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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

日本共産党区議団は、3月22日の区議会本会議で、牛尾まさみ議員が、「渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に、いがらし千代子議員が、渋谷区令和5年度渋谷区一般会計予算、同国民健康保険事業会計予算、同後期高齢者医療事業会計に、それぞれ反対の討論をおこないました。また、トマ孝二議員が、「小中学校の給食費の無償化を求める請願」に、田中まさや議員が、「保育園の待機児童解消と保育士の処遇改善を求める請願」に、それぞれ賛成する討論をおこないました。

議案第6号 渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例 反対討論

2023.3.22 牛尾

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました議案第6号 渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
 提案されている条例改正案は、今年4月からの国民健康保険料率の改定とそれに伴う未就学児の保険料の改定、出産育児一時金の42万円から50万円への引上げなどです。
 出産育児一時金の増額については、反対するものではありませんが、財源を後期高齢者に負担させることはやめ、公費を充てるべきです。
 保険料率については、医療分と後期高齢者支援金分の合計で、所得割を9・44%から9・59%に0・15%、均等割を5万5300円から6万100円に4800円、それぞれ引き上げるものです。また、支援金分の賦課限度額が2万円上がって22万円となります。
 40歳から64歳までの介護保険2号被保険者にかかる介護分の保険料率は、所得割が2・23%から1・99%に0・24%、均等割が1万6600円から1万6200円に400円、それぞれ値下げとなります。しかし、医療分、支援金分との合計では、所得割が0・09%下がるものの、均等割が4400円上がるため、低所得者ほど重い値上げとなります。
 このほか、均等割軽減の対象となる世帯所得が5割軽減で一人につき5千円、2割軽減で一人につき1万5千円引き上げ、拡大されます。

 反対理由の第一は、今でさえ高い保険料をさらに引き上げ、国保加入者のくらしをますます苦しめるからです。
 新年度の保険料は、あらたに均等割軽減の割合が引きあがる人と、介護分の引き下げが医療・支援金分の値上げを上回る世帯以外は、すべて値上げとなります。渋谷区では、一人当たりの保険料は、13万9091円から14万8115円に9024円、6・49%の大幅な引き上げで国保財政の都道府県単位化以降、最大の値上げとなります。
 40代の夫婦と学齢期の子ども2人の世帯では54万2614円で、1万6303円の値上げとなり、協会けんぽ加入世帯の2・3倍もの負担です。保険料の滞納率は19・5%にのぼり、短期保険証は245世帯、資格証は10世帯に発行されて医療を受ける権利が制限されています。
 40年ぶりの物価高騰でくらしの困難が増している時に、高い保険料をさらに引き上げることは、医療にますますかかりにくくし、いのちと健康をおびやかすもので認められません。

 第2に、今回の保険料改定は、国の制度改定で2018年から開始された財政運営の都道府県単位化のもとで東京都の標準保険料率にむかう改定であり、今後、国の求めに応じて公費負担を減らし、保険料を連続して値上げするものだからです。
 2023年度に渋谷区が東京都に支払う納付金の総額は、98億7645万1829円ですが、これは本来納めるべき納付金から国と都が行っている激変緩和措置による軽減分を除いた金額です。また、23区は今年度行っている納付金の2・7%を公費負担とする激変緩和策に加え、コロナの影響による保険料の値上げ分などを一般会計から繰り入れて一人当たり約1万円の保険料軽減を行っていますが、これらの公費負担を今後減額する方針は変えておらず、毎年の保険料値上げを進めることは認められません。

 第3に、国保料を決める権限は自治体にあり、高すぎる国保料を引き下げることは区の判断で可能であるからです。
 都内では、立川市、小平市、府中市、昭島市などが新年度の保険料を据え置くことを決定しています。
 名古屋市では、法定外繰入による減免制度を設けて、被保険者全員の均等割を3%減免し、新年度からは5%に拡充します。また、所得135万円以下の障がい者、ひとり親と所得45万円以下の高齢者の均等割を3割減免するほか、所得が激減した世帯にも保険料を減免しています。さらに扶養家族や障がい者、ひとり親がいる世帯には保険料算定の基礎となる所得を控除する制度を設けて、保険料が軽減されるよう配慮しています。その結果、22年度の保険料は、給与収入400万円の30代夫婦と小学生2人の4人家族で、35万2200円となり、23区よりも8万8900円も安くしています。
 千代田区では、23区の統一保険料から離脱し、区の判断で保険料の引き上げ幅を圧縮しています。
 保険料の決定は区市町村が決定する権限を持っており、国も憲法が定める地方自治の原則から、自治体が福祉的施策として行う一般会計からの繰り入れを禁止することはできないということを認めていまです。23区の統一保険料も、区長会の申し合わせにすぎません。

