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日本共産党渋谷区議会議員団

ご意見・ご相談

議会報告
REPORT

田中まさや幹事長は、第1回定例会本会議の2日目の2月21日、区長及び教育長に対して、代表質問を行いました。

●1定2024 田中 代表質問 本番原稿

 私は、日本共産党区議団を代表して、区長、教育長に質問します。

1.能登半島地震と渋谷区の防災対策について
 能登半島地震でお亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表すとともに、被災された方々に、お見舞いを申し上げます。

(1)渋谷地域防災計画の見直しと防災対策の抜本的強化について
 渋谷でもいつ首都直下型地震が発生するかわかりません。渋谷地域防災計画に、能登半島地震の教訓を活かすことが求められます。
①住宅倒壊による死者ゼロへ
 能登半島地震では、石川県が明らかにした死亡原因の86%が「家屋倒壊」でした。巨大地震からいのちを守るカギは家屋の倒壊を防ことです。
 防災計画の見直し案の被害想定では、死者82人の8割が住宅災害です。一方、区内住宅の耐震化率は2020年時点で87.8%で、住宅の耐震不足を解消するには約4500戸の耐震化が必要です。
 木造住宅の耐震化が進まない主な理由は、費用が350万円以上と負担が重いことです。
 本区の木造住宅の助成上限は、高齢者世帯150万円、一般世帯100万円、簡易改修は高齢者100万円、一般60万円、マンションは2000万円です。
 新宿区では木造住宅の助成上限300万円、接道要件など既存不適格でも助成対象とし、マンションは4000万円で耐震化率95%を達成しています。さらに耐震シェルターや耐震ベッドも助成しています。
 本区でも、住宅の倒壊による死者ゼロをめざして、木造住宅耐震補強工事の上限を300万円、簡易改修は150万円に引上げ、既存不適格も対象にするとともに、耐震シェルター・耐震ベッドへの購入助成を復活すべきです。また、マンション耐震化工事の助成上限を4000万円まで引き上げるべきです。区長の所見を伺います。
②避難所運営の改善と避難者支援について
 能登半島地震では、在宅避難者や自主避難者も含めて食事も水も不足し、低体温症などによる震災関連死が発生しました。いのちを守るだけでなく、避難所運営にも人権の尊重が必要であり、国際基準であるスフィア基準を目標にすべきです。
 1)避難所一人当たりの面積は現在の畳1枚分から3.5平方メートル以上に引上げ、プライバシーが保持できるインスタントハウスを備蓄すること、2)トイレの数は20人に1個に引上げ、女性は男性の3倍に増やすこと、3)段ボールベッドと布団を配備し、ジェンダーの観点から避難所運営委員会に、必ず一定数以上の女性に参加してもらうこと、4)在宅避難、自主避難者への支援は、区の責務であることを明確にし、避難所の備蓄に在宅・自主避難者や帰宅困難者のための水、食料等の備蓄を増やすこと、5)避難所ごとに保健師や地域包括支援センターなどで構成する「(仮称)在宅避難支援チーム」を配置し、在宅・自主避難者への支援を行うべきです。以上5点について、区長の所見を伺います。
③要配慮者への支援について
 福祉避難所は、小学校区単位で整備し、地域包括支援センターやケアマネジャー連絡協議会とも協力して、区の責任で、自動登録している要配慮者全員の「個別避難計画」を作成し、必要な支援が途絶えないようにすべきです。
④職員住宅の整備と区内在住職員の確保について
 能登半島地震でも、地域の実情や災害対応に詳しい自治体職員の役割は、極めて重要でした。渋谷区の場合、職員の区内在住比率は1割程度で、防災職員住宅は定数48人、女性比率は27%です。小学校区ごとに増設し女性職員比率を高めるとともに、計画的に区内在住職員を増やすために、土木事務所や保育士など、現業の職員は区内在住者を中心に増やすべきです。合わせて区長の所見を伺います。

