●補正予算(5) 反対討論 田中正也
2023.10.3 本会議
私は、日本共産党区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第42号 令和5年度渋谷区一般会計補正予算(第5号)に反対の討論を行います。
本補正予算は、議会費の他、保育料の第2子無償化のために3421万円、地域経済活性化事業費としてハチペイのポイント還元を増やすために4億1435万5千円、財政調整基金の増額のために70億円、その他返還金など、総額82億4632万9千円を計上するものです。
保育料の第2子の無償化は、子育て世帯の経済的負担を軽減するもので、議会費や返還金と合わせて賛成です。保育料については、さらに第1子も含めて、すべての子どもの保育料を無償にすべきです。
地域経済活性化事業については反対するものではありませんが、ハチペイを使っている区民は、アカウント作成時の自己申告ですが4万8千人と区民の2割で、しかも60~70代の高齢者は12%です。多くの区民やスマホを使っていない高齢者には支援となりません。また登録事業者は区商連加盟のうちの約4割など、限られた区民や中小業者への支援にとどまります。紙の商品券を発行すべきです。
反対理由の第1は、70億円もの繰越金を基金に積み増す一方で、物価高騰で苦しんでいる区民や中小業者に届く支援に背を向けているからです。
コロナ禍に続く物価高騰の影響は、区民や中小業者の営業を困難にしています。わが党区議団の今年のくらし・区政アンケートの中間集計では、「くらしが苦しい」が77%、その原因の6割以上が物価高騰の影響です。「何もかも値上げで生活が苦しい。賃金が上がらず困っている」、「年金は増えないのに、支出は増える一方。預金を取り崩しているがいつまで持つか不安」など、切実な声が寄せられています。さらに10月には、食料品4,500品目以上に加え、電気、ガスも値上げされており、ますます困窮する区民や中小業者にたいする渋谷区独自の支援が切実に求められています。
こんなときに、区民に対する支援には背を向けて、70億円もの税金を財政調整基金に積み増すなど、到底区民の理解は得られません。今回の増額で財政調整基金は607億円、都市整備基金と合わせると基金総額は1444億円となります。繰越金は基金に積み増すのでなく、他区でも実施している低所得者や子育て世帯への区独自の給付金支給、中小業者に対するエネルギー価格高騰緊急対策支援や区の制度融資でゼロゼロ融資の借り換えを可能にするなど、緊急の物価高騰対策に活用すべきです。
反対の第2の理由は、小中学校給食の無償化の早急な実施の願いに背を向けていることです。
義務教育の支出のなかで最も保護者負担が重いのが学校給食費です。わが党は、教育の機会均等を保障するために、憲法26条の義務教育無償の対象として、食育である学校給食は無償化すべきと提案し続けてきました。
すでに23区中22区で実施が表明され、多くの子どもの給食費が本年10月には無償となるなかで、区長もようやく「来年度からの実施を検討」と表明しました。しかし、住民からは、すでに今年の第1回定例会と第2回定例会に小中学校給食の無償化を求める請願が提出されているのです。物価高騰に苦しむ子育て世帯の現状からしても、一刻も早い実施が求められています。保護者の切実な願いに背を向けた補正予算は認められません。
総務委員会では、本補正予算の財政調整基金の一部を10月からの小中学校給食費無償化の財源として活用する組み替え動議が提出され、多数で可決されました。区長は、委員会で示された議会の意思を尊重して早急に無償化を実施するべきです。
なお、スポーツセンター仮設校舎賃借の債務負担行為については、仮設校舎に運動場がない案が示されました。これでは15年間にわたって部活動や体育の授業、運動会も制約されます。すでに代々木中学校のOBや住民から、現状の計画に対する怒りの声とともに子どもの成長を第一に運動場を確保するよう求める声が上がっています。運動場を確保しない仮設校舎の案をこのまますすめることは認められません。
以上、令和5年度一般会計補正予算(第5号)に対する反対討論とします。