 国保の被保険者には自営業者や非正規雇用の労働者など低所得の方が多く、保険料の引き上げは、医療を受ける権利を制限することに直結し、皆保険制度を行政の側から危うくするものです。23区の区長会で合意した統一保険料をそのまま区民に押し付け、区民の生活実態からみればあまりに過酷な19年連続の保険料引き上げは、社会保障としての国民健康保険制度の否定につながるものであり、認めることはできません。
 以上、渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対する討論とします。


2023年度一般会計・国保会計・後期高齢者医療会計予算本会議反対討論

2023.3.22 五十嵐

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、只今議題となりました議案第17号 令和5年度渋谷区一般会計予算、議案第18号 令和5年度渋谷区国民健康保険事業会計予算、議案第20号渋谷区後期高齢者医療事業会計予算に反対の立場から討論を行います。

 コロナ不況の拡大と40年ぶりといわれる物価高騰に、区民の暮らしと区内の商店・中小業者の営業はかつてない厳しい状況となっています。小中学校に2人の子どもを通わせている保護者からは、食料品の値段がどんどん上がり毎月の食費が約8万円、水光熱費を入れると10万円にもなると怒りの声が寄せられました。また、高齢者からは、年金が減らされているのに、電気もガスも食品も値上げになって何もかも節約の毎日でこの先が心配ですと悲痛な声が寄せられています。
 こうした物価高騰に苦しむ区民の暮らしと区内業者の営業を守り、地方自治体の役割である福祉・教育の増進を優先することが新年度予算に求められています。
 ところが区長提案の新年度予算案は、区民の物価高騰対策やくらし、福祉、教育の切実な願いに応えず、大企業が進める渋谷駅周辺再開発等に多額の税金を投入する予算案で認められません。
 以下、5点にわたって反対理由を述べます。

 第1に物価高騰から区民のくらし・中小業者の営業を守る対策が不十分で認められないからです。
 区長が、物価高騰対策として打ち出した、地域通貨ハチペイは、3月6日現在で区民の2割以下にしか使われておらず、利用できる店舗も区商連加盟の半分程度で事業者のごく一部にすぎません。不況下で失業した区民やわずかな年金の高齢者、コロナ前の売り上げに戻っていない零細事業者など本当に困っている区民と事業者に行き届かない制度です。
 グローバル拠点都市推進事業は、委託料が約1億6400万円、スタートアップ株式会社への追加出資が1億円、拠点施設使用料が約3500万円などですが、委託料には海外の優れたスタートアップ企業を呼びよせるためのPR費等で、区内の中小企業支援ではありません。
 商店街への物価高騰対策としては、街路灯の電気代の値上げ分として591万円の補助金の増額だけです。原材料の高騰やコロナ禍で苦しんでいる区内中小事業者への直接支援とはほど遠い、地域通貨の発行や、スタートアップ企業支援を優先することは認められません。
 日本共産党渋谷区議団は、学校給食の無償化や、国の臨時給付金の対象外となった均等割りのみ課税世帯への5蔓延の給付や国保料・介護利用料の負担軽減、小規模事業者への物価急騰緊急支援、若者への家賃補助制度の復活などを提案しました。
  
 第2、地方自治体の本来の役割である福祉の増進に背を向け、負担増の押し付けは認められないからです。
 まず、区民の給料も高齢者の年金受給額も上がらないのに、新年度には、国民健康保険料が、6.5%も値上げするのに加え、家庭から出される粗大ごみの収集費用の値上げや、放置自転車の引き取り料を2倍に値上げするなど区民負担を増大させることは、断じて認められません。

