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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

牛尾まさみ区議会議員は、区議会第2回定例会の本会議2日目の6月4日、長谷部区長と伊藤教育長に対して、日本共産党区議団として代表質問をおこないました。

2025年第2回定例会代表質問 最終

2025.6.4牛尾

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長、教育長に質問します。

1,核兵器廃絶と平和のとりくみについて
 今年は被爆80年の節目の年です。昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協は、自分たちと同じ苦しみを地球上のだれにも味わわせてはならないと、今年こそ世界が核兵器の使用禁止、廃絶に向かうことを求めています。2022年1月に発効した核兵器禁止条約は、署名国94、批准国73にまで広がっています。唯一の被爆国でありながら参加を拒んでいる政府にたいし、核兵器廃絶を願う自治体の意思を示すことが意義あることと考えます。
 渋谷区も平和首長会議に参加し、原爆写真展など核兵器廃絶にむけた啓発を行ってきました。日本非核宣言自治体協議会は、全国の自治体に対して行ったアンケートにもとづき、非核宣言自治体を紹介していますが、5月20日現在1671自治体で、その中には渋谷区も含まれています。
 核戦争の危険が高まる今こそ、当区でも、非核宣言自治体であることを区民に明らかにし、日本非核宣言自治体協議会に参加すべきです。また、被爆者が願う被爆体験を若い世代に継承するために、子どもたちを広島、長崎に派遣する事業を実施すべきです。区長の見解を伺います。
 政府は、憲法に基づく「平和主義」や「専守防衛」を大転換して、ミサイルを大量配備し、敵基地攻撃のために自衛隊を事実上米軍の指揮統制下に組み込んで、対中国戦略の一翼を担おうとしています。
 今年度予算は、社会保障や教育、中小企業対策費は実質マイナスの一方で、軍事費は前年度比9.5%増の8兆7千億円で突出しています。トランプ政権は日本の軍事費を18兆円にしろと迫っていますが、アメリカ言いなりに大軍拡を進めれば、国民のくらしも経済も押しつぶされてしまいます。
 今日本に求められているのは、日中が合意した「お互いに脅威にならない」という原則に立って、平和の地域共同体を東アジア全体に広げる「ASEANインド太平洋構想」を前に進めることです。政府に対し、大軍拡を中止し憲法9条を生かした平和外交に転換するよう求めるべきです。区長の見解を伺います。

2,物価高騰対策について
 日本共産党のくらしの要求アンケートには、異常な物価高騰で区民も「米が2倍になり食費が跳ね上がった」「年金が2か月持たない」などと答え、暮らしは深刻です。日本共産党は4月17日、「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」を発表し、消費税を緊急に5%に引き下げる、物価高騰に負けない賃上げと減らない年金、医療・介護の経営危機・基盤崩壊をくいとめ、ケア労働者の賃上げを図ることを提案しました。

①消費税の減税
 消費税減税は、どの世論調査でも7割以上の国民が求めており、国政の一大焦点となっています。一律5%にすれば、1世帯で12万円の減税となり、インボイスの廃止も一体にでき、最も効果的です。
 問題は、財源をどうするかにあります。日本共産党は大企業や富裕層への減税と優遇を見直して15兆円の財源を作ると提案しています。赤字国債でまかなうのは、毎年巨額の借金を増やして国の財政と通貨の信頼を失わせ、インフレを招きかねず、責任ある財源論とは言えません。
区長は物価高騰対策として消費税減税が効果的と考えているのか、また、7割の国民の願いを受け止め、国に対し消費税減税を求めるべきと考えますが、見解を伺います。

②賃金の引き上げ
 日本では、実質賃金の低下が物価高騰をいっそう深刻にしており、政治の力で賃上げすることが必要です。日本共産党は、大企業の増えた内部留保に時限的な課税をして中小企業の賃上げ支援に回すことと一体に、最低賃金を1500円に引き上げ、1700円をめざすことを提案しています。
賃上げ支援は自治体でも、岩手、徳島、奈良、群馬の4県が実施しています。日本共産党は東京都に対し、中小企業への年12万円の賃上げ支援を20万人規模で行うことを求めています。
 国や都に対し、中小企業への賃上げ支援を求めるとともに、区としても小規模、零細事業者に行うべきです。また、公契約条例の労働報酬下限額を1426円にしましたが、さらに引き上げ、対象は、5千万円以上の工事契約と2千万円以上の委託契約、全ての指定管理に拡大すべきです。区長の見解を伺います。

