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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

トマ孝二議員は、3月24日の区議会予算特別委員会で、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長提案の令和4年度渋谷区一般会計予算、同国民健康保険事業会計予算、同介護保険事業会計予算、同後期高齢者医療事業会計予算に反対し、日本共産党渋谷区議団が提案した修正案に賛成する討論を行いました。

 トマ孝二議員は、3月24日の区議会予算特別委員会で、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長提案の令和4年度渋谷区一般会計予算、同国民健康保険事業会計予算、同介護保険事業会計予算、同後期高齢者医療事業会計予算に反対し、日本共産党渋谷区議団が提案した修正案に賛成する討論を行いました。


●2022年度一般会計予算反対討論・予算特別委員会

苫 孝二

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、議案第15号令和4年度一般会計予算及び議案第16号令和4年度国民健康保険事業会計予算について、それぞれ日本共産党渋谷区議団が提出した修正案に賛成し、原案に反対の、また議案第17号令和4年度渋谷区介護保険事業会計予算及び議案第18号令和4年度渋谷区後期高齢者医療事業会計予算に反対の討論を行います。

 依然として新型コロナウイルスパンデミックが続いており、第6波では、感染者数も死者数も第5波を大きく上回り、区民のいのちとくらしに重大な影響を与えています。
 いま、渋谷区に求められているのは、区民のいのちと健康、生活と営業を最優先にして、コロナ対策の抜本的強化をはじめ、福祉・教育施策を充実させることです。
 しかし、長谷部区長の提出した新年度予算案は、コロナ対策は極めて不十分で、区民の生活や営業を直接支援する区独自の施策はありません。住民の声を無視して渋谷図書館を廃止しようとしていることは認められません。
 その一方で、渋谷駅周辺再開発事業など大企業を優遇し、河津の保養所など不要不急の事業を継続していることは許されるものではありません。
 以下、長谷部区政の新年度予算の問題点を各部ごとに指摘します。

[経営企画部]
 官民連携事業として一般社団法人渋谷未来デザインに、事務局職員3人分の共済費298万円を含む1406万円1千円の予算が計上されています。
 渋谷未来デザインは、出資企業に新たな収益事業を提供するために、区が官民共同で設立したもので、区民の公共財産を活用する団体で、2022年度は、ソーシャルイノベーションウイークにむけて、まちづくりや文化・エンタメなどで新たな企画をつくるために1100万円の委託料です。
 わが党は、区民の税金や職員を民間企業の利益ために差し出し、また各事業についての詳細や予決算などは、議会にも報告されないことも重大な問題です。自治体本来の役割を逸脱しており断じて認められません。
 スマートシティ推進事業には、渋谷区の様々な情報を官民で利活用するためのシティダッシュボードを整備するためなどに1億1725万7千円が計上されました。今年度は、交通調査、コミュニティバス、放置自転車などの情報を活用しています。
 政府のすすめるスマートシティは、財界・大企業が儲けの場を拡大するためのソサエティ5.0戦略にもとづいて、個人情報を官民で利活用するもので、プライバシー権の侵害や監視社会に道を開くもので中止すべきです。

[総務部]
 庁舎管理について、庁舎の消費電力の内、主たる契約者の㈱エネツトの再生可能エネルギー比率はわずか2%にとどまり、他の契約者分でも14%程度です。気候危機打開の先頭に立つべき区庁舎の再エネ比率は、早急に100%にすべきです。また生理用品についても庁舎をはじめ、公共施設や学校の女性トイレに配備すべきです。
 男女平等・多様性社会推進では、渋谷区男女平等・多様性推進行動計画でも、令和7年までの目標は、女性幹部比率30%、技術職員40%、審議会女性比率33.3%といずれも低く、抜本的に引き上げるべきです。
 職員人件費については、会計年度任用職員を、総務部一括にしたことは、各部課の必要性に応じた会計年度任用職員の採用を困難にしかねません。
 昨年から保健師として採用している会計年度任用職員は2名ですが、1名しか定数を拡大していません。コロナ第6波で保健師は、連日11時迄残業せざるを得ず、区民から陽性になっても保健所と連絡が取れないとの声が上がっています。保健師は抜本的に増員すべきです。
 清掃職員は、予算人員が8人減っていますが、再任用で4人しか確保されておらず、新規採用の募集もしていません。公衆衛生と区民のくらしを支える職員を減らすことは許されません。
 土木事務所は、定数36のうち、実際には27人しか配置されていません。退職不補充が長期にわたり、20年間も新規採用しないため、職員の最低年齢は40代です。このままでは事業の継続性が確保できなくなります。ただちに新規採用すべきです。

