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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

田中まさや幹事長は12月10日の最終本会議で、「玉川上水旧水路緑道再整備工事(その7)請負契約」について、反対討論をおこないました。

⚫︎議案第77号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その7)請負契約 反対討論

 

 ただいま議題となりました議案第77号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その7)請負契約について、日本共産党区議団を代表して、反対の討論を行います。

 

 本契約は、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その7)について、株式会社稲治造園東京支社と7億2942万5081円で工事請負契約を締結しようとするもので、初台緑道の新代々幡橋から代右衛門橋、改正橋から伊東小橋、伊東小橋から山手通りに至る5770㎡を対象にしています。

 玉川上水旧水路緑道再整備計画については、総額120億円もの税金を投入し、農園などを整備、指定管理者によって民間企業に管理させるものです。

 

反対理由の第1は、近隣住民の合意もなく大幅な工事内容の変更もあり得るにもかかわらず、契約を提案したことは、住民と議会を軽視するものであり認められないからです。

 改正橋から伊東小橋区間のトイレの場所については、現在の通り沿いから甲州街道側のマンションの前に移動する計画のため、住民は臭気などで住環境が悪化するとして場所の変更を求めており、区との話し合いはまとまっていません。話し合いの結果によっては、今後大きなトイレ設置場所の変更があり得ます。契約の前提となる施設の配置が定まっていないまま議案を提案すること自体、住民合意と議会での審議を軽視する重大問題です。

 また、(その5)の契約で削減された駐輪場の20台分とバイク置き場の廃止分についても対策が不明であり、本契約の駐輪場の台数についても定まっていません。以上だけでもこの契約は撤回すべきです。

 

第2の理由は、圧倒的多数の近隣住民の反対の声を無視し、次々と工事を進めることは、憲法と地方自治法で保障された住民自治を否定するもので許されないからです。

 緑道整備計画については、すでに笹塚・大山緑道から初台緑道に至る6件の工事契約が締結され、一部で工事が始まっていますが、緑道沿道の住民は、反対の声を上げ続けています。繰り返し区議会への請願にとりくみ、区長に提出した計画反対の3027人分の署名は、今後も継続して取り組むと聞いています。さらに工事の中止を求める訴訟も提訴されています。区長が「賛成している人もいる」といって、住民アンケートも行わず、計画を強行していることから、日本共産党区議団が実施した沿道住民アンケートでは、「工事を中止し、住民の声を聞く」と答えた人は85%に達しており、圧倒的多数が反対していることは明らかです。アンケートには、「一番大切な近くの人たちの意見を取り入れてほしい。毎日生活しているのは私達です」との厳しい声がたくさん寄せられています。本来、区が住民アンケートを実施し声を聞くべきです。また、住民の声を聞く場であるササハタハツ会議も6月以来開かれていません。住民の声を切り捨て、区長が進めたい再整備を押し付けることは、地方自治の本旨を踏みにじる暴挙であり言語道断です。

 

第3の理由は、園路舗装材やベンチなどに使用するテラゾ材があまりに高額であり、これに反対する住民の声を聞かないことです。

 本契約で使用されているテラゾ材は、舗装材が施工費込みで平米単価17万545円とインターロッキングの17倍、総額2億6912万円です。さらにベンチは半円形1台323万円が7基、車止め1基33万3300円で25基など、テラゾ材だけで総額3億39万円余で工事総額の約4割という異常さです。

 わが党区議団のアンケートでは、83%の近隣住民が、テラゾ材の使用に反対しています。テラゾ材については、舗装材等としての優位性がないことが委員会の審議でも明らかになっています。区長の判断で採用したことは明らかです。区長の独断で、巨額な税金を投入することは許されません。

 

第4の理由は、樹木を大量に伐採し、自然豊かな生態系を、住民の願いや専門家の意見も無視して破壊しているからです。

 区は、本契約では、中木366本のうち100本伐採、低木460本のうち340本伐採するとしています。合計440本と53%も伐採することは、長年育まれてきた自然豊かな緑道を破壊するものです。石川幹子東京大学名誉教授は、現在の緑道計画について、「地域が育んできた自然資源や文化を尊重する姿勢が著しく希薄」であり、「生物多様性国家戦略2023-2030」をまったく顧みず、逆行していると指摘しています。藤井英二郎千葉大名誉教授は、テラゾ舗装が高木をはじめとした樹木に与える悪影響について厳しく指摘しています。

 しかも区は、伐採後の樹木について、「樹勢の良いものは残すか、植え替える」と言っていましたが、実際に植え替えられたのは、(その1)から(その4)までで、わずか49本だけで、圧倒的多数の樹木は、伐採後廃棄しています。

 専門家の意見は無視し、現在の樹木をできるだけ残してほしいとの住民の願いを踏みにじり、長年育んできた自然の生態系をも破壊するもので許されません。

 

第5の理由は、指定管理者に管理させることは、都市公園に対する区の責任を放棄するからです。

 区は、緑道全体を指定管理者に管理させるとしています。本案でも、管理棟を整備する改正橋から伊東小橋区間の西側の駅に近いところに、広くテラゾ舗装の広場を設け、キッチンカーなどが営業できる設計にしています。民間の営利企業に管理させれば、公園がキッチンカー、イベントなどによる営利追及の場にされかねません。また、樹木や公園の管理運営について、指定管理者が間に入ることで、直接区が対応できなくなります。区内スポーツ施設でロッカーが壊れたまま長期に放置されていたことが問題になりましたが、都市公園に対する区の管理責任を放棄することは認められません。

 

第6の理由は、玉川上水旧水路緑道再整備事業に120億円もの税金を投入することは、物価高騰に苦しむ区民の理解を得られないからです。

 実質賃金は10カ月連続マイナス、実質年金給付も減り続けています。いま区民のくらしは、物価高騰によってかつてなく困難になっています。

 困っている区民の支援に背を向ける一方で、緑道再整備には湯水のように税金を投入しています。この契約だけで7億2942万円、緑道整備計画の全体では120億円もの税金を投入することに、区民の理解は得られません。長年緑道に親しんできた区民からは、「今の緑道の良さを50年、100年残して。そのために適切に管理するのが一番」との声も上がっています。

 圧倒的多数の近隣住民の反対を無視して、区長がトップダウンで進める緑道再整備に、物価高騰に苦しむ区民の税金を投入する本契約は認められません。計画は撤回して、住民の意見を尊重して、今の緑道を生かした維持管理を行うべきです。

 以上、反対討論とします。

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