 物価高騰のもとで、生活保護費は上がっていません。国に保護基準を物価高騰に合わせて引き上げるよう求め、住宅扶助は地域実態に合わせて特別基準を申請すべきです。法外援護で実施している入浴券の枚数を増加するとともに、夏、冬の見舞金の復活を直ちに実施することを強く求めます。
・保育、介護などエッセンシャルワーカーの賃金格差は月額5万円になっており国に賃金引上げを求めるだけではなく、区独自の処遇改善を早急に実施すべきです。
 また、区立保育園の用務を18人から14人に減らし、民間委託に変えることはやめるべきです。さらに、保育補助の会計年度任用職員が、最低賃金以下で任用していることは問題であり、引き上げのための対策を取るべきです。
 新型コロナウィルス感染症対策として、感染防止の最前線で頑張る保健師など保健所の職員を正規で増員すべきです。
 介護施設・障がい者施設の利用者と従事者等のPCR検査費用が削減されています。重症化リスクの高い介護施設と障がい者施設の入所者と職員の感染防止対策は、感染者が出てから検査するのではなく、定期的に検査し、無症状の感染者も含め早期発見できるよう各施設にPCR検査キットを配備すべきです。集団生活をしている学校や保育園、幼稚園についても感染拡大をふせぐ観点からPCR検査キットを一定数備蓄すべきです。

 第3に、学校給食の無償化、認可保育園の増設、地球温暖化対策などの区民の願いに背を向けていることは認められないからです。
 学校給食費の無償化について、憲法26条の義務教育無償の原則は、教育の機会均等を社会で実現することを求めており、子育て支援の立場からも全国で260の自治体、23区でも葛飾区や世田谷区など8区が新年度から実施します。当区での実施を求める署名が2522人から提出されました。
 区長は、23区でも8区が実施するという社会情勢の変化の中で、これまでの考えをかえざるを得なくなっています。しかしいまだに国や東京都がやるべきとして自ら実施の判断をしないことは、許されません。当区でも早急に実施すべきです。

 新年度認可保育園の入園申込者は、1歳児105人、2歳児3人、3歳児24人、4歳児11人、5歳児7人の150人が募集数をオーバーしています。保護者の多くが認可基準を満たし、5歳児まで継続して保育ができる認可保育園を希望しています。認可保育園の増設の予算はなく認可保育園の待機児ゼロに背を向けていることは認められません。
 さらに、多くの区民や保育関係者から、安全で健やかな保育環境に改善するために、保育士の配置基準や面積基準を引き上げることが求められているにもかかわらず、検討さえしないことは許されません。

 特別養護老人ホームの待機者は、344人でそのうち要介護4・5の人が183人、54%と深刻です。住み慣れた地域の特養ホームなどで安心して介護を受けられるよう、代々木の国有地や、幡ヶ谷社会教育館に隣接する都有地などに特養ホームや認知症グループホームなどの増設を実現すべきです

 温暖化対策について、3/20国連の「気候変動に対する政府間パネル」は、2011年から20年に地球表面温度が19世紀に比べてすでに1.1度上昇しており、「大規模な損害と損失をもたらしている」と指摘し、気温上昇を抑えるためには、2035年の温室効果ガス排出を19年比で60%削減する必要があると指摘しています。23区では20区が50年ゼロカーボン宣言を行い、30年に温室効果ガスの排出を50%削減するための具体的取組を進めています。しかし、渋谷区はいまだにゼロカーボン宣言もせず削減目標も国基準にあわせたもので、これでは世界の流れに逆行するもので許されません。

 第4に、財界戦略に従い大企業の儲けを最優先するとともに税金の無駄遣いは、認められないからです。

 渋谷駅周辺整備に対し、区は166億円の税金投入を決め、今年度末までに114億6360万円がつぎ込まれる見込みです。この間の再開発で住民や小規模店舗の多くは追い出され、東急など大企業中心の再開発事業となっています。
 新年度は、東急中心の桜丘口地区市街地開発事業・補助18号線の拡幅整備・、東急、JRなどが進めている渋谷駅中心五街区整備事業・駅街区北側自由通路・南口北側自由通路の5事業の総額は、50億4140万円で大企業のための税金投入にほかなりません。
 さらに、旧美竹第二分庁舎と区立美竹公園は旧東京都児童会館跡地と一体の敷地として、ヒューリックと清水建設の再開発用地として提供し、この事業を推進するため、公園を利用していた路上生活者の人権を踏みにじる行為を行ったことは断じて許されません。渋谷駅周辺の再開発事業は事業者の負担で進めるべきであり、多額の税金投入や公有地の提供は認められません。

 シブヤ・アロープロジェクトの予算を倍増していますが、区民からは、「帰宅困難者が一目見て、避難場所を示している標識とはわからない」との声が寄せられています。帰宅困難者対策といえるか疑問のある事業は、税金のムダ遣いであり、やめるべきです。