③区民生活への支援
 今、物価高騰からくらしと営業を守ることは、区政の最大の課題です。ところが、今議会に提案されている補正予算には、物価高騰対策は全くありません。区長は、区民生活を支える区政の役割について、どう認識しているのか伺います。
 当初予算で約50億円も増額が見込まれる区民税は、区民への直接支援に使うべきです。ハチペイのポイント還元は4分の1の区民しか利用できず、困っている区民全体に届きません。
 千代田区では、区民一人当たり5000円のクーポン券を配布し、足立区ではペイペイでのポイント還元は利用できる区民が限定されるため、商品券を購入してもらう方式に変更しています。
 東京都に対し、給付金の実施を求めるとともに、区独自にすべての困っている区民に行き届くよう、低所得世帯への給付金支給、クーポン券の配布、紙の商品券方式や、中小事業者への燃料費・原材料費高騰への支援を行うべきです。区長の見解を伺います。
 国保料、後期高齢者医療保険料については、保険者の東京都や広域連合に対し、3万円の引き下げを求め、18歳までの子どもの保険料は、都に無料化を求め、区としても実施すべきです。区長の見解を伺います。

3,区長の政治姿勢について
①トップダウンの政治手法
 今定例会には、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その4)として、幡ヶ谷緑道の相生橋から西原緑道の美寿々橋の間の工事契約議案が提出されています。また、今年度に大山、幡ヶ谷、西原、初台緑道のすべての区間で工事契約を行うとしています。
 緑道再整備について、ある商店主は、「123億も税金をつぎ込むより、商店街が負担している70万円の街路灯電気代を全額補助すべきだ」と怒っています。区長は住民のみなさんに整備後の緑道を見てもらうと言って笹塚、大山緑道の工事を進め、第1回定例会のわが党の質問に、「住民の皆様のご意見を伺いながら設計を進める」と答弁しました。しかし、最初の工事完了後の3月27日に行われた第11回ササハタハツ会議の説明会でも、反対の声が圧倒的多数だったのに、区長は、このまま進めていくと冷たく言い放ちました。住民の多数が反対したことを、区長はどう受け止めているのか、伺います。
 区が進めている緑道再整備は、テラゾの舗装材やベンチの採用、高価な整備費、緑道内へのファームの設置など、区長が固執する計画を、住民無視で強行するもので認められません。今定例会に提出している「その4」の契約議案は取り下げ、住民の意見を尊重して、今の緑道を生かした維持管理を行うべきです。区長の見解を伺います。

②開発優先の姿勢
 渋谷駅街区北側自由通路の整備は、2010年(平成22年)に事業認可された、渋谷駅街区土地区画整理事業の一部としてすすめられてきました。自由通路の整備費67億7千万円のうち区の補助額は40億円で、当時の区長は、これ以上の負担はないと言っていました。日本共産党区議団は、この事業はJRなどの事業者の負担で行うべきだとして、予算の削除を求めてきました。
 24年度の予算審議で区は、すでに39億2500万円余が投入されたと答弁し、予算計上された5億1200万円を加えると、当初の40億円を超えることになり、事業計画変更から2年以上もたった昨年6月に、整備費が87億5千万円、補助額が52億円に増えたことを報告しました。これでは、隠ぺいしたと言われても仕方ありません。区の負担額はさらに増額されますが、一体いくらになるのか、また、税金投入はやめるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 渋谷区はこれまで、税金投入や容積率の緩和、区道廃止などの便宜を図り、開発優先のまちづくりを進めてきました。一方で、区民には、敬老金の削減や施設使用料の値上げ、奨学金の廃止など負担を増やし、くらしを支える施策を後退させてきました。
地方自治体の役割は、何よりも住民福祉の向上にあります。開発優先をやめ、住民のくらし第一に改めるべきです。区長の見解を伺います。

