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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

牛尾まさみ区議団長は、9月19日の第3回区議会定例会の本会議で、長谷部区長に対して、日本共産党区議団として一般質問をおこないました。

2025年第3回定例会 一般質問

2025.9.19 牛尾

 私は日本共産党渋谷区議団として区長に質問します。

 

1、生活保護について

(1)生活扶助基準の引き上げについて

 安倍政権が強行した、3年間で最大10%の史上最大の生活保護費削減に対し、全国で1万371世帯が不服審査請求し、1027人の原告が31の訴訟を提起して、「いのちのとりで裁判」がたたかわれました。6月27日、最高裁は、生活保護費の大幅な引き下げは憲法25条の生存権に反するとした原告の主張を認め、保護基準引き下げを「違法」とする統一判断を示しました。この判決は、憲法25条をめぐる裁判で初めて原告が勝利した判決であり、生活保護はもとより、今後、社会保障制度を守り前進させる礎にもなる画期的な意義をもつものです。
 区長はこれまで、裁判所の判断は様々であり動向を注視するとしてきましたが、最高裁の判断をどのように受け止めているのか、認識を伺います。
 国は判決を受けて2カ月以上たった今も、原告に謝罪も補償も行っておらず、専門家に委ねる無責任な姿勢は許されません。
 区内には、2千人を超える生活保護受給者がおり、違法と断罪された減額の被害を受けています。その総額はいくらになるのか、伺います。区長は国に対し、速やかに原告に謝罪し、基準額を元に戻すとともに、減額分の補償を求めるべきです。また、保護費の支給額を決定してきた者として、区内の受給者に対し、廃止した夏冬の見舞金を復活し、さらに法外援護を拡充して救済をはかるべきです。見解を伺います。

 

(2)住宅扶助の特別基準の適用について

 区は、生活保護受給の際に、住宅扶助基準の単身者で5万3700円、二人世帯で6万9800円を超える家賃の住宅に住んでいる場合、基準内の物件に転居することを求めています。しかし、家賃の高い渋谷区では、生活保護基準以内の物件探しは困難を極めます。区は、不動産事業者の協力を得て転居物件を紹介していますが、依頼したことのある方に聞くと、風呂なしは当たり前、場所は不便なところで、隣の部屋と入り口の扉がぶつかる、押し入れの床はぶかぶか、など、居住環境は劣悪です。
 私が相談を受けた女性は、8万円のマンションに住んでいましたが、病気で仕事ができず収入が途絶えたため、生活保護を申請しましたが、基準以内の物件が見つからず、転居先の大家さんに家賃をまけてもらって、ようやく住まいを確保することができました。
 住宅扶助については、渋谷区長の判断でできる特別基準の適用をすべきです。見解を伺います。

 

 

2、医療、介護、高齢者福祉について

(1)医療の負担増と病床削減について

 国が進める社会保障費の削減で、国民のいのちと健康を脅かす事態が進行しています。
 自民党、公明党、日本維新の会は、現役世代の社会保険料負担が高いことへの不満を逆手にとって、国の医療費を4兆円削減するとして、「75歳以上の窓口3割負担の拡大」「病院11万床削減」に加え、市販されている医薬品と類似した薬(OTC類似薬)を保険から外すことで合意しました。今年の骨太方針には、この合意の内容が盛り込まれました。
 OTC類似薬を保険外にすれば、風邪や花粉症などの薬が20~70倍にもなり、「受診控えで亡くなる方もでてくる」「全額自費なら生活ができなくなる」など、強い反対の声が上がっています。子ども医療費が無料なのに、アトピーや風邪薬は全額自己負担になってしまいます。患者負担増には、日本医師会や薬剤師会も強く反対しています。
 また、石破政権が国民の強い反対を受けて凍結した、高額療養費の負担限度額の引き上げも、再び狙われています。
 区長は、区民の医療を守るために、高齢者の3割負担の拡大、OTC類似薬の保険外し、高額療養費の上限額引き上げなどの患者負担増と病床削減に反対し、社会保障費を削減から拡充に転換するよう国に求めるべきです。見解を伺います。