2.区民のいのちとくらし、民主主義にかかわる国政問題について

(1)憲法9条を生かした対話の努力について
 岸田政権は、憲法違反の敵基地攻撃能力の保有と5年間で43兆円もの大軍拡をすすめています。一方、アセアン(東南アジア諸国連合)は、「対抗でなく対話と協力」の東アジアをめざすアセアン、インド太平洋構想を目指しています。
 政府に対して、大軍拡はやめて、アセアンと協力して、憲法9条をいかした対話による平和を実現するよう求めるべきです。区長の所見を伺います。
 また、渋谷区に隣接する目黒区の艦艇装備研究所と港区のニューサンノー米軍センターが土地利用規制法の注視区域指定の候補とされたため、この周囲にある広尾、恵比寿、代官山などが規制の対象となります。この区域では、政府が土地や建物を調査でき、渋谷区から個人情報を吸い上げることも可能になり、不動産価格の下落も予想されます。
 政府方針では、指定にあたって、関係行政機関の長と協議し意見を聴くことを求めています。区長は、国にどのような意見を言ったのか、伺います。また、区内のどの範囲が区域指定の対象なのか明らかにし、住民への説明会を開くよう政府に求めるべきです。区域指定に反対し、区民の人権や財産権を侵害する土地利用規制法は廃止するよう政府に求めるべきです。所見を伺います。

(2)消費税減税と賃上げについて
①消費税減税は、直接物価を押し下げ、消費を刺激する最も効果的な対策です。失われた30年といわれる間に、法人税は約20%減税されその穴埋めに消費税の増税が繰り返されました。その結果、国民の購買力は冷え込む一方、大企業の内部留保は555兆円まで膨れ上がりました。昨年12月の自民党の「税制改正大綱」では、「法人税改革」は「意図した成果をあげてこなかった」とその失敗を認めています。
 富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を緊急に5%に減税し、インボイス増税は中止を国に求めるべきです。区長の所見を伺います。
②労働者の実質賃金は21カ月連続減少しており、賃上げは急務です。日本共産党は大企業の内部留保の増加分に時限的課税をおこない、10兆円の税収を中小企業の賃上げ支援に充て、最低賃金を時給1500円以上に引き上げるよう提案しています。世界では、ワシントンDCが2,386円、イギリス1,998円、ドイツ1,885円に引き上げています。
 働く者のくらしを守るために、物価高騰を上回る賃上げが必要と考えますが、区長の認識を伺います。中小企業支援と一体に、最低賃金を1500円以上に引き上げるよう国に求めるべきです。所見を伺います。

(3)神宮外苑の再開発について
 3000本もの樹木を伐採し、高さ190m級の巨大な再開発ビルなどを建設する神宮外苑再開発への批判が広がっています。日本共産党都議団の調査で、2012年当初の計画では、再開発ビルの計画はなく野球場も銀杏並木から離れていましたが、2014年には超高層ビルや商業施設などを整備する案に変更され、新国立競技場に不可欠なサブトラックが無くなり、その後、都民が多く利用してきた軟式野球場も廃止され、樹齢100年を超える多くの樹木を伐採する計画に変わったことが明らかになりました。再開発事業者の三井不動産や伊藤忠などの儲けを最大化する計画に変更させられたのです。
 区長は、多数の樹木を伐採し、超高層ビルを建設する明治神宮外苑の再開発を中止し、都民や日本イコモスの意見を聞いて、計画を見直すよう東京都に求めるとともに、計画を審査する文科省に対して指導を求めるべきです。所見を伺います。

(4)羽田空港低空飛行ルートについて
9月のトルコ航空機の経路逸脱事案に続いて、1月2日には、羽田空港で飛行機の衝突事故が発生しました。住民からは、騒音や落下物の危険とともに、羽田空港の過密ダイヤと人員体制など安全対策への不安が広がり、このルートの撤回を求める声はますます大きくなっています。
区長は、現時点では中止を求める考えはないと答弁していますが、住民の圧倒的な「中止」を求める声があることを、国に直接伝えるべきす。所見を伺います。