③デジタル化の名による弱い立場の区民切り捨て
 区は、多額の予算をつぎ込んで行政のデジタル化を急速に進め、区民に利用を薦めてきました。
 そもそも、デジタル機器の所持や使用は個人の自由であり、国が進めているマイナンバーカードも取得するかは任意です。しかし、区はハチペイのポイント還元や、コンビニやマルチ交付機、LINE等で行った住民票の写しなどの交付手数料を10円や0円にするなど、スマートフォンやマイナンバーカードを持つ人だけを優遇しています。区の施策に区民の声を反映させるための各種の区民意識調査も、ウエブでしか回答できず、スマホを持たない人が排除されているものが少なくありません。
 ハチペイポイント還元、区民意識調査など、スマートフォンなどのデジタル機器を持たない区民が利用できない施策は何事業あるのか伺います。また、行政手続等をデジタル化する際には、スマホやマイナンバーカードを持たない区民に対してもサービスを平等に受ける権利を保障すべきです。区長の見解を伺います。

4,教育について
 教育は、子どもの人格の完成をめざし、その尊厳を尊重しながら成長を支える営みです。教育は子どもの権利であり、教育の機会は平等に保障されなければなりません。

①一人ひとりの子どもたちに行き届いた教育を
 ところが、日本では、公教育に対する予算が不十分なために、世界に例のない高額費や多人数の学級など教育条件の整備が遅れています。また、第二次安倍政権が、学校での競争と管理をエスカレートさせたために、不登校はこの10年間で3倍に急増し35万人近くになっています。渋谷区立小中学校でも、コロナ以降不登校が急増し、昨年度も高止まりの状態が続いていると聞きました。
 区は、これまで各学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを派遣し、子どもや保護者の相談支援体制を強化してきました。しかし、これらの専門職員はいずれも会計年度任用職員のため、不安定な雇用のなかで、区内の複数校や、他区の非常勤職員として掛け持ちで各校を回る人もいます。それぞれの学校も都と区のスクールカウンセラーが曜日を決めて週2日来るだけです。
 子どもたちに寄り添い、継続的に支援できるよう、スクールカウンセラーは各校に専任配置し、常勤化すべきです。また、スクールソーシャルワーカーも常勤職員とし、相談・支援体制を強化すべきと考えますが教育長の見解を伺います。
 教員の多忙化を解消し、一人ひとりの子どもに寄り添った教育を実施するためには、教育研究者も、学校現場からも、教員の増員と少人数学級が不可欠と指摘されていますが、教育長の見解を伺います。
 国は今年度から小学校の全学年を35人学級とし、来年度から中学校でも順次35人学級を実施するとしていますが、教育委員会として、国と都に少人数学級を加速させるよう求め、区として中学校の35人学級化を直ちに実施し、小学校では30人学級に進むべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

②教育費の負担軽減
 教育費の負担を軽減することは、すべての子どもの学ぶ権利を保障するうえで欠かせません。区立小中学校のおおよその保護者負担額は、小学校の移動教室が2万3千円、学用品が1万8千円、中学校の副教材が3万5千円、修学旅行が7万2千円、標準服が6万円となっています。教育費の負担増を放置すれば、家庭の経済力による格差が拡大してしまいます。
 義務教育無償化を進めるために、葛飾や品川、足立、墨田、荒川区などで実施した修学旅行・移動教室、副教材費、中学校標準服などの無償化に踏み出すべきです。また、給食費無償化については、すべての学齢期の児童生徒に拡大すべきです。さらに、交通費については、国に子ども運賃の対象を18歳まで広げるよう求めるとともに、都に高校生や私立中学生の通学定期券代の助成を求め、区としても実施すべきです。あわせて区長の見解を伺います。

③大学生等の給付制奨学金の実施
 今年は約4割の大学で学費の値上げが強行され、初年度納付金は国立で80万円、私立は文系で110万円、理系で150万円を超え、高等教育を受ける権利が脅かされています。
 国は、国立大学の運営費や私立大学助成の予算を大幅に削減してきました。このため、学生の8割がアルバイトをしながら学び3人に1人が貸与制奨学金に頼らざるをえないのが現状です。国に対し教育予算を抜本的に増やし、学費を半額にするよう求めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 給付制奨学金について区長は、区が担うべき役割かどうかを慎重に見極めていくと前定例会で答弁しました。軍事費の半分以下という教育予算の抜本的拡充は急務ですが、経済的理由で大学に行かれない子どもを放置することは許されません。
 足立区に続いて今年度からは千代田区、品川区が給付制奨学金制度を開始しました。当区でも、給付制奨学金の実施に踏み出すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

