2025年第二回定例会 一般質問
6/5五十嵐千代子
私は日本共産党渋谷区議団として区長に質問します。
1 ジェンダー平等について
(1)選択的夫婦別姓と同性婚について
選択的夫婦別姓制度については、昨日から3党提案の民法改正案の質疑が始まり今国会での成立を求める声が日増しに増え、提出された「選択的夫婦別姓を直ちに導入することを求める請願署名」の紹介議員も116人に広がりました。名前は人権です。結婚して同じ姓になりたいという人も、別姓がいい人もいます。大切なのは選ぶことができる自由が保障されることです。しかし実際は結婚後どちらか一方の姓を選ぶことを法律で定めているために、女性の9割以上が姓を変え、「存在を否定されているようだ」「旧姓の時に挙げた成果が姓を変えたために認められない」などの困難を訴えるとともに、一般社団法人「あすには」の調査では、推計58万7000人の事実婚の人たちが法律婚を待っています。
また同性婚を国に求めていた裁判は、五つの高裁すべてが同性婚を認めないことは憲法の「法の下の平等」「個人の尊厳と両性の平等」等に反するとして同性婚を認めました。
渋谷区は昨年、すべての人権を保障するための「渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例」を制定しました。
区長は同性婚と選択的夫婦別姓が認められず苦しむ人たちがいる実態についてどのように受け止めているのか伺います。また一刻も早く選択的夫婦別姓と、性別にとらわれない「婚姻の平等」の法制化に進むよう国に求める必要があると考えます。区長の所見を伺います。
(2)パートナーシップ制度の改善について
パートナーシップ制度にファミリーシップ制度を導入することについて、この間わが党の質問に区長は、検討するとの答弁をしていましたが、どのように検討がされたのか、早急にファミリーシップ制度を導入すべきと考えます。区長の所見を伺います。
また、都のパートナーシップ宣誓制度受理証明書等により利用可能となる施策は、渋谷区は3事業しかありませんが、他の自治体では区営住宅や特養ホーム等の入居等をはじめ・子育て・福祉・医療・その他の分野で利用でき、北区では37事業に利用されています。当区でも利用できる施策をふやすべきです。区長に伺います。
(3)すべての公共施設に生理用品の設置を
「生理の貧困」に係る取り組みを実施している自治体は、内閣府が2月に発表した調査によると926自治体に広がっています。
庁舎トイレに設置している自治体は東京都・群馬県・横浜市・熊本市など121自治体に上っています。渋谷区の庁舎トイレ等への配布を求めた私の質問に区長は検討すると答弁されましたが設置されていません。なぜ設置されないのか伺います。
学校トイレへの設置も東京都が全都立高校に設置しているのをはじめ全小中学校に設置している自治体は295市区町村となっていますが、渋谷区では一部の学校にしか設置していません。また、トイレに設置していない学校は設置している学校の半分しか利用されていません。性や生殖に対する必要な医療やケアが受けられることは「人権」として保障されなければなりません。必要な子どもたちがいつでも安心して利用できるようにすべきです。「子どもの人権を守る」立場から全小中学校のトイレに設置できるよう支援すべきと考えます。区長に伺います。
2 保育について
(1)保育士配置基準について
多くの保育士の願いは、一人一人の子どもに寄り添った保育をすることです。そのためにも保育士配置基準を改善することが求められています。保育士の配置基準の見直しは、区内の子どもたちの保育の質にかかわる重大な問題で国と区が責任をもって改善すべきです。1歳児の保育士配置基準について国は基準を見直すのではなく、3つの要件をクリアした施設だけに加算措置するため、対象となる保育施設は、全国で4割以下しかありません。当区では対象とならない保育施設は何園か伺います。対象にならない保育施設については区独自に助成を実施し、5:1の保育士配置ができるようにすべきです。区長に伺います。
急激な少子化で4・5歳児の定員に空きが増えています。区立・私立ともに4・5歳児の保育士配置を区独自に20:1に引き上げ、私立保育園にはそのための助成を行うべきです。区長に伺います。
(2)保育士処遇改善について
最新の保育白書によると昨年の保育士の年代別賃金は、経験が給料に反映されず年齢が上がるほど賃金が上がらず、30年前と比べ40代は30万円、50代は100万円も引き下げられています。
