●議案第51号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その4)請負契約
ただいま議題となりました議案第51号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その4)請負契約について、日本共産党区議団を代表して、反対の討論を行います。
本契約は、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その4)について、加勢造園株式会社と4億5738万円で工事請負契約を締結しようとするもので、相生橋から美寿々橋に至る幡ヶ谷緑道と西原緑道の3200㎡を対象にしています。玉川上水旧水路緑道再整備計画については、総額120億円もの税金を投入し、農園などを整備、指定管理者による管理まで検討しています。
反対理由の第1は、テラゾ材の使用や農園整備など、住民の反対の声を無視し、次々と工事を進めることは、地方自治の本旨である住民自治を否定するもので許されないからです。
緑道整備計画が明らかになるなかで、住民からはテラゾの舗装材やベンチが高すぎる、農園はつくらないでほしいなど、多くの要望や反対の声が上がっており、今年2月には、計画の見直しを求める区長への署名が3027人分提出されました。
区長は、住民に整備後の笹塚、大山緑道を見てもらう、住民の声を聞くと言っていました。しかし工事完了後に行われたササハタハツ会議では、テラゾは高額で舗装材として適していないと参加者の圧倒的多数が反対意見を述べたのに対して、このまま進めていくと冷たく切り捨てました。会場では、これでは「税金を払いたくない」との声まであがりました。
区長は、「賛成している人もいる」などと契約を正当化していますが、そうであれば住民アンケートを実施して、区民の声を聞くべきです。それまで工事契約を進めることは許されません。
今回の玉川上水旧水路緑道再整備工事(その4)幡ヶ谷・西原緑道の工事契約の提案は、主人公である住民の声を切り捨て、憲法で保障された地方自治の本旨である住民自治を否定する暴挙であり、絶対に認められません。
第2の理由は、園路舗装材やベンチ、水飲みなどに使用するテラゾ材の選定が恣意的であり、これに反対する住民の声を聞かないことです。
区が本契約でも使用するテラゾ材については、なにより高額であることや環境負荷、耐久性など様々な点から住民が反対しており、その選定過程について明らかにするよう求めてきました。
今回の契約でのテラゾ材は園路、ベンチなどに使用されています。園路舗装材は1㎡13万9000円で4400円のインターロッキングの31.6倍です。テラゾ舗装は642㎡8923万8000円、工事費を含めると総額1億8423万8000円と契約金額の4分の1を占めています。
テラゾのベンチは、市販の高額なベンチより10~13倍の1基244万円を5基で1220万円。車止め(ボガード)は、市販の約5倍の1基30万8000円を11基、合計338万8000円です。同じく水飲みは、テラゾ製119万3500円ですが、市販の平均的な50万円前後の2倍以上。今回の契約のテラゾ製品の総額は、約2億102万円に及びます。
仮に、テラゾを使わず一般的な市販価格のものを採用した整備に比べて2億円近く高額となります。
しかも、巨額な税金投入になることから、住民や議会は、テラゾの選定根拠について明らかにするよう求めてきました。しかし、今定例会の総務委員会で示されたテラゾの選定理由は、これまで示してきた資料の耐久性などの客観的な点数とは無関係に、「緑道のコンセプト、整備方針をもとに園路にふさわしい材料を選んだ」とのことでした。結局、テラゾの選定は、区長が2.6kmの人造大理石の舗道を地域のシンボルにするために選んだものです。経済性を無視して高額なテラゾを選び、区民の見直しを求める声を切り捨てる姿勢は、到底認められません。
第3の理由は、住民が反対している農園を整備し、町会に責任を押し付けていることです。
さらに、幡ヶ谷緑道と西原緑道にそれぞれ282㎡の「花壇」と西原緑道には91㎡の農園を整備しようとしていることも重大です。農園について、沿道住民から「獣害」や「管理責任」など多数の不安や反対の声が出されるなかで、住民同士の話し合いで、農園をやりたいという人も緑道内でなくてもよいとの方向で一致していました。こうした経過も無視し、前回の幡ヶ谷緑道の契約でも果樹の森林農園を整備したことに、さらに近隣住民から批判が上がっていました。こうした近隣住民の声を無視して、さらに今回農園を整備することは、住民の声を二重三重に踏みにじるものであり、認められません。
今回、農園について、「育てる作物は食用植物に限らない 地域(町会)と相談して決める」、花壇については「食用作物を作る際は地域(町会)と相談して決める」としていますが、これでは公園整備の区の責任を放棄するものです。反対している沿道住民もいる町会と「相談」して決めるとなれば、町会の中に分断を持ち込むことになります。農園や花壇を押し付けることは絶対に許されません。
第4の理由は、玉川上水旧水路緑道再整備事業に120億円もの税金を投入することは、物価高騰に苦しむ区民の理解を得られるものではないからです。
実質賃金は3年連続マイナス、実質年金給付も減り続け、原材料の値上げは価格に転嫁できない。いま区民のくらしは、物価高騰によってかつてなく困難になっています。政治の責任は、困っている区民を支援することです。ところが、今定例会の補正予算でもこうした区民に行き届く独自の物価高騰対策を実施しないばかりか、今年7月から公共施設の使用料まで大幅に値上げしようとしています。
困っている区民の支援に背を向ける一方で、今回の契約で4億5738万円、これまで既に9億660万円が使われています。緑道整備計画の全体では120億円もの税金を投入することに、区民の理解は得られません。実際、区民からそんな金があるなら「商店街の街路灯の電気代を全額負担して」などの怒りの声が上がっています。また、長年緑道に親しんできた区民からは、「今の緑道の良さを50年、100年残して。そのために適切に管理するのが一番」との声も上がっています。
住民の多数が反対し、物価高騰に苦しむ区民の願いに背を向けて、巨額の税金を投入する本契約は認められません。玉川上水旧水路緑道再整備計画は撤回して、住民の意見を尊重して、今の緑道を生かした維持管理を行うべきです。
以上、反対討論とします。