④新しい学校づくり整備方針
 「新しい学校づくり整備方針」は、22の小中学校を建て替え、このなかで原宿外苑中学校と千駄ヶ谷小学校、鉢山中学校と猿楽小学校、笹塚中学校と笹塚小学校の6校を廃止して、新たに3中学校の敷地内に小中一貫校を建設するとしています。
 区は、2050年に12学級未満となる学校を小規模校として、再配置を検討しながら、予測される児童生徒数も公開せず、小規模校にならない猿楽、笹塚小学校を統廃合校としています。小規模校の鉢山、笹塚中学校を小中一貫校にしても、各学年の生徒数は変わりません。教育学では、一人ひとりに行き届いた教育が可能となることが小規模校の良さとして認められているのです。
 渋谷本町学園は、小中の9年間を見通した教育と言って小中一貫校にしましたが、小学校卒業生の3~4割が他の中学校に進学し、一貫教育になっていません。また、使えるグラウンドが狭くなり、部活動や放課後クラブの活動が制約されます。区が示した小中一貫校計画は、トップダウンで決めた「統廃合ありき」の計画と言わざるを得ません。
 文科省は、「学校統合の適否を検討する上では、児童生徒の保護者や就学前の子供の保護者の声を重視しつつ、十分な理解や協力を得ながら進めていくことが大切」と「手引き」で述べています。
区の整備方針や学校の建て替えは、ホームページで見なければ、住民が知る機会はありません。昨日の答弁で鉢山中の建て替えは恵比寿ふれあいひろばでブースを出したと言いましたが、学校の建て替えについての説明会として独自に開き、地域の住民に広く知らせるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 日本共産党区議団が開催した学校統廃合・小中一貫校を考える懇談会に参加した方は、「3代にわたって千駄ヶ谷に住み、兄弟はみな千駄谷小学校を卒業した。なぜ統廃合するのか疑問に思っている。一貫校の効果はあまり感じなかったが、何を言っても聞いてもらえない」と話されました。地域住民に広く知らせないまま統廃合を進めることはやめるべきです。
 区が進める学校統廃合は、児童生徒、教職員、保護者、地域住民の合意を得ようともせず、トップダウンで決めた計画であり、撤回すべきです。区長の見解を伺います。

 区長は、建築費の高騰や、人手不足などで、建て替えロードマップの見直しを表明しました。しかし、整備方針はそもそも住民合意がありません。
 建て替えロードマップは撤回して、学校の建て替えについては、それぞれの地域で子どもたちの教育環境の向上を最優先にして、関係者や住民等の合意のうえですすめるべきです。 その際、建築費が高騰しているなかで、建替えを急ぐのではなく、建築費をはじめ、産業廃棄物の発生や、CO2の発生も大きく削減できる再生建築も住民に提案し、検討すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

⑤社会教育館の存続
 昨年度に予算化された幡ヶ谷社会教育館の跡地に予定される、幡ヶ谷2丁目施設(仮称)基本計画作成の予算が今年度に繰り越されています。区は、社会教育館をコミュニティ施設に転換する方針としていますが、利用している団体からは、建て替え中の代替施設はどうなるのかという不安や、建て替え後も残してほしいという声が寄せられています。利用者の声にこたえ、代替施設を確保し、社会教育法にもとづく社会教育館として継続すべきです。区長の見解を伺います。

5, 医療、介護、高齢者福祉について
 今、区民のいのちとくらしを支える医療や介護は、基盤崩壊の危機に瀕しています。
①医療について
 日本病院会など6団体は、赤字病院が6割に増加したという調査結果を発表し、「地域医療は崩壊寸前」「このままではある日突然病院がなくなります」として、物価や賃金の上昇に適切に対応した診療報酬を要望しました。
 区内でも日赤医療センターが、42病床を縮小し、4月から差額室料、セカンドオピニオンなどの料金を値上げし、さらに6月末で訪問看護ステーションを閉所すると発表しました。また、独法化された広尾病院も、新型コロナ後の患者数が回復せず、連続して赤字となっています。患者さんも、昨年1月から紹介受診重点医療機関になったため、紹介状を持たずに受診すると初診で7千円を払わなければならなくなりました。
 区長は、区内でも深刻化する病院経営を改善するため、国に対し、診療報酬の引き上げを求めるべきです。また、東京都に対し、広尾病院は都立直営にもどし、東京都の責任で区民が安心してかかれる病院にするよう求めるとともに、民間医療機関への支援の増額を求め、区としてもできる支援を行うべきです。あわせて区長の見解を伺います。