3.2024年度渋谷区予算案について

(1)大企業優先から、くらし、福祉、教育最優先の税金の使い方について
 渋谷区の2024年度予算案は、物価高騰が区民のくらしや営業を直撃しているのに、困っている区民や中小業者を守るための独自の予算はなく、いのちを守るための防災対策の強化も盛り込まれていません。
 渋谷駅周辺再開発に5億円、スタートアップ企業支援に3億円のほかスマートシティの推進、公園PFIの拡大などは、財界戦略を最優先にするものです。玉川上水旧水路緑道整備に14億5400万円、加計塚小学校の隣の農園に1億2650万円も投入する一方、敬老祝い金は大幅に削減、奨学資金貸付制度は廃止、国保料や介護保険料、後期高齢者医療保険料のトリプル値上げなど、福祉・教育の切り捨てと負担増を押し付ける冷酷な予算です。
 今定例会に提案された補正予算では、総額82億円余のうちの75億円を都市整備基金に積み増し、財政調整基金との合計は1519億円に達します。基金の積み増しを止めれば、負担増も福祉の切り捨ても中止できます。
 わが党区議団は、物価高騰からいのちとくらし、中小業者の営業を守り、子どもに寄り添える教育の充実など、自治体本来の役割を発揮するために予算修正案や条例提案もおこなっています。
 区長は、来年度予算を大企業の儲け最優先から、いのちとくらし、営業を守ることを最優先に、税金の使い方を転換すべきです。所見を伺います。

(2)物価高騰対策の強化について
 わが党区議団の昨年秋のアンケートでは、77%と圧倒的な区民が、生活が苦しいと訴えています。昨年の消費者物価指数は3.8%増に対して名目賃金は1.2%増で、世帯平均14万円もの負担増です。政府の対策だけでは、区民のくらしや営業を守れません。「電気代、ガス代を支払うと、食費の分がほとんど残らない。助成金がほしい」、「安心して子どもを産み育てられるよう家賃補助が必要」など、救いを求める区民の切実な声に応える区としての対策が必要です。
 来年度予算の物価高騰対策は、ハチペイのポイント還元だけで、スマホとマイナンバーカードを利用する3万5千人、区民の15%で、本当に困っている区民には届きません。多くの自治体では、独自の対策を講じています。港区では、0歳~高校生までの子育て世帯に、子ども一人5万円の商品券と19歳~24歳には1万円の若者応援給付金を支給、葛飾区は、中小企業支援として法人15万円、個人3万円を給付しており、これらの多くは物価高騰対策地方創生臨時交付金を活用しています。
 区長は、なぜ困窮している区民に寄り添う区独自の支援を実施しないのか、その理由をお答えください。わが党区議団が提案している、低所得世帯、子育て世帯、若者への区独自の給付金支給や家賃助成制度の復活・創設、紙の商品券の実施、中小企業への物価高騰対策の助成金などは、国の交付金も活用して実施すべきです。所見を伺います。

 物価高騰対策として、区としても賃上げの努力をすべきです。本区で募集している会計年度任用職員は、保育補助員は資格なしで時給1,091円と最低賃金以下です。今年度の渋谷区の労働報酬下限額は、1,172円ですが大幅な賃上げが求められます。杉並区では、24年度から労働報酬下限額を1,138円から1,231円へと8.17%引き上げます。
 また渋谷サービス公社の代官山スポーツプラザのプール監視員は、公契約条例の対象外のため時給1,130円です。
 会計年度任用職員の最低賃金を1500円以上に引き上げるべきです。公契約条例の対象を、渋谷区のすべての委託契約と指定管理者に拡大するとともに、本区でも、労働報酬審議会に下限額の大幅引き上げを求めるべきです。区長の所見を伺います。

(3)敬老祝い金について
 区長は、敬老祝い金事業を、来年度から対象者を2万4290人から9,172人に、予算額で2億4408万円から1億1773万円に半分以上を切り捨てようとしています。高齢者から「物価高のなかで、なんと冷たい仕打ちをするのか」、「敬老の気持ちの切り捨てだ」と厳しい批判の声が上がっています。
 区長は、高齢者人口の増加や持続可能性を理由にしますが、渋谷区の人口予測によれば、17年後の2040年でさえ予算の増額は4000万円程度であり、累積増加額は3億4000万円だけです。持続可能というなら玉川上水旧水路緑道整備の100億円以上の税金投入をやめれば十分財源は確保できます。
 区長は、渋谷区の誇るべき高齢者福祉施策である敬老祝い金の削減はやめて、今回対象から除いた高齢者全員に、1万円の現金給付を実施すべきです。所見を伺います。