 河津さくらの里の運営費等に1億3111万円が計上されています。22年度の稼働率は66・6%で、この中には、校外学習の場として小学校2校が利用していますが、宿泊定員は64人のため、3クラス以上の学校は利用できません。このような施設にさらなる税金投入をすることはやめるべきです。
 年間数千人にすぎない保養施設の運営維持に毎年1億数千万円を費やすことは税金の無駄遣いであり、この施設は廃止すべきです。

 第5に、区民の声を聴かずトップダウンと区政の私物化は認められないからです。。
 ケアコミニュティ・原宿の丘跡地複合施設については、「建て替え基本計画」に対するパブリックコメントで「原宿の丘建て替え後も、特養ホームや地域包括支援センターの設置を希望する」「建て替え中のデイサービスなども利用できるようにしてほしい」などの意見が出されていたにもかかわらず、現在の施設がどうなるかや高齢者福祉の充実を明確に示さないで計画を策定し、強行しようとしていることは、高齢者福祉を軽視するもので認められません。
 
 日本財団が費用を負担し、トイレ整備が行われました。有名建築家などのデザイン優先のトイレは、故障が発生したり、女性専用トイレをなくしたところもあり、女性からは安心して使えない、入口がわからないなど、批判が相次いでいます。
 公共トイレは、誰でも安全で清潔に利用しやすいものにするため、区が責任をもって計画的に改善、更新すべきです。

 ふれあい植物センターは、これまで植物センターを支えてきた住民やボランティアの意見も聞かず、リニューアルを進め、一方的に農と食の地域拠点として野菜の栽培、収穫、販売という機能が持ち込まれました。しかも、新たに指定管理者にしようとしている、NPO法人アーバンファーマーズクラブは、常勤の従事者が1人しかおらず、事業実績も少ない団体です。区民から好評だったカブトムシやホタルの夕べなども実施しません。区民のための植物センターの性格が変更されかねず、指定管理はやめるべきです。

●渋谷図書館
 区長は、年間5万3700人の利用者がいた渋谷図書館を、昨年3月末に一方的に廃止したうえ、所管を教育委員会から生涯活躍推進部に変更し、区民の教育・文化の向上を図る役割を大きく後退させるもので許されません。
 渋谷区で100年以上前に初めて設置された渋谷図書館は、区民に親しまれ廃止後も、直ちにリニューアルして、早く利用できるようにしてほしいと、2743人もの署名が区長に寄せられています。こうした区民の声に応えるべきです。
●未来の学校プロジェクト
 区長が昨年一方的に発表した小中学校22校の建替え計画の、新年度予算は、松濤、広尾中学校のプレハブ仮設校舎の建設工事費と設計費、代々木中学校の基本計画設計費となっています。
 区内の小中学校を今後20年間で22校を建て替える重大な計画にもかかわらず、少人数学級には背を向け、進め方も、学校をはじめ、児童・生徒や保護者、地域住民の意見をくまなく聞くことなく推進していく手法は、認められません。
 また、施設一体型小中一貫校についても本町学園の検証も真剣に実施せず、学校統廃合先にありきで、子どもの教育最優先を踏みにじるやり方は認められません。学校関係者と保護者、子どもたちの声は、少人数学級と小規模校の良さを大切にすることです。トップダウンによる学校統廃合と施設一体型小中一貫校計画は撤回すべきです。
 また、学校と公共施設の複合化や民間資金の活用は、教育環境の充実が後回しになることから中止すべきです。
 以上一般会計予算の反対討論とします。

 議案第18条 令和5年度渋谷区国民健康保険事業会計予算について反対の討論をします。
 4月からの保険料値上げは、19年連続となり、均等割を4800円、所得割を0・15%も引き上げ、都道府県単位化以降最大の値上げです。介護分は引き下げられますが、40代の夫婦と学齢期の子ども2人の世帯では54万2614円で、1万6303円の値上げとなり、協会けんぽ加入世帯の2・3倍の負担です。
 国保の被保険者には自営業者や非正規雇用の労働者など、低所得の方が多いにもかかわらず、均等割の大幅値上げにより、低所得者でも情け容赦なく重い値上げとなることは、皆保険制度を行政の側から危うくするもので認められません。当区の保険料の滞納率は19・5%にのぼり、短期保険証は245世帯、資格証は10世帯に発行されていますが、医療機関に一旦は医療費の全額を払うことになり、医療を受ける権利が制限されています。保険料の値上げはやめ、誰もが無理なく払える保険料にすべきです。
 国保料は基礎自治体が被保険者の実態をふまえて決定することができる権利を生かして、立川市、小平市、府中市、昭島市など保険料を据え置くことを決定しています。23区の区長会で合意した統一保険料をそのまま区民に押し付け、区民の生活実態からみればあまりに過酷な19年連続の保険料引き上げは、社会保障としての国民健康保険制度の否定につながるものであり、認めることはできません。