 

(2)地域医療の崩壊を防ぐ対策について

 3月に日本医師会と6つの病院団体が合同で記者会見を開き、「地域医療は崩壊寸前」と警鐘を鳴らしましたが、今年度前半も倒産が35件と過去最高だった昨年度を上回る規模で進んでいます。東京でも、民間病院の7割が赤字となる危機的な事態が進んでいます。
 日本共産党区議団が行った区内の病院との懇談では、24年度は前年度に比べ食材費で1000万円、光熱費で500万円の支出増となり、加えて控除対象外の消費税が5千万円、固定資産税が4500万円などの重い負担で、深刻な経営実態が紹介されました。
 こうした中で東京都が今年度行った、入院患者1人につき1日580円の入院基本料や、宿舎借り上げ事業は大変ありがたいものの赤字解消にはほど遠く、さらに支援を拡大してほしいと切実に訴えられました。
 区として、区内の医療機関が安定し医療を提供できるよう、国に今期中の診療報酬の引き上げを求め、都には医療機関への支援の継続・拡充を求めるとともに、区としても、医師会をはじめ区内の医療機関の要望を聞くための懇談を行うとともに、事務職員など東京都の補助対象にならない医療従事者の手当支給などの支援を行うべきです。区長に伺います。

 

(3)介護―特養ホームについて

 特養ホームの入所希望者は、今年4月1日現在248人で待機者解消は急務です。前定例会で、区長は2027年1月からけやきの苑・西原の改修に着工するが、同年11月頃には、神宮前3丁目国有地への60床の民間特養が開設予定なので、代替施設を確保する考えはないと答弁しましたが、これでは、入所待ちの方々の待機期間を延ばすことにつながります。
 前定例会で私は、民間特養の建て替えなどの際に東京都が提供する代替施設を区立でも利用できるよう申し入れることを提案しました。改めて東京都に確認すると、現在、板橋区大山町に建設中の120床と90床の施設が来年1月に完成予定で、区立施設の建替えなどでも利用できると聞きました。
 けやきの苑・西原の大規模改修にあたっては、板橋区にある東京都の施設を活用することを申し入れ、待機者の特養入所を遅らせることなく、これまで通り受け入れられるようにすべきです。
 また、今年度から策定準備が開始される第10期介護保険事業計画の中では、待機者ゼロにむけて、幡ヶ谷社教館建替え後の複合施設や、代々木2,3丁目の国有地などに増設できるようにすべきです。区長に伺います。

 

(4)介護事業者支援、介護従事者処遇改善について

 昨年の介護報酬改定で国が訪問介護の基本報酬を引き下げたため、事業所の撤退が相次ぎ、今年6月末時点の訪問介護事業所のない自治体は、前年に比べ18増え115町村となりました。残り1か所と合わせると全国の自治体の2割を超え、介護基盤の崩壊が進んでいます。
 訪問介護事業所の困難は深刻です。区内の事業所で働くヘルパーさんからは、この1年間に職員が常勤者も非常勤も減り、募集しても新しい職員は確保できず、新たな高齢者からの依頼はほとんど受け入れることができないと聞きました。非常勤の時給は何年も変わっておらず、家事援助サービスが1300円のままで、「これならばスーパーの方が高いと言われてしまう」と話されていました。
 区内でも、この1年間に6か所の訪問介護事業所が閉鎖されています。区はこれらの事業所の閉鎖理由をどう把握しているのか区長に伺います。
 岩手県宮古市では実態調査で、24年度は多数の事業所が赤字の見込みと把握し、訪問介護の基本報酬部分の引き下げ率にあたる2.4%に介護報酬全体の引き上げ分の0.61%を加えた金額を昨年度の改定時にさかのぼって給付し、次期介護報酬改定までの3年間適用すると決めました。
 訪問介護の報酬引き下げや赤字の助成は、品川区や新潟県村上市でもすでに実施しています。
 区がこの秋に第10期計画の策定にあたって実施する介護事業所調査の中で、事業所の経営のリアルな実態と職員の賃金などの処遇をはじめ、きめ細かに現状を把握すべきです。
 また、介護事業所の経営の安定をはかるために、介護報酬の引き下げ分や赤字分を助成するとともに、介護従事者の処遇改善に向けた区独自の支援を行うべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 

