●議案第62号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その5)請負契約 反対討論
ただいま議題となりました議案第62号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その5)請負契約について、日本共産党区議団を代表して、反対の討論を行います。
本契約は、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その5)について、株式会社テラヤマ東京支店と9億6800万円で工事請負契約を締結しようとするもので、初台緑道の代右衛門橋から改正橋に至る6450㎡を対象にしています。玉川上水旧水路緑道再整備計画については、総額120億円もの税金を投入し、農園などを整備、指定管理者によって民間企業に管理させようとしています。
反対理由の第1は、圧倒的多数の近隣住民の反対の声を無視し、次々と工事を進めることは、憲法と地方自治法で保障された住民自治を否定するもので許されないからです。
緑道整備計画については、すでに笹塚・大山緑道から幡ヶ谷緑道に至る4件の13億6400万円の工事契約が締結され、工事が始まっています。
一方、緑道沿道の住民は、この計画についての反対の声を上げ続けています。今定例会にも「玉川上水旧緑道整備の工事一時中断と再検討を求める請願」が提出されているように、繰り返し区議会への請願にとりくみ、3027人分の署名も区長に提出しました。笹塚・大山緑道の工事が終わった後に開かれたササハタハツ会議でも、参加者からテラゾは高額で舗装材として適していないと参加者の圧倒的多数が反対意見を述べたのに対して、区長はこのまま進めていくと冷たく切り捨てました。区長が「賛成している人もいる」といって、住民アンケートも行わず、計画を強行していることから、日本共産党区議団は沿道住民へのアンケートを実施しました。中間集約では、「工事を中止し、住民の声を聞く」と答えた人は89.3%に達しており、圧倒的多数が反対していることは明らかです。アンケートには、「なぜ反対の声があるのに無視するのか」、「一番大切な近くの人たちの意見を取り入れてほしい。毎日生活しているのは私達です」との厳しい声がたくさん寄せられています。
こうした9割もの反対の声を切り捨てて、一部の「賛成」の声を理由に、区長が進めたい再整備を押し付けることは、地方自治の本旨を踏みにじる暴挙であり言語道断です。
第2の理由は、園路舗装材やベンチ、水飲みなどに使用するテラゾ材があまりに高額であり、これに反対する住民の声を聞かないことです。
本契約で使用されているテラゾ材は、舗装材で平米単価15万6000円とインターロッキングの7.8倍、カラーコンクリートの56倍も高額で総額2億5334万円です。ベンチの単価は半円型323万円、L型260万円で12基の総額は3372万円、車止めの単価は33万3300円で49基の総額1633万1700円、手洗い1基127万8200円など、テラゾ材を使用した資材だけで総額3億340万円余で施設整備工事費の35%を超える異常さです。舗装材にインターロッキング、他は一般的な材料を使った場合と比較して、約2億6千万円も高額となります。
アンケートでは、「高額な材料費、もっと歩道に合ったいい材料がある」、「無機質なテラテラした赤い道、緑にはマッチしない。雨が降ったら滑りそうで、年寄りは歩きたくない」などの声が寄せられ、87.5%が反対しています。導入のメリットもなく、単に「意匠性」に優れているというだけで、住民が反対しているテラゾ材を使用することは認められません。
第3の理由は、樹木を大量に伐採し、公園に農園を整備し、指定管理者に管理させることは、都市公園に対する区の責任を放棄するからです。
初台緑道のうち410㎡は客土という黒土を入れ、「はぐくむ広場」と名付けて、遊び場、花壇、農園を整備する計画です。農園については、近隣住民から強い反対の声が寄せられ、アンケートでは91%が「必要ない」と答えており、「限られた区画に、限られた人のみが利用するのは不公平」、「継続的に運営できないことが目に見えている」など、だれもが24時間自由に憩える都市公園を一部の利用者に占有させることへの批判や管理に対する不安、獣害などの生活環境の悪化などを危惧しています。農園をつくらないでとの声を無視することは許されません。
また都市環境委員会では、緑道全体を指定管理者に管理させると報告されましたが、民間の営利企業に管理させれば、都市公園がカフェやキッチンカー、イベントなどによる営利追及の場にされかねません。都市公園に対する区の管理責任を放棄することは認められません。
さらに、この工事契約では、現在の中木388本、低木1086本のうち、中木319本、低木750本と7割から8割の樹木を除却します。除却した樹木は、他に移植の当てがあるもの以外は廃棄するとのことです。これは、現在の樹木をできるだけ残してほしいとの住民の願いを踏みにじり、長年育んできた生態系をも破壊するもので許されません。
玉川上水・内藤新宿分水散歩道の整備に参加された東京大学名誉教授の石川幹子さんは、現在の緑道計画について、「地域が育んできた自然資源や文化を尊重する姿勢が著しく希薄」しており、「生物多様性国家戦略2023-2030」をまったく顧みず、逆行していると指摘しています。
また、現在初台緑道に整備されている自転車駐輪場、バイクの駐車場の2024年度の稼働率はどちらも100%を超えているのに、駐輪場は60台分削減、バイク駐車場はなくす計画です。住民に相談もなく、不利益となる計画を提案していること自体許されないことです。
第4の理由は、玉川上水旧水路緑道再整備事業に120億円もの税金を投入することは、物価高騰に苦しむ区民の理解を得られないからです。
実質賃金は8カ月連続マイナス、実質年金給付も減り続け、中小企業の倒産は12年ぶりの高水準です。いま区民のくらしは、物価高騰によってかつてなく困難になっています。
困っている区民の支援に背を向ける一方で、緑道再整備には湯水のように税金を投入しています。この契約に(その6)を加えると13億9645万円を支出しようとしており、緑道整備計画の全体では120億円もの税金を投入することに、区民の理解は得られません。長年緑道に親しんできた区民からは、「今の緑道の良さを50年、100年残して。そのために適切に管理するのが一番」との声も上がっています。
圧倒的多数の近隣住民の反対を無視して、区長がトップダウンで進める緑道再整備に、物価高騰に苦しむ区民の税金を投入する本契約は認められません。玉川上水旧水路緑道再整備計画は撤回して、住民の意見を尊重して、今の緑道を生かした維持管理を行うべきです。
以上、反対討論とします。