 議案第20号令和5年渋谷区後期高齢者医療事業会計について反対討論をします。
 新年度の予算は、昨年の10月から岸田政権が強行した年収200万円以上の高齢者の窓口負担の2割への引き上げを通年化する予算となっています。
 区内では、4706人の高齢者が2割へと負担額が倍増しました。年収が200万円以上あるとはいえ、実質年金が減り続ける中で、医療にかかる負担を2倍にすることは、生活不安を広げ、高齢者の医療控えをますます深刻にするもので認められません。
 そもそも、医療にかかる機会の多い75歳以上の高齢者だけで構成する医療保険制度を作れば、高い保険料と窓口負担にならざるを得ないのは明らかです。高齢者いじめのこの保険制度は廃止して、元の老人医療制度に戻すことをはじめ、国の責任ですべての高齢者が安心して医療にかかれる医療制度を構築すべきです。


小中学校の給食費の無償化を求める請願

 ただいま議題となりました受理番号第2号「小中学校の給食費の無償化を求める請願」について、私は日本共産党渋谷区議団を代表して賛成の討論をおこないます。
 私がこの請願について賛成する第1の理由は、本請願が採択され、当区でも学校給食の無償が実現すれば、憲法26条で定められた義務教育の無償が大きく前進するからです。
 1951年当時、わが党の岩間正男参議院議員が教科書の無償化にかかわる国会の質疑の中で、文部大臣は、授業料の他に教科書、学用品、学校給食費、できれば交通費も無償にすべきと答弁していました。
 したがって、学校給食が無償になれば、義務教育の本質である教育の機会均等がはかられ、どの子も安心して食育を受けられることになります。
 実際、長引くコロナ禍や物価高騰が子育て世帯を直撃し、給食費が払えない世帯が増えています。令和3年度で、小学校で0.11%の世帯が給食費を滞納しています。
 まさに給食費無償化は、どの子にも安心して豊かな給食時間を保障することになります。

 第2の理由は、学校給食の無償は、住民の切実な要求であり、子育て世帯を支援する施策として欠かせないからです。
 2,522人から提出された本請願は、当区の給食費が、小学校高学年で5万4,320円、中学校が6万4,220円と重い負担となっており、この負担がなくなれば、家でも子どもたちに十分な食事を作ってあげられる、と訴えています。
 このような声を受けて私たち区議団は、12年前の2012年から学校給食を無償にするための予算修正案を提出し、今議会には予算修正案と条例制定案を提出しました。
 また、私はこの間、代表質問や一般質問で、学校給食無償の保護者の要求を取り上げてきました。4人の子どもを育てているある母親は「給食費が無料になれば、その分おいしい食事を作ってやることもでき、子どもの好きな習い事に行かせてあげられる」とその実現を強く望んでいることなどを紹介してきました。東京都の調査でも、義務教育の中で最も負担が重いのが給食費であり、無償化は子育て世帯への、なによりも支援になります。

 第3の賛成理由は、学校給食無償の世論は、高まり大きな流れになっているからです。
 いま、全国で260の自治体で学校給食無償が実施され、23区では8区がこの4月から無償に踏み出します。また、5区が実施の方向で検討中です。
 先の2月23日の本会議で長谷部区長はわが党の田中幹事長の質問に「無償化は国や都のレベルで格差なく行うべき施策であり、公立、私立に差がないことが基本と考えますが、社会経済情勢の変化を見極めつつ、必要な判断を行ってまいります」と、これまでの答弁を変えました。まさに、住民の世論と運動が、自治体を変えているのです。国待ちにせず、直ちに実施すべきです。
 第4の理由は、当区には学校給食を無償にする財源は十分にあることです。
 今議会に私たち区議団は、学校給食を全小中学校に実施する予算を試算し、約7億円あれば実施できることを示しました。今議会には、90億円を財政調整基金に積み立てる補正予算を提出し、また、現在、財政調整基金と都市整備基金を合わせると1,282億円の積立金があります。これは区民の血税であり、区民の切実な要求のために使うべきものです。
 第5の理由は、区議会は住民代表で構成され、住民の要求に応える責務を持っている機関だからです。
 本請願は「学校給食の無償化」は、子どもの健やかな成長を保障する上でも、また憲法26条の「義務教育は無償」の原則からも意義があると述べ、さらに、4月から実施する葛飾区長が「子育てについて社会全体でできることはやって行く」との発言を紹介するなど誰でも納得できる内容となっています。
 こうした切実で道理ある住民の請願を真摯にうけとめ、採択し、その実現を求めるのが区議会の役割です。
 その事を強く指摘し、私の賛成討論といたします。