早急に国に対し保育専門職にふさわしく全産業並みに賃金を引き上げるとともに公定価格に経験年数を反映するよう国に求めるべきです。区長に伺います。
江戸川区や大田区は家賃補助に加えて独自の賃金助成をしています。渋谷区も独自の賃金引き上げを実施するとともに、現在45%の保育士しか利用していない家賃補助についても区外に住む保育士も対象にすべきです。区長に伺います。
3 熱中症対策について
(1)エアコン購入費と電気代の助成について
昨年都内では過去最高の7993人が緊急搬送され、そのうち55.4%が高齢者でした。江東区は高齢者世帯と生活保護世帯のエアコンの有無について調査し、使用できるエアコンがない生活保護と住民税非課税の高齢者世帯に対し10万円を上限にエアコン購入費助成を行います。
渋谷区の生活保護世帯でエアコンが利用できない世帯はどれだけあるのか伺います。また、高齢者世帯のエアコンの有無について調査し、利用できるエアコンがない高齢者や一人親世帯など低所得世帯と生活保護世帯への購入費助成を実施するとともに、電気代助成も合わせて実施すべきです。区長に伺います。
(2)液晶温度計の配布について
今年は5月に31度の日があり熱中症で26人が緊急搬送されました。高齢者自身が熱中症を予防できることが大切です。昨年配布した液晶温度計は、計測結果が分かりにくい、わかりやすいものに変えてほしいという声が寄せられています。高齢者にもわかりやすい熱中症計を地域包括支援センターなどで無料配布すべきと考えますが区長に伺います。
4 ハチ公バスの運行について
(1)デマンド交通の利用方法について
昨年12月にハチ公バスの春の小川(初台・本町・笹塚)ルートと、丘を越えて(上原)ルートを運行している京王バスから、運転手不足等でこれまで通りの運行が厳しいと申し出がありました。区は来年度以降の運行縮小をせざるを得なくなった場合を想定し、高齢者の生活をサポートするデマンド交通(相乗りタクシー)の実証実験の予算1億3100万円余を今議会に提案しています。
しかし、デマンド交通では、スマホでしか予約できず、支払いもキャッシュレスのみで現金は使えません。また、料金は通常タクシーの5割から6割程度の固定料金が、1人1人にに発生するため、3人以上では普通のタクシーに乗ったほうが安くなる仕組みで、これではハチ公バスを縮小する代わりにはなりません。
区は高齢者の内どれくらいの人がスマホとキャッシュレス決済を利用していると想定しているのか伺います。
(2)ハチ公バスの運行について
渋谷区がハチ公バスの運行を実施したのは、高齢社会を迎え、民間バスの路線廃止や、もともと公共交通がない地域の住民からコミュニティバスを走らせてほしいとの長年の要望がシニアクラブや女性団体等から出され、高齢者や障がい者などの足となる福祉バスとしてスタートし、他の自治体の先駆けとなってきたものです。
杉並区はこれまで通りの運行を継続するための協議を京王バスと行っていると聞きました。渋谷区も来年度以降の運行縮小や、運賃の値上げをするのではなく、まずはこれまで通りの運行を継続できるよう京王と協議し、必要な助成を増額すべきです。あわせて港区のようにシルバーパスも利用できるよう改善を図るべきです。区長の所見を伺います。
5 初台地区公共施設整備について(区長)
初台区民施設(出張所・区民会館・青年館)と敬老館については、多くの住民の皆さんから早期建て替えが求められていました。渋谷区は25年度に基本計画を策定するためにパブリックコメントや地域説明会を開き住民の意見を聞いてきました。
区が提案した初台2丁目18番地の児童遊園地(通称稲荷公園)を区民施設と敬老館の建て替え用地として利用し、最終的に敬老館を廃止し、機能を移設して地域交流施設とする案に対し、子どもたちを含む多くの住民から「稲荷公園は子供から高齢者まで利用している」「子ども一人でも安心して遊ばせることができる稲荷公園をなくさないでほしい」「敬老館跡地は面積が狭い、車の通行の多い商店街の道路を渡るので交通事故の危険がある」「児童遊園地を使用しないで区民施設と敬老館の現在地で建て替えてほしい」などの声が出されています。
敬老館は廃止せず現在地で建て替え、一般区民も利用できるスペースも確保すべきです。また稲荷公園は現在地で継続できるよう、区民の納得と合意の得られる基本計画に見直すべきと考えます。区長の所見を伺います。