(5)見守り対策の拡充について

 夏の猛暑が年々過酷さを増す中で、高齢者の見守りの重要性が増しています。区は、昨年度からICTを活用した見守り機器の普及を始めましたが、見守り施策の基本は、人との対面による実態把握です。
 地域包括支援センターが昨年度、11月までの8カ月に行なった総訪問件数は延べ1万3千件で、掌握しきれていない高齢者も少なくないと伺いました。敬老祝い金についての民生委員アンケートでも「援助が必要な方が増える91~94歳の方への何らかの対応が必要」との意見が寄せられています。港区で実施している専門職員が高齢者を巡回訪問する事業なども参考にして、地域包括支援センターの職員を増やし、75歳以上の在宅高齢者の見守りができるようにすべきです。区長に伺います。

 

(6)敬老祝い金贈呈事業について

 敬老金の支給実績は、一昨年の2万3964人から昨年度8791人と人数で37%、決算額で2億4千万円から1億1500万円へ48%に激減しました。区は、高齢者の声を聞くことはせずに、民生委員へのアンケート調査を行いましたが、そこでも、「ご夫婦の年齢が違い一方に贈呈できない場合には不平不満があった」など、高齢者の理解は得られていません。
 敬老金贈呈事業は、長寿を祝う制度にふさわしく、75歳以上の全高齢者への支給を復活し、贈呈方法については、地域包括支援センターでの手渡しなども取り入れて民生委員の負担軽減を図るべきです。区長に伺います。

 

(7)救急通報システムの利用料を無料に

 救急通報システム利用料の無償化を求める質問に対し、区長は「応益負担」を理由に拒否してきました。しかし、高齢者の不安を軽減し、安全安心なくらしの保障は、自助努力ではなく区の役割です。緊急時に人の助けを求める救急通報システムの利用料は無償にすべきです。区長に伺います。

 

(8)シルバーパスについて

 東京都は、今年度から、所得135万円以上の高齢者のシルバーパスの負担額を1万2千円に軽減しました。これを受けて荒川区では、所得に関わらずシルバーパスが1000円で利用できる助成を開始しました。当区でも同様の助成を行うべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 

(9)補聴器購入費助成の拡充について

 補聴器購入費助成制度は、高齢者の日常生活を支援し、認知症対策としても効果が認められた福祉施策であり、必要な人が所得にかかわらず補聴器を使えるようにすることが求められます。区長は助成額の拡充を検討すると答えましたが、来年度から増額すべきです。見解を伺います。

 

(10)高齢者の熱中症対策について

 今年の夏は、猛暑日が観測史上最高となり、最も暑い夏となりました。必要な時にいつでもエアコンを使用できるようにすることは、熱中症対策として欠かせません。
 東京都は65歳以上の高齢者と障がい者世帯の購入に8万円の助成を開始しましたが、省エネ性能の高いエアコン購入が条件なので、設置費を含めると数万円から十数万円の自己負担が生じ、低所得者は利用できません。葛飾区が10万6千円、板橋、江東区が10万円上限など、区独自の助成を実施している9区では、都の助成と併用して、購入や買い替えが容易になります。都の助成開始を機に、北区でも非課税世帯7万円、課税世帯4万円の助成を開始しました。
 渋谷区では、生活保護世帯や低所得世帯に対して、社会福祉協議会が貸付けがありますが、返済が難しく、今年度の利用実績は10件未満です。いまこそ、当区でもエアコン設置費助成を実施し、低所得世帯でも設置できるようにすべきです。また、電気代負担の心配からエアコンの使用を控えることが多いだけに、エアコンを安心して使えるよう、電気代補助を創設すべきです。区長に伺います。

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