 国民健康保険証の期限切れが迫る中、当区が世田谷区とともに、すべての国保加入者への資格確認書を発行することを発表しました。区議会は2024年第1回定例会で住民からの陳情の趣旨を取り上げ、現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書を国に提出しています。日本共産党は、区民の声と議会要望に応え、区内にマイナ保険証では受診できない医療機関が少なくない中で、保険者として加入者全員に医療を受ける権利を保障するための判断として歓迎します。
 厚生労働大臣は記者会見で、国の方針とは異なるとして、必要な対応策を検討すると述べましたが、資格確認書は発表したとおり、すべての加入者に発行すべきです。また、国に保険証の廃止撤回を求めるべきと考えますが、合わせて区長に伺います。

②安心して受けられる介護
 介護事業所は、慢性的な人材不足に加え、昨年度の介護報酬改定でいっそう経営が困難になっています。特に基本報酬が減額となった訪問介護では、この1年間で倒産や廃業が急増し、訪問介護事業所のない自治体が107に増えるなど、深刻な基盤崩壊が進んでいます。昨年党区議団が行った区内の訪問介護事業所の調査でも、経営がいっそう苦しくなった、人材不足で新たなサービス提供が困難になっているなどの声が共通して寄せられました。このまま事態を放置すれば、訪問介護を受けられない高齢者が生まれてしまいます。
 新潟県村上市では、基本報酬の引き下げによる減収分を支援する事業と、ガソリン代高騰への対応を実施し、事業者から歓迎されています。世田谷区は区独自の訪問介護事業所支援を行っています。東京都は、介護事業者に対し、介護職員就業支援事業として、職員を採用した場合の人件費の一部や募集の経費、電動アシスト自転車やEV車の購入費、職員の熱中症対策や研修費などの支援策を実施しています。当区でも、介護事業所の実態調査を行うとともに、職員の賃上げをはじめ、東京都の支援への上乗せや、支援を受けられない事業者に独自支援を行うべきと考えますが、区長の見解を伺います。

低所得者の介護保険料、利用料の軽減
 区は、介護保険の負担の重い低所得者に対し、保険料の減額や利用料を軽減する区独自の施策を行っています。利用できるのは、単身者の場合、年収が保険料減額は120万円、利用料は持ち家で200万円、借家で240万円という基準収入額以下で、預貯金も基準額以下の人であるため、令和5年度で保険料は54人、利用料は73人しか利用しておらず、基準収入額は2007年以降18年間改定されていません。
 この間、国は低所得者の負担の重さを考慮し、低所得者の保険料を半額にする措置を取りましたが、昨年度の保険料は値上げされました。利用料の軽減は低所得者の介護利用を保障する重要な施策であり、実質年金は約1割も減っているだけに、拡充が強く求められています。
 区独自施策の介護保険料減額と利用者負担額助成の基準収入額を引き上げ、預貯金の基準額は廃止すべきです。また、より要件の厳しい介護保険料減額を受けている方は、利用者負担額助成についても申請をしたものとして受けられるよう改善すべきです。合わせて区長の見解を伺います。

③特養ホームの増設
 特養ホームの増設は、現在の第9期計画中に神宮前3丁目の民間施設に60床、せせらぎのケアハウスからの転用による増床が予定されているのみで、けやきの苑西原の改修に伴う仮入所施設として活用されることを考えると、実質的な増設はないに等しくなり、毎年200人以上だった新たな入所者の受け入れが制約され、待機期間が長期化することが想定されます。
 区は、来年度から開始が予定されているけやきの苑西原の改修中の代替施設をどう考えているのか伺います。また、それにより年間の入所者数は、何人程度減少することを見込んでいるのか、伺います。
 東京都は、民間特養ホームの改修時に利用できる仮施設を持っていると聞いています。これを区立特養でも利用できるよう、東京都に申し入れるべきと考えます。また、今年度から策定準備が開始される第10期の介護保険事業計画の中で、幡ヶ谷社教館の建替え後の複合施設や、代々木2,3丁目の国有地などに増設できるよう準備を進めるべきと考えますが、あわせて区長の見解を伺います。