[危機管理対策部]
 避難所・備蓄品等整備費につては、避難所自体の3密を避けるために分散避難、在宅避難対策などを進めるとともに、災害備蓄は、帰宅困難者用や在宅避難者用として増やすべきです。
 帰宅困難者対策として、シブヤ・アロープロジェクトに1963万円を、実行委員会丸投げで支出します。内訳は、3か所の作品制作などです。区民からは、「帰宅困難者が、避難場所を示しているとはわからない」との声が寄せられています。目的も役割も明確でないこの事業は、税金のムダ遣いであり、やめるべきです。

[区民部]
 河津さくらの里しぶや運営費に1億2073万3千円、施設維持管理費に157万8千円が計上されています。今年度の宿泊利用者はコロナ禍の影響で5カ月間の臨時休館があり、1月までの宿泊者は2869人にすぎません。新年度には、駐車場に大型バスが出入りできるよう隣地の土地購入を検討するための鑑定評価の経費71万6千円を計上していることは無駄遣いを拡大するもので認められません。この施設は廃止すべきです。
 商工振興費は全体で4億5381万円増となっていますが、コロナ禍で苦しむ中小企業への支援は、事業資金融資の増額分1億2700万円余だけで、区の直接的経済支援はありません。一方で、国の内外からスタートアップ企業を呼び込み支援するグローバル拠点都市推進事業を9千万円も増額して、ビザのワンストップサービスに300万円、新たな拠点オフィスに3300万円などの支援をしようとしていることは認められません。
 飲食店をはじめ、区内の中小事業者がコロナ禍で倒産や休廃業に追い込まれるなど、かつてない苦しみに見舞われているときに、事業者への直接支援とはほど遠い、地域通貨の発行やスタートアップ企業支援を優先することは重大です。

[都市整備部]
 渋谷駅周辺再開発については、市街地再開発事業として、渋谷駅桜丘口地区への補助金は、これまでに16億9960万円が投入されてきましたが、新年度も27億8600万円が計上されています。この事業の補助金は総額80億円が予定され、令和5年度には28億7840万円の補助金と6千万円の公共施設管理費負担金が見込まれています。再開発の途上で住民や小規模店舗の多くは追い出され、今では東急中心の再開発事業となっています。
 また、渋谷駅中心五街区整備事業として、新年度も引き続き、駅街区北側自由通路に5億6千万円、南口北側自由通路に1億5200万円もの税金が投入されます。
 さらに、東京都の旧児童会館跡地に加え、区の美竹第二庁舎と区立美竹公園を一体の敷地として、民間に定期借地させ、営利事業を展開させるステップアップ事業にも286万円の事業共催負担金が計上され、大企業の利益のために区民の大切な財産である公有地を差し出すことは認められません。

[土木部]
 公園PFIについては、北谷公園を皮切りに、恵比寿南一公園の整備にこの手法を取り入れ、公園の営利的利用を拡大しています。収益施設中心の運営のため、いつでも誰もが気軽に利用でき、憩える公園の機能が損なわれています。新年度の予算では、玉川上水旧水路緑道公園へのパークPFIの検討を継続していく方向です。区民のための公園を営利のために差し出す手法を拡大することはやめるべきです。
 今年度から3年間の事業としてスタートした5G通信インフラ整備事業は、今年度の実績は渋谷駅ハチ公広場の1件しかないのに、新年度も15基3750万円の予算が計上されています。こうした通信インフラ整備は通信事業者が自らの資金で行うべきであり、公費を投入することは認められません。

[環境政策部]
 環境基本計画の策定経費として、1179万円余が計上されています。区は環境基本計画2018の中間見直しにあたって、温室効果ガスの削減目標を国や都の目標に引きあげるとしていますが、極めて不十分です。世界が掲げる2030年までの温室効果ガス排出量50%以上削減の目標期限まで8年しかありません。気候危機打開の責任を果たすために、渋谷区として、2050年ゼロカーボン宣言を直ちに行うとともに、分野別の削減目標と排出量、対策を明確にし、公表すべきです。また、区自身の使用電力の100%再生エネルギー化、区内の大規模事業者との協定締結、家庭向けの太陽光発電助成や住宅省エネへの助成などの施策を直ちに実施すべきです。

