。

6.教育について

(1)35人学級について

 政府は、国民の運動に押され、小学校は段階的に全学年を35人学級にしますが、新年度は小学3年生までです。コロナ禍で大きなストレスを受けている子どもに寄り添い、次の感染症対策としても、早急に全学年での実施を求める声が上がっています。世界では少人数学級が当たり前で、多くの国が30人以下です。新年度は、小学校5学級、中学校2学級を増やせば、小中全学年で35人学級が実現できます。
 区長は、全小中学校でただちに35人学級を実施し、30人学級に向けて準備を進めるべきです。所見を伺います。 

(2)学校長寿命化計画、区立幼稚園の存続

 学校施設長寿命化計画には問題があります。
 第1に、「学校統廃合」を検討していることです。PISAの学力調査で高い成果をあげているフィンランド共和国は、小学校は1学年約20人、学校規模は140人で、複式学級も積極的に取り入れています。統廃合でなく、小人数学級を拡大し、小規模校の良さを生かして、地域のコミュニティの拠点も守るべきであり、学校統廃合はやめるべきです。
 第2に、「区民施設との複合化、共用化」ですが、すでに複合化を進めた大田区では、①床面積は増え、構造が複雑化して単独での建設よりコストは高くなり、工期も延びた。②施設が大規模化し一人当たりの校庭面積が減った。③地域との交流は、効果が限定的との報告もあります。こうした先行事例を調査・研究し、複合化ありきで進めるべきではありません。
 第3に、整備手法としてPPP/PFIを検討していることです。「効率的な運用」のため、民間活力や民間資金を活用し、学校施設の包括的管理委託や指定管理者制度も検討しています。これでは教育目的よりも民間の利益が優先にされかねず、区民の声が届きにくくなります。公教育の目的に反するPPP/PFIはやめるべきです。
 以上3つの問題について、区長の所見を伺います。個々の学校施設長寿命化については、子どもの意見を尊重しながら、学校、保護者、住民と十分に話し合いをすべきです。所見を伺います。
 新年度の区立幼稚園の入園希望者が10人未満の園があり、区立幼稚園を残してほしいとの声が寄せられています。「渋谷区立幼稚園の在り方検討会」では、3年保育を求める声が出されています。
 区立幼稚園は、3年保育を実施して、存続すべきです。区長の所見を伺います。

7.気候危機打開について

 COP26は、「気温上昇を1・5度に制限する」決意を、参加国の総意として確認しましたが、岸田政権の2030年までのCO2削減目標は42%と国連の目標より低く、石炭火力を9つも新増設し電源の19%を頼るなど、「1・5度以下」に逆行しています。
 政府に対して、CO2削減目標を50%以上に引き上げ、石炭火力ゼロ、原発ゼロ、大規模な省エネ・再生エネ普及を進めるよう求めるべきです。区長に、所見を伺います。
 わが党区議団は、今定例会に「渋谷区地球温暖化防止条例」を提案し、若者たちと人類に対する区の責任を果たそうとしています。
 2030年まで8年しかない中で、区長の環境基本計画の見直しは23年度からの実施であり、かけがえのない1年間を無駄にすることになります。また同計画では、27年までのCO2削減目標は13年度比31%、エネルギー削減量は21%と低すぎます。
 直ちに、2030年までのCO2削減目標を50%に、エネルギー消費削減目標を40%に引き上げ、区民や区内企業への協力を呼びかけるべきです。区長の所見を伺います。
 本区のCO2排出量を30年までに半減するには8年間で81万3千tの削減が必要です。
 分野別で最も排出量が多いのが産業部門で全体の57%、家庭部門は21%です。分野ごとの毎年の削減目標と排出量、対策を明確にし、公表すべきです。区長の所見を伺います。
 区は、公共部門について責任を負っています。世田谷区では、本庁舎、出張所、まちづくりセンターなどで使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えています。
 渋谷区でも、区有施設の省エネ目標を明確にし、使用電力を100%再生可能エネルギーに転換すべきです。また、区内大規模事業者とは、省エネと再エネへの切り替えについての協定を締結すべきです。大規模再開発は、それ自体が大量のCO2を排出し資源を浪費することから、根本的に見直すべきです。それぞれ区長の所見を伺います。
 多くの自治体は、22年度予算で地球温暖化対策を強化している中で、未だに太陽光など再エネや住宅省エネへの助成も区民や事業者の相談窓口もないのは23区では渋谷区だけです。
 家庭部門についても、太陽光発電設備等への助成など、省エネの推進と再エネへの切り替えについて助成を実施すべきです。またCO2削減、省エネ・再エネへの切り替えなどについて制度の紹介や支援を行う総合相談窓口を設置すべきです。区長の所見を伺います。

以上

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