(4)国保料、後期高齢者医療保険料の値上げ中止、引き下げについて

①国保料について
 来年度の国保料は20年連続値上げです。一人当たりの保険料は1万8,340円、12.4%の大幅引き上げで、16万6,455円になります。年収500万円の40代夫婦と子ども2人の場合、9万3,651円の値上げで72万8,905円、収入の15%、協会けんぽと比べて、2.5倍となります。国保加入者は、社会保険に加入できない非正規労働者、中小自営業者、年金生活者など、所得の少ない方々が多くを占めています。わが党区議団のアンケートでは、国保料が重いと答えた方は9割を超えており、これ以上の負担増は、くらしを壊し、無保険者を増やし、いのちの平等を損なうことになります。
 23区特別区長会は、区民負担は限界との認識の下で、厚生労働大臣あてに、国庫負担割合の引上げや公費による軽減割合の拡大を求めています。
 国民健康保険は憲法25条の生存権にもとづいており、区長は、公費負担を増やすという立場で、財政負担の拡大と子どもの均等割の廃止とともに、国保料の引き下げのための一般会計繰入を今後も認めるよう国に求めるべきです。
 区として、一般会計からの繰り入れを増やして、来年度の国保料の引き上げを中止するとともに、子どもの均等割は無料にすべきです。区長の所見を伺います。

②後期高齢者医療保険料の値上げの中止を
 東京都後期高齢者医療広域連合は、来年度の保険料を1人当たり11万1356円とし、今年度比6.2%増の値上げを強行しました。国は、子どもの出産育児一時金拡充の財源の一部を75歳以上の高齢者に負担させるとして、1人641円を上乗せしています。
 年金の実収入が減り続け、食費も削り、医者に行くのも控えているなかで、これ以上の保険料の値上げは、高齢者の尊厳を奪うもので許されません。国と都に対して、財政負担を拡大して来年度の保険料の引き上げの中止を求めるべきです。区長の所見を伺います。

4.まちづくりについて

(1)玉川上水旧水路緑道整備について
 玉川上水旧水路緑道整備について、住民の声が広がり、すでに伐採した31本を除く158本について樹木調査が実施されました。区民環境委員会でも、委員から「B2を伐ったら(住民の怒りが)吹き上がる」と伐採に対する危惧の声が上がっています。千葉大学の藤井英次郎名誉教授は、本当に切る必要があるのは2本だけと評価しているように、この判定は、樹木の伐採のためでなく適正に保存するために活用すべきです。
 今回の調査対象の樹木については、住民の願いに応えてB2やC判定の樹木も保存すべきです。また、玉川上水旧水路緑道をはじめ公園の樹木については、専門家を雇用するなど適切に保存すべきです。区長に伺います。
 区は、緑道整備のための都市計画の変更を強行し、緑道を指定管理者に管理させ、カフェなどの収益施設を整備しようとしています。区民は、公園を民間企業の儲けの場に変えよることを求めていません。公園PFIは撤回し、区が直接管理運営すべきです。
 都市公園は、24時間365日みんなが自由に憩える場所であるべきです。民間企業の儲けのために、樹木を伐採する緑道再整備に100億円以上もの税金を投入することに、区民は納得しません。 
 玉川上水旧水路緑道整備計画は白紙に戻すべきです。区長の所見を伺います。

(2)宇田川町地区まちづくり計画の変更について
 宇田川町地区まちづくり計画の都市計画の変更が、昨年12月の都市計画審議会で強行されました。この計画変更によって、区道の廃止や神南小学校の容積率を移転することで、渋谷ホームズの容積率も高さも現在の3倍に増えることになります。一方、神南小学校は、風害や子どものプライバシーの侵害などの教育環境の悪化が懸念され、反対の声が上がっています。
 都市計画審議会では、会長が継続審議を提案するなかで、副区長は、この日に決定されなければ計画が延びるので決めて欲しいと発言したと聞いています。
 そもそも、審議会は、区長に答申を出す側であり、これを受ける区の側が、審議会に対して変更決定を迫ることは、審議会への乱暴な介入、越権行為ではありませんか。区長の所見を伺います。
 この開発事業者には、清水建設や東急不動産が加わっており、これらの大企業に大きな利益をもたらします。開発事業者のために、区民の財産を提供し、住環境や教育環境を悪化させ、区庁舎への来庁も不便になります。区道の提供や神南小学校の容積率の移転は中止し、神南小学校は区として整備すべきです。区長の所見を伺います。