④補聴器購入費助成の拡充
 難聴高齢者のための補聴器購入費助成は、23区の全てで実施され、渋谷区では昨年度から4万5千円まで助成されるようになりました。しかし、区が紹介している販売事業者に聞くと、薦められるのは10万円をこえる製品で、区の助成額を受けても5万円以上の自己負担が生じることになります。
 東京都は、区市町村の助成額の半額を負担しますが、昨年度から購入費の上限を14万4900円に引き上げました。このため、港区をはじめ、千代田区、台東区、葛飾区など、助成額を14万4900円とする自治体が増えています。
 当区でも、補聴器購入費助成の上限額を14万4900円に引き上げ、必要とする高齢者が自己負担の心配なく購入できるようにすべきです。また、補聴器の調整についても、無料で受けられるようにすべきと考えますが、区長の見解を伺います。

⑤削減した敬老金の復活
 敬老祝い金の削減に、「楽しみにしていた敬老金が届かず見捨てられた感じがする」「区は高齢者の気持ちを理解していない」など、怨嗟の声が上がっています。
 高齢者の長寿を祝うとともに、くらしの様子を把握して孤立させないためにも、元気な方には窓口での給付も取り入れるなどして民生委員の負担を軽減しつつ、毎年の敬老金支給を復活すべきと考えますが、区長の見解を伺います。

6,住宅政策について
 23区の新築マンションの平均価格が2年連続して1億円を超え、賃貸物件の平均賃料もシングル向けで11万6千円、ファミリー向けで23万円になり、20~24歳の給与に対する負担率は33%になっています。渋谷区は、港区に次いで高いため、若者が結婚や契約更新を機に区外に転居したり、勤労者が普通に働くだけでは区内の住宅が取得できず、年金生活になっても働かなければ区内に住めない方々が後を絶ちません。
 住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台です。安心してくらせる住まいを誰もが確保できるようにすることは政治の責任と考えますが、区長の見解を伺います。
 安心して住み続けられる渋谷にするために、公営住宅の増設と家賃補助の抜本的拡充を住宅政策の中心に据えるべきです。
 昨年度の区営住宅の応募倍率は、単身者が19倍で世帯向けは募集がなく、都営住宅はさらに高くなっています。区は、区営住宅の増設を拒否していますが、渋谷区では低所得者むけの住宅は不足しており、さらなる増設が必要です。今年度、2か所の借上げ高齢者住宅を廃止し、低所得者の住宅確保を自己責任にする区長の姿勢は許せません。
 区営住宅の増設計画を立て、借上げ高齢者住宅を復活・増設するとともに、東京都に対し、26年間もゼロとなっている都営住宅の新規建設の再開と、普通に働く勤労者が住み続けられる公共住宅の提供を求めるべきです。区長の見解を伺います。

 渋谷区の家賃補助制度は、この間次々と縮小され、高齢者、障がい者、ひとり親家庭の住み替え家賃補助がわずかに残っているだけとなっています。日本共産党都議団は、当面3年間、月1万円の家賃補助を、100万世帯規模で行い、子育て世帯、若者、学生、高齢者、シングル女性をはじめ、家賃値上がりで苦しんでいる幅広い世帯を支援するとともに、国の制度として、低所得者や家賃負担が重い世帯、学生への家賃補助制度をつくることを提案しています。
 区長は国と都に対し、家賃補助制度を作るよう求めるべきです。また、区として、住み替え家賃補助の上限額を引き上げ、若者やファミリー世帯むけの家賃補助制度を実施すべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 渋谷区は、分譲マンションの先駆けとなった区だけに、老朽マンションが多く存在しています。区の住宅政策に老朽マンションの再生・建替え支援を位置づけ促進するため。区の支援のあり方について検討を行うべきです。区長の見解を伺います。

以上

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