[子ども家庭部]
 保育園整備について保護者は、ゼロ歳から5歳まで安定的に育てられる認可保育園の入園を希望しています。今年4月からの入園児は1240人の定数に対し、入園希望者は1374人で、134人がオーバーしています。そのうちゼロ歳児53人、1歳児54人、2歳児18人が入園できない事態です。
 令和5年度に36人が入園できる認可園が開設される予定ですが、それでも待機児解消にはなりません。保護者の願いに添って、認可保育園を整備すべきです。
 私立保育園で働く保育士の賃金は、全産業平均より月8万円も低く、保育士不足と過重労働、保育の質の低下の原因となっています。政府は、月9000円の引上げを打ち出していますが、賃金格差の解消には程遠いものです。区として、民間で働く保育士の賃金引き上げのための助成を行うべきです。
 子ども医療費助成については、コロナ禍のもと、医療費無料は高校生まで広げてほしい、という声が大きく広がり、東京都は2023年度の実施を打ち出しました。現在、511の自治体が高校生までの医療費無料を実施しています。1億3千万円の予算があれば実現できます。ただちに踏み出すべきです。

[教育振興部]
 渋谷図書館の運営経費を全額削除しましたが、利用者や地元住民の意見を聞かず廃止条例を提出し、議会で可決もしていないのに予算を削除したことは、議会と住民軽視で認められません。100年の歴史があり、年間5万3700人が利用する図書館を廃止することは許されません。渋谷図書館は存続し、住民や利用者の意見を踏まえて在り方を検討すべきです。
 小中学生のPCR等検査についてです。コロナ感染症がいまなお猛威をふるい、2021年度の3月11日迄に、幼稚園児20人、小学生940人、中学生192人が感染しています。無症状の感染者を早期に発見、保護し、治療するために、PCR等検査を定期的に行うことが求められているのに、新年度予算に盛り込まれていないことは許されません。
 学校給食は、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣が身につくよう教育の一環として実施されているものです。当区の学校給食費は中学生で6万5234円となっています。
 憲法第26条の義務教育無償の原則にもとづき、また子育て支援として、小中学校の給食無償を実施している自治体は80、一部実施は138となっています。本区で学校給食の無償は約4億14万円の予算があればできます。ただちに実施すべきです。

[福祉部]
 新年度、新型コロナウイルス感染症対策事業の介護施設利用者等PCR検査事業費を前年度より831万円、障がい者施設利用者等PCR検査事業費で1212万円、合わせて2043万円が減額されたことは認められません。検査方法を変更したため医師会委託料の削減と説明されましたが、今年に入ってから2月のはじめまででも区内の介護施設3か所で集団感染が発生し利用者31人と職員21人が感染、また、障がい者施設2か所でも利用者6人、職員5人の11人が感染しています。今後も新たな変異株の発生に備え介護や障がい者施設については、入所施設だけでなく通所施設もPCR検査等の対象にするとともに、無症状の人たちがいつでもだれでも無料で検査できるようにすべきです。
 特別養護老人ホームの待機者は、430人と深刻です。引き続き代々木2・3丁目の国有地や、幡谷2丁目や本町1丁目の都有地の活用を進めるとともに、ケアコミュニティ・原宿の丘の再整備も含めて増設を進めるべきです。
 また、けやきの苑・西原は、入所者定員は120人で入所者の高齢化に伴い重度者が増加しています。コロナ禍でボランティアの応援もなく職員は限界状態です。渋谷区独自のコロナ支援助成を実施し入所者のケアの充実を図るべきです。指定管理料を年々削減することは認められません。指定管理はやめるべきです。
 介護従事者の処遇改善について、国は2月から介護職員の賃金を9000円引き上げるための介護職員処遇改善補助金を打ち出しましたが、全産業平均より月8万円も低い賃金格差の解消には極めて不十分です。さらに、補助金を受けるための条件として2月から賃金を引き上げた事業所だけを対象にしています。実際に補助金が交付されるのは6月以降のため、財源の乏しい小規模事業所は引き上げができません。渋谷区独自に区内事業所の実態調査を実施し処遇改善を実施すべきです。
 区型介護サービスは、国が切り捨てた訪問や通所介護の事業を区が独自に上乗せ・横出しして実施している事業で、新年度は、492万円減額し8025万円にしたことは認められません。
 生活保護の扶養義務の照会については改善されつつありますが、生活保護基準以下の収入で生活保護を利用している人は2割程度で8割の人は利用していません。こうした人たちを救済するためには生活保護の制度が国民の権利であることを周知し、申請をためらうことのないよう区民全体に制度理解を広げるべきです。生活保護のしおりの配布に加え、ポスターを作成し町会掲示板等で周知を図るべきです。また、物価上昇が続く中、2017年・2018年の2年間で廃止した夏・冬の見舞金は、2240万円で復活できます。直ちに実施すべきです。