(3)幡ヶ谷2丁目オリンパス跡地再開発について
 幡ヶ谷2丁目の1万平方メートルに及ぶオリンパス本社跡地は、三井不動産に売却されています。この土地は、準工業地域で容積率300%、建蔽率60%であり、高さ制限は30mですが、区が認めれば、高さは45mになります。
 しかし、住民から「7号通り公園を提供して、26階建ての再開発ビルが建設されると聞いた」と日影や住環境の悪化を懸念する声が上がっています。7号通り公園には、町会の施設や子どもの遊具もあり、住民からはいまの公園の存続を求める声も上がっています。
 区長は、この計画について知っていることを明らかにし、事業者に対して、直ちに住民説明会を開催するよう求めるべきです。三井不動産の儲けのために、住民無視で、住環境を悪化させる7号通り公園の提供はやめるべきです。区長に所見を伺います。

5.教育について

(1)「新しい学校づくり」整備方針について
①学校整備は、子どもの教育環境の充実を最優先に
 不登校児が過去最高となるなど、子どもをとりまく環境が複雑化するなかで、少人数学級や教師の多忙の解消など、ひとりひとりに寄りそえる教育が求められています。毎年子どもを派遣しているフィンランドを含め、欧米の学級規模は10人から20人です。フィンランドの小学校の全校生徒数は100人程度で複式学級を採用しており、子ども同士の学び合い、コミュニケーション力の養成、先生の負担軽減などを実現することで、子どもの幸福度も高く、PISAの学力調査でも高い成果をあげています。
(ア)ところが「新しい学校づくり整備方針」の学級規模は、今後も小学校35人、中学校40人のままです。直ちに全校全学年で、35人以下学級にするとともに、30人以下学級を目指すべきであり、少人数学級に対応できるよう、教室数を確保すべきです。国や都に対して、30人学級化、公立学校の教員に残業代を支給しない法律の廃止と教師の持ち時数が減らせるよう大幅増員を求めるべきです。教育長に伺います。
 いま整備方針のトップダウンの進め方によって、大きな問題が起きています。
(イ)広尾中学校では、特別教室が減らされるため、関係者から部活動ができなくなるのではとの不安の声が寄せられています。渋谷図書館を併設しなければ、特別教室を確保することができます。渋谷図書館は元の場所で整備して、特別教室や少人数学級のために活用すべきです。区長に伺います。
(ウ)スポーツセンター仮設校舎に、専用グランドが整備されないことに、住民や教育関係者から批判の声が上がっています。スポーツ推進校である代々木中学校の3年間の体育の授業や部活動、大規模校である西原小学校や幡代小学校の体育の授業や放課後クラブは、どこで実施するのですか。学校関係者や住民に具体的な案を示すべきです。教育環境を悪化させないために仮設校舎には専用グラウンドを整備すべきです。区長の所見を伺います。
(エ)整備方針では、すべて校舎の中央を吹き抜けの「ラーニングコモンズ」にしようとしています。しかし、公立小中学校で取り入れたケースは少なく、校舎の大きな空間を使っているケースも見当たりません。義務教育の時期にどれだけ教育効果があるのか実証的な研究もありません。
 一方、同様の吹き抜け構造の本町学園では、当初から1階の雑音が4階まで響くので、「中学校3年生のスピーキングの授業では、休憩時間も低学年はガマンを強いられる」などの課題が指摘されてきました。
 ラーニングコモンズや吹き抜け構造について、教師や専門家の声を聞いているのですか。教育長に伺います。
(オ)広尾中学校の説明会では、このスペースは地域との交流の場になるとの説明がされましたが、セキュリティや管理はどうするのか、吹き抜け構造に校舎の大きなスペースを割くよりも、特別教室や普通教室などを増やすべきです。区長の所見を伺います。
②学校プールについて
 松濤中学校の建替え計画では、第3回準備委員会まで専用プールを整備する計画でしたが一転して、松濤中学校、代々木中学校、広尾小学校などは、近隣の屋内プールを利用するとして、プールを整備しないことが文教委員会に報告されました。
 プールの授業は、指導要領に位置付けられ年間10時間の時数を求められています。それは、四方を海に囲まれている日本の場合、水難事故からいのちを守るためだからです。
 学校プールを廃止した葛飾区では、水泳のある日は時間に追われ、朝の会や給食、昼休みの時間が削られ、前後の授業や子どもたちの集中力にも影響がでる。など学校外プールを利用することで、教師や子どもたちに新たな負担が生じています。実際、松濤中でプールをなくした場合、徒歩の移動で往復30分かかるとのことです。これでは授業になりません。
 松濤中をはじめ、今後整備するすべての学校にプールを整備すべきです。区長の所見を伺います。
③学校統廃合の中止と学校整備のあり方について
 新年度、千駄ヶ谷小学校と原宿外苑中学校、猿楽小学校と鉢山中学校を統廃合して、施設一体型小中一貫校を建設するための予算が計上されました。
 小中学校は、子どもの教育の場であり、地域のコミュニティや防災の拠点です。将来にわたって、住みやすく、子育てしやすい地域にしていくためには、地元住民の合意が欠かせません。住民からは「トップダウンで、統廃合を進めることは地域破壊だ」との声が寄せられています。
 地域にとって、学校統廃合は子育て環境やまちづくりにとって極めて重大な問題です。区長は、対象となる地域の住民の声を丁寧に聞くべきです。
 ところが、教育委員会では、保護者全員への意見聴取も行わない、地域住民への説明会は基本設計が決まって以後としていいます。広尾中学校の説明会は、案内が建物高さの2倍の範囲とされており、住民はもとより準備委員も知らされなかったと聞いています。
 今後の学校の長寿命化は、建替えありきでなく、整備費用は2~3割削減でき、CO2排出量も低減できるリファイニング建築も検討すべきです。
 トップダウンの「新しい学校づくり整備方針」も学校統廃合も撤回し、それぞれの学校の整備については、基本設計以前に、こどもと保護者と学校関係者、地域住民に広く意見を聴く機会を設けるべきです。区長に伺います。