●認可保育園の待機児童解消と保育士の処遇改善を求める請願

 ただいま議題となりました請願受理番号第3号 認可保育園の待機児童解消と保育士の処遇改善を求める請願につきまして、日本共産党区議団として賛成の討論を行います。

 わが党区議団が、本請願に賛成する第1の理由は、認可保育園の待機児の解消は保護者の願いであり、児童福祉法に基づく自治体の責務だからです。
 昨年4月時点の認可保育園を希望しても入れなかった子どもが359人で、「保育園を探したが空いておらず働くことができないので困っている」「夫が非正規になったが、ポイントが低いと認可保育園に入れないのではと不安」などの保護者の切実な声を紹介しています。
 実際、今年4月の入園申し込みでは、1歳児105人、2歳児3人、3歳児24人、4歳児11人、5歳児7人の合計150人が募集を上回っており、深刻な事態は変わっていません。
 区長は「待機児ゼロ」といいますが、保護者が求める基準を満たした保育園に入れているわけではありません。東京都のニーズ調査では、利用したい教育・保育サービスの第1位は「公立の認可保育園」となっており、自治体が直接責任を持ち、処遇も安定して経験のある保育士も多い区立保育園が、保護者の願いであることが示されています。児童福祉法では、保育が必要な子どもを保育所で保育することは自治体の責任であり、区立を中心に認可保育園を整備し、早急に待機児を解消することは、区の責任です。

 第2の理由は、保育の質を確保し、安全・安心の保育を実現するうえで、保育施設で働く職員の賃金の引き上げと保育の基準の引上げが重要であり、国と自治体の責任だからです。
 保育士の賃金月額は、全産業平均に比べて5万円も低く、「給料が安いうえに仕事量が多く、休みもとれない」などの声が上がっているように、保育士不足の原因となっており、ベテラン保育士が育たないなど、保育の質を確保するうえで大きな障害となっています。保育士や職員の処遇を抜本的に引き上げることは、保育士不足を解消し、質の良い保育を保障するために必要であり、国と自治体の責任です。区としても処遇改善にとりくむべきです。
 また、全国の保育園での死亡・重篤事故の発生件数は、2015年627に対して21年は2347件に増えています。その背景には、保育士配置基準が、3~5歳児で30人に1人と0ECD調査国・地域で最低という実態があります。子どものいのちと安全を守るとともに、発達段階の違いや個性ある子どもたち一人ひとりの乳幼児期の発達を保障することが重要です。国や都とともに区の責任で保育士一人当たりの子どもの数を欧米並みに改善することが求められています。すでに政令市では京都や千葉、北九州、神戸など6市が独自で加配をしており、区として独自に実施すべきです。
 1人当たりの乳児室1.95㎡という日本の面積基準は60年前につくられたままで、カリフォルニア州は3.25㎡、パリでは3.1㎡など世界基準と比べて低い水準です。政令市では、仙台市やさいたま市が5.0㎡、熊本市4.95㎡、千葉、横浜、川崎市など9市が3.3㎡へと改善しています。国や都に対して、面積基準の改善を求めるとともに、区としても独自に引き上げるべきだからです。

 第3番目の理由は、認証保育所が定数未充足の場合に、運営費の加算を実施し、経営を安定させることが求められているからです。
 区の待機児対策が一定進む中で、年度前半の認証保育所に空きが出て、運営が成り立たないとの声が上がっています。これは、認証保育所の運営費が、保育定数でなく実際の保育人数によって支給されるからであり、認証保育所が定数不足となった場合に、運営を安定させるためには独自の運営費助成が必要です。中野区などではすでに実施しており、本区でも実施すべきです。
 少子化が社会的な問題となっており、子育て支援の充実は待ったなしです。本請願は、区の責任で認可保育園を増設し待機児を解消するとともに、保育士の処遇、保育士配置基準、面積基準の引き上げを一体にすすめ、認証保育所の運営を安定せることで、だれもが安心して、子どもを産み育てられる渋谷区にしようとするものであり採択すべきです。
以上、本請願に対する賛成討論とします。

以上

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