[健康推進部]
 新型コロナウイルス感染症対策事業予算は、渋谷区PCRセンター費5684万円と、休業協力金で250万円が減額となっています。
 新年度予算でコロナ対策として重要なことは、第6波の感染急増による医療崩壊や大量の自宅療養者を出さないワクチン接種と一体の大規模検査や医療・保健所への支援対策とコロナ危機で傷んだ暮らしと営業への補償と支援を確立することです。
 ワクチンと一体の検査体制は、無症状の人を含め「いつでも、だれでも、無料で」という立場で、大規模・頻回・無料の検査を国、都と協力して実施することでリバウンドが起きないようにすることが必要です。また、ワクチン接種については、メリット・デメリットを含む情報提供や副反応に対する相談窓口の設置など区民の不安解消に努めるべきです。

 日本共産党渋谷区議団は、長谷部区長提出の一般会計予算に対して、92事業の修正案を提出しました。その内容は、小中学校児童生徒などへの定期的なPCR等検査実施や年間所得200万円以下の課税世帯に対する10万円の給付金支給など、区民の切実な要求を実現するものです。同時に、渋谷駅周辺再開発事業など大企業のための税金投入の中止、河津さくらの里しぶやの廃止など不要不急の事業を削減するものです。修正総額は54億5966万2千円で、区長提案の予算の5%です。
 以上、わが党区議団の修正案に賛成し、区長提案の予算案に反対します。

[国民健康保険事業会計]
 つぎに国民健康保険事業会計についてです。
 予算原案で示された新年度の保険料は、医療分の均等割が3,300円、賦課限度額が3万円引き上げられます。40代の年収400万円の夫婦と学齢期の子ども2人の世帯の保険料は、52万6,311円。7,041円の値上げとなり、収入の13%を占め、協会けんぽ加入世帯の2.3倍と格差はますます広がります。
 国保料は被保険者の実態をふまえて区市町村が決定することになっており、コロナ禍の住民の生活を考慮して、都内では立川市、稲城市が新年度の保険料を据え置くことを決定しています。
 新年度から、未就学児の子どもの均等割保険料が半額に軽減されることは、保険料の軽減を求める世論と運動にこたえるものとして評価するものですが、そもそも、他の医療保険制度にはない人頭割の保険料であるだけに、さらに対象年齢を18歳までに引き上げ、保険料も無料にすべきです。
 国保の被保険者には自営業者や非正規雇用の労働者など、低所得の方が多く、暮らしはコロナ禍でいよいよ厳しさを増しているのに、無慈悲に保険料を引き上げることは、社会保障としての国民健康保険制度の否定につながるもので反対です。
 わが区議団が提案した修正案は、国保料を協会けんぽ並みに引き下げる第一歩として、子どもの均等割を18歳以下の全員を無料にするとともに、低所得者の均等割軽減率を1割上乗せするもので、2億4,040万4,000円の財源で実現できます。コロナ禍の下で所得が少なくても安心して区民が医療にかかれるようにするための修正案であり、直ちに実施すべきもので賛成です。

[介護保険事業会計]
 つぎに介護保険事業会計についてです。
 政府は、昨年8月から特別養護老人ホーム他入所3施設とショートスティの低所得の利用者に対する食費や入居費などの負担軽減制度(補足給付)の資産と収入要件を改悪し負担増を強行しました。年金収入等80万円以下で資産が650万円から1000万円の単身者の場合、特養のユニット型で月6万9000円、多床室でも月4万8000円もの大幅値上げす。さらに食費も特養などの入所者で年収120万~155万円以下は、現行月約2万円が4万2000円に、ショートスティは、2週間で最大9100円の値上げとなりました。
 終の棲家である特別養護老人ホームなどの入居者が、入居費などを負担できずに退去したり、入所を断念せざるを得なくなることは、高齢者の尊厳を踏みにじることで許されません。国に対して、介護施設の低所得入所者の入居費等やショートスティの食費の負担増の撤回を求めるとともに、区として、負担増分についての助成をすべきです。
 以上、介護保険事業会計予算案に反対します。

[後期高齢者医療保険事業会計]
 つぎに後期高齢者医療事業会計についてです。
 令和4・5年度の保険料率は、均等割が2300円、所得割が0・77%引き上げられ、渋谷区では、平均で2万4667円増の18万9739円となる見込みです。
 また、今年10月から、課税所得が28万円から145万円の高齢者の窓口負担が2倍に引き上げられ、区内で約4400人の高齢者が負担増になります。高齢者からは「生活と健康をてんびんにかける選択が迫られる」と怒りの声が上がっています。
 後期高齢者医療制度は、制度発足の直前に厚労省の幹部が「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにした」と語っているように、高齢者に際限のない負担増を押し付ける社会保障に値しない制度です。
 国民の医療を守る国と自治体の役割を発揮するため、この制度を廃止して元の制度に戻し、国や都の負担を増やして、高齢者が安心してかかれる医療制度にすべきであり、予算案に反対です。

 以上、令和4年度渋谷区一般会計および3特別会計に対する討論とします。

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