(2)学校給食無償化
 今年4月から、ついに渋谷区でも小中学校給食の無償化が始まります。わが党区議団は、10年以上前から条例提案や予算修正案を提案し、実現に力を尽くしてきました。住民や保護者からも喜びの声が寄せられています。
 学校給食無償化は、憲法26条の義務教育は無償の原則にもとづいて、すべての義務教育の子どもを対象にすべきです。中野区は私立や国立も、杉並区は私立、国立と不登校児まで対象にしています。
 義務教育無償の原則にもとづいて、無償の対象を私立、国立、不登校児まで拡大し、区立と同等の額を支給すべきです。区長の所見を伺います。

(3)奨学資金貸付制度について
 区は、来年度から奨学資金貸付制度を廃止しようとしています。高校生の授業料が実質無償になるとはいえ、私立高校の場合40万円もの負担がある場合があります。また、大学生の5割が奨学金を借りなければ大学に行けず、卒業した時には300万円以上もの借金を背負うことになります。
 足立区では、大学生を対象にした給付制の奨学金制度を実施し、実費相当を上限に私立理系の場合、入学金38万円、授業料等198万円を給付する制度で、この年度は200人を超える応募で48人給付しています。
 本区でも奨学資金貸付制度は廃止ではなく、大学生や大学院生も対象にすべきです。区長の所見を伺います。

6.子育て支援について
(1)配置基準の引き上げについて
 保育士や保護者らが長年求め続けてきた、保育士1人が受け持つ子どもの人数を定めた保育所の職員配置基準が76年ぶりに見直され、4~5歳児では、保育士1人あたり現在の30人から25人になります。
 しかし経過措置として「当分の間は従前の基準により運営することも妨げない」としているため、財源や保育士の不足から、4月から実施できない保育園が残ることが危惧されます。また、1歳児の配置基準の6人から5人への見直しは、25年度以降に先送りされました。
 民間の保育園でも新しい配置基準が実施できるよう、区として運営費の増額などの支援を実施するとともに、1歳児についても前倒しして配置基準を引き上げるべきです。また、2歳児以上の面積基準の引き上げを国に求めるとともに、区独自で実施すべきです。区長の所見を伺います。
(2)処遇改善について
 「人手が足りず、子どもに我慢を強いて満足できる保育ができず、辞めていく保育士がいる」など、現場の声は深刻です。全産業平均と比べても低い保育士の賃金を引き上げるなど処遇を改善し、希望をもって働き続けられる環境をつくることが政治の責任です。
 保育施設で働く職員の賃金と労働条件を引き上げるよう国と都に求めるとともに、渋谷区としても独自の処遇改善を行うべきです。区長の所見